悪を屠る紅闇の月光刃vs光を滅する妖しき刃
こんばんは〜深夜更新です!なんちゃらウイルスが上陸しちゃいましたね……大丈夫でしょうか?怖いですね、インフルエンザも流行っているので不安になります。では本編へどうぞ!
# 51 悪を屠る紅闇の月光刃vs光を滅する妖しき刃
サイファは、本契約が終わるのをじっと待っていた。メルティアとルナージュが、紅い月光を浴びたかのように、幻想的に光り輝く……そして無事に終わった所で。
「メルティア殿、本契約をしたようだな」
エルリアーレは待ってましたとばかりに2人に宣言する。
『さぁ!クリム……いえ、ルナージュ!今回は主に恵まれている様ね? 物凄く楽しみだわぁ〜ん。メルティアだったかしら、私がゾクゾクするなんて久しぶりよ、早く殺し合いしましょぉ〜ん』
それを聞いたサイファは、怒ったように。
「エルリアーレ!!決闘での命のやり取りは契約違反だろ!しかも、メルティアちゃんは、義妹の素質がある!絶対殺させない!」
『い · や · よ! こんな面白そうな殺し合いが出来そうな相手なんて、そうそう居ないもの!』
そんな言い合いを見ていたルナージュが呆れた様に
『はぁ……決闘前に主従喧嘩かしら?見てられないわね』
そう言われたエルリアーレは、我が身である刀身を怒りで禍々しい気を出して、カタカタと震わしながら、ヤケになった様にこう言った。
『ふ、ふふふふ!あはははははっ!!何故!この私が人間風情に我慢しなくてはいけないのかしら?私は神であるのだわぁ〜ん、そうよ……ええ、そうだわ!我が魔力を全解放すれば、このシスコン変態騎士の身体を乗っ取るくらい造作もない事だわ!』
エルリアーレが暴走し始めたのを見たルナージュは、制止を呼び掛ける様に怒気を強めに吠える。
『それ以上はダメよ!!邪心に囚われてはいけないわ!!そんな事をしては、あの方に目を付けられる……そうなれば終わりよ、私達姉妹が!無に帰してしまうのよ!? 改める気が無いのなら……貴女を、破壊するわ』
必死に説得してくるのが面白いのか、はたまた殺る気を出してくれたのが嬉しいのか、強者と出会い、闘争本能に駆られて自制心という枷が外れて、完全に輪天武神では無く、荒神とかすエルリアーレが、狂った様にこう言った。
『きゃはははははっ!!願ってもないお誘いねぇ〜んっ! 姉妹を見殺しにするなんて申し訳ないけれど、あの方の事は最早どうでもいいわぁ〜ん!今、私が満足出来れば良いの!!』
ルナージュは覚悟を決めたように、それでいて辛そうに、メルティアに語りかける。
『同じ輪天武神として、嘆かわしいわ……本当に、残念な姉を持つと大変ね、メルには関係の無い事だけど、アレの尻拭いに協力してくれるかしら?』
そんなセリフを聞いたメルティアは、「やれやれだぜ」とも言いたげに、何を今更とも思いながらも、口を開く。
「はぁ……今更何ですか? 完全に無関係じゃないですよ? だって、本契約した仲じゃないですか、死が分かつまで一緒なんですよ……ね?」
そんな言葉に涙ぐむ様に、ルナージュは本当に良い主に恵まれていると思った、歴代の勇者達を思い返しても、心優しい者達ばかりだった……そんな彼女は優しい声音で。
『メル……ありがとう。貴女が私の主になってくれて良かったわ、その言葉に甘えさせて貰おうかしら』
そんな光景を見ていたサイファは忘れられた事に気づきキレた。
「2人だけの世界を作って、お兄ちゃんを忘れる義妹なんて!!許さんぞ!」
時は同じく見ていたエルリアーレは、先程までの闘争本能に囚われ、邪心は何処へやらの様子で、淡々と口を開きながらサイファに語りかける。
『私達、忘れられてるわね? 何か、興が冷めてしまったわぁ〜ん、ねぇ? シスコン変態騎士、ちょっと良いかしらぁ〜ん?』
エルリアーレの物言いに説明しながら、ブチ切れる。
「貴様ぁっ!!私の事はだな? 優しく弟を呼ぶ様に、サイファ君 と、呼べと言っているだろ!? 姉属性持ちにも関わらず、そんな事も分からんのか!それで何だ!さっさと言え! 」
変態的拘りを吐き出しながら喚く主に対して、エルリアーレは呆れつつも、命令通りに名前だけは優しく感情を込めて答える。
『相変わらず……【サイファ君♪】は、意味が分からない価値観ね?正直、 気持ち悪いわぁ〜ん。本題だけれど、2人に私達の恐ろしさを教えてあげましょ?』
わなわなと震えながら、取って付けたようなサイファ君という言い方と、姉属性を全く理解出来いない言動に対して再びキレる。
「お前と言う奴は……なんだその気持ちの入ってない、愛の無い呼び方は! エルリアーレには姉であるという意識が無さすぎる!ルナージュ様の方が、余程姉属性を理解している! だから貴様は、戦馬鹿なのだ! 全面的に見れば、ルナージュ様の方が優れていらっしゃる」
サイファの意味の分からない言動や、ルナージュよりも劣ると言われたエルリアーレは、再び苛立ちながら、噛み付く様に変態シスコン変態騎士に言い放つ。
『だから貴方はシスコン変態騎士なんて呼ばれるのよ!それと我慢ならないのが、この私がルナージュよりも劣るですってぇ〜んっ! 訂正しなさいな! この武器に封じ込められる前の姿を見ても、美しさは勿論、武勇や知勇さえ負けてないわぁ〜んっ!しかし、しっかり自分磨きをすれば、私には適わなくとも、姉妹の中で2番目くらいにはなれるというのに!そんな努力もしない干物女に負けている等、有り得ませんわ!』
そんな会話を見ていたメルティアはルナージュに事実確認をする為に話しかける。
「ルナージュさん?エルリアーレさんがあの様に言ってますが、本当ですか?」
『ええ、あの何でも競い合う事が好きな姉が言うのなら間違いないでしょうね』
「そうですか……しかし、ご自分の姿を覚えてないんですか?」
『そうは言ってもね……もう何千年も前の話しよ? 流石に元は神とはいえ、記憶に無いわね……彼女程、自分に自信ががあった訳でもないし』
と言っていると、シュレヴィラさんが急に声を上げた。
『お姉様!昔のお姿なら見せれるで?』
『シュレ……急に出てこないで頂戴、びっくりするでしょ。私の前の姿を見せれるって、どういう事よ』
『武具に入れられる前に、神様時代の時の好きな物や、大事な物を取り出せれるっていうの覚えてないん?』
『そういえばあったわね、忘れていたわ』
それで私の身体からシュレヴィラ(小さな黒猫)が急に飛び出して、テンション高めに宝石を何処からか取り出して、魔力込めると……パッ!と光って、映写機で映し出された様な画面が出てきて、そこには6人の美しい女性が立っている、それにいち早く反応したのはエルリアーレであった。
『懐かしいわね! 今見ても、やはり1番私が美しいわぁ〜ん』
確かに、中央でお嬢様ポーズのストロベリーブロンドの女性は気高く美しかった。しかしどの方も綺麗であったが、紅い髪の女性だけ異彩を放っていた。長い前髪で顔を隠して表情すら見えず、他は前を向いてるのに対して、彼女だけが半歩横を向き猫背姿勢である。気になった私は聞いてみた。
「ルナージュさんはどれですか?」
『分からないかしら? その紅い髪の、伸びきった前髪で顔を隠した猫背の女が私よ……』
「そうですか……」
--そうではないかと思ってはいたが、イメージが違い過ぎる! 合っていたのは紅い髪だけである。
するとエルリアーレが。
『サイファ!これを見ても、干物女よりも劣っていると言うのかしらぁ〜んっ!?』
「美しさだけ、ならそうだろうな? しかし!こういうダメダメ系お姉ちゃんと言うのもキャラが立っている! しかしながら、なんと言うか……お前のキャラは面白くない、高飛車キャラの姉、というのは悪くない……しかしエルリアーレの場合は、素直さや、謙虚さを手に入れる事によって好感度が上がるタイプだ、何故かそうなっては面白くないと思ってしまう、そのままならただの悪役にしかならない、結論は……だから貴様はつまらない!」
エルリアーレに顔が有るならば、お嬢様が「キッ」と睨みを効かせた風に、ままならない気持ちが全面に出るかのようにこう言った。
『言わんとする事は分かりますが!納得出来ませんわぁ〜んっ!! というか、ルナージュ!今すぐ勝負なさい! 大分話がそれて、前回の話を見ていた読者が、あれ? 決闘しないの?って、絶対思ってますわ!』
読者に対しても気遣いが出来る姉を尊敬しつつも、もうやらないのかと思っていた決闘の事をほじくり返して来た事に呆れつつ。
『このままバックれれると思ったのに……何で思い出したのかしら、まぁ仕方がないからやりましょうか……姉さんは変な所が真面目何だから』
すると今までのやり取りが何だったのかと思う程、2人は戦闘態勢に入る。そこでサイファが「いざ尋常に参る!」という声で戦闘が始まった。まず互いに激しく前に突っ込み、「キン!」そのまま剣を交じ合わせる!
「ふっ」
「くっ……あながち、シュリを倒したと言うのも嘘では無さそうだ」
その後も幾度も激しく剣をぶつけ、空中での鍔迫り合い後に弾いて距離を取るという攻防が続いていく……それを見ていたシュリは。
--兄と対等……それ以上に、渡り合う存在がいる事に驚きつつ、やはりメルティアは化け物だと思った。最早その決闘は人間が成し得ない動きであった、目で追うにもついて行けず、私の秘奥義…… 鬼亥千粱大朱斬をも超える速さなのは間違いない。リクは既に目で追う事を諦め、シュレヴィラと猫じゃらしで遊んでる始末だ。
どちらも譲らず何度も剣を交えていると、エルリアーレが興奮した様子で。
『あぁ〜ん!素敵ですわ!貴女という強者が居たなんて知らなかったわ!契約するなら、こんなシスコンで!変態の騎士じゃなくて、メルティアにすれば良かったわぁ〜んっ!!』
『エルリアーレ!?私のメルはあげないわよ!』
『あげる、あげないとかじゃなくて、乗り換えるだけよ? 彼女は面倒事に巻き込まれて、強者との遭遇とかありそうじゃなぁ〜い?』
『確かに……面倒事に巻き込まれてるわね、でもメルが強いから、あんまり面倒って感じは無いわ、ほぼ瞬殺に近い感じだから、悪逆魂の回収は順調過ぎるくらいね』
『へぇ〜良いわねぇ〜こっちのは騎士で、シスコンの変態でも役職的には上だから、悪人を自ら裁く事が無いのよ……だから全然溜まってないわぁ〜ん!乗り換えたいわ』
『エルリアーレと一緒か……物凄く嫌ね』
『何でよ!?戦力として申し分ないわぁ〜ん』
『エルリアーレ、自分の能力を忘れたとでも?私と貴女は相性が悪い、しかも一緒にいる事で力が吸われてしまうわ』
『そう言えばそうねぇ〜私は光を滅する物、だものね?貴女の蓄えた、紅闇月花光を殺しちゃうんだったわね? ふふ、しかし何度も打ち合っいるのに、力が衰えて無い様だけど?』
『それはメルの御陰よ、貴女に私の力を殺させない様に、してもらっているのよ』
『ますます、契約したくなったわぁ〜ん』
未だ激しい攻防中に、戦いながらも看過できない言動に我慢できなくなったサイファが、突っ込み入れる。
「ちっ……一撃が重い、おい!エルリアーレ!主が剣を必死で振るっている時に、違う主に乗り換えたい等と、おかしくはないか!? まぁ、私が輪天武神で有るなら迷わず、メルティアと契約をするのは間違いないが!」
『じゃあ向こうに行って良いかしらぁ〜ん?』
「我が愛しの妹のシュリはどうなる!? お前の力が無ければ、緊急時に助けに行けないではないか! くっ……えぇい!メルティアちゃんが、これ程までに強者だったとは」
『そうねぇ〜ん……貴方の妹の事もあるけれどぉ〜ルナージュの力の事も有るのよね……分かったわ!不本意だけど、サイファ君の傍に居てあげるわぁ〜ん。あの力を使えば逆転出来るかもよ? 耐えられるかしら……あ·な·た·が、だけど』
「ふんっ……なら良い! このままでは勢いに押し潰される! 致し方ない、20秒だ……それ以上は無理だ」
『20秒……貴方にしてはかなりギリギリの数字ね、そういう賭けは嫌いじゃないわぁ〜ん、やるわよ?』
「あぁ、頼む!」
と言った瞬間! サイファが輝きだし、気が付けば背後を取られ、8回程一瞬にして切り付けられた……が、しかし私は、身体の周りに防御魔法を事前に展開していた為、難を逃れる……コレは腕輪を外さなければ勝てない相手だと思い、上に放り投げた!そして更にスピードを上げた双方の攻防は激しくなり、急に終わりを告げる……そう、サイファが言っていた20秒が経過して、エルリアーレが何らかのスキル効果を停止させたのだろう。渾身の一撃で突っ込む彼を私は受け流したのだ、そして「ずてっ」と転がって、私はルナージュさんを彼の顔に突き付けた。そしてシュリのお兄ちゃんは、悔しいそうに。
「参った……私の負けだ」
と言うのであった。
『さて、今回は誰が来るんでしょうか……え?あの人が来ている?今回のゲストさんどうぞ!』
「世話になっている、ジーニアスだ」
まさかの王子かよ!?
『御機嫌麗しゅうございます、王子殿下』
「堅苦しい挨拶は良い、前々回は妹が世話になった様だな?感謝する」
『いえいえ、メイドの方がしっかりと手網を握って頂いたので、私は特にお世話などはしていません』
「そうなのか? 我が妹が、作者であるお前に何かしら伝えたい事が有るとか言っていたのでな?粗相をしていないか不安だったのだ。差し支え無ければ、何の話があったのかを聞いても良いか?」
『それが分からないのですよ。終始、姫様は何処か虫の居所が悪かった様でして、何も言われていません』
「そうか……それでメルティアは元気か?」
『はい、仲間達と仲良く元気にされております』
「では失礼する」
ありがとうございました!と言って、いったい王子は何がしたかったのだろうと、思った。




