ここはどこ?
#1 ここはどこ?
――ここはどこだろう……ふと思った、身体はふわふわするし、なんとも現実味のない感覚の中にいる私。
「あら?お目覚めになったのですね?私の勇者様…」
――やたらセクシーな大人のお姉さんの声がする。
「貴女は誰ですか?」
――疑問に思った私は、セクシーな声の主に問いかけてみる。
「ふふ……私は女神であなたをずっと見ていました、あの世界の適合者であるね」
――ん?女神??ってことはどういう事?世界の適合者?何それ!?意味が分からない……
「質問いいですか?」
「ええ 何でもお答えしますよ」
――と顔は見えないが嬉しそうに返事をくれる。
「では……ココはどこですか?」
「ええ……お答えしますと、ココは私の領域……わかりやすく言うならば、死後の世界になります」
私は思わずツッコミました。
「死後の世界……って! 私は死んでしまったんですか?!」
ノリノリで、では説明します!とばかりに、目の前に丸い円のプロジェクターで写し出された様な映像が現れた。
「はい、 関ヶ原義継(せきがはら よしつぐ)さんは、残念ながらお亡くなりになりました、3週間連続勤務をやっと終えて、フラフラしながら帰宅途中で物凄い美女を発見し、見蕩れていいると、その後ろから刃物を持った男に気づき、危ない!と思って、颯爽と飛び出して美女を庇うように立ち、心臓を一突きで刺されてしまいました」
――なんだってー!というか何処も痛くないのはそのせいか……
「ありがとうございます、今置かれている状態が分かりました……その女性は大丈夫なんですか?」
「身体に傷1つ付いてません、あなたが守ったので、その女性は凄くあなたに感謝してますよ」
と、慈愛に満ちた声で、そう言った。
「それなら良かった。ホッ……で、私は何をすればいいんですか?世界の適合者と先程聞いたのですが、その辺の説明も詳しく聞きたいのですけど」
やっと本題に入ってまいりました!と、テンションを上げながら進行していく。
「あなたには最近流行りの異世界転生というのを、やって頂こうと思いまして、コチラにお呼びしました」
「異世界転生?転生と言うからには、生まれ変わるということでしょうか?」
目を見開き、驚いた様子で。
「えぇ!?異世界転生を知らないとは…それでもあなたは日本人ですか!? ファンタジー世界に行って、俺TUEEEEする!浪漫溢れる大冒険を!」
ふんす!と興奮した様子の女神さん、それで私は。
「すみません、生憎……私は趣味という趣味を見つけずにのうのうと生きてきて、顔も決していい方の部類に入らず友好関係もなく、これまできたのですみません……」
もういいですよ……と、女神さんは呆れた感じで。
「ええ……あなたがどのように生きてきたかは知っています、なので今から向かう世界で充実した日常を送って頂きたいのですよ。
あなたにはファンタジー世界で生き抜くための力を授ける様にします。希望などは有りますでしょうか?」
うーんと悩む私……いきなり力を貰えると言われても悩んでしまう、しばらく考えていると女神さんが、
「あなたに欲望などは無いのですか?女の子にモテたい!とか、金持ちになって悠々自適な生活を送るとか!」
確かに女の子にモテモテなんて経験した事はないので、なれるものならなってみたい、金持ちになれば大抵の事は上手くいく、ふと思った……死ぬ前に庇った彼女に見合う男になりたいという感情が芽生えて来た。
「ん? ふと思う事がありました?」 と、にやにやしている風に言われた。
はい、決まりました!と言うと、待ってましたとばかりに、興奮気味に、わくわくしながら聞いてきた。
「おぉ~なんですか?叶えちゃいますよ?」と、言われて。
「では死ぬ前に庇った彼女に見合う、神もが認めるカッコイイ男にしてください」
少し悩んだ風に唸りながらこう言った……
「それは難しいですね、あなたをイケメンにする事は世の理に反する行為なので……しかし!魅力値を最大限まで引き上げる事は可能です。別の形でなら」
世の理って凹む……別の形とはどういう事だろうか?疑問を感じ悩んでいると
「大丈夫ですよ?ご心配されなくても、転生とは身体も変わってしまうものです、外の形が変わろうと、あなたはあなたです」
なら大丈夫か? と少し疑問に思いつつも、返事をしていた……
「それではその様な形でお願いします」
こうも計画通りに事が上手く進んで行くのが面白くて堪らないという感じで女神さんが。
「ではその様な形で、ご注文お受けしました!後、魅力値だけでは心もとないので、ありとあらゆる魔法を行使出来る力もさずけましょう!」
ありがとうございます!と、女神さんに礼をして。
「それでは関ヶ原義継さん異世界での新しい人生を、お楽しみ下さいませ」
と言われた瞬間……女神様の美しい笑顔が見えて、私は意識がぼんやりとして消えていった。