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十六話〇my truth, your dreamnight and our story.《いろどもまみえる》

前回のGMROONとは違い、いくつかの大型機械がおかれた狭い部屋だ。

その中の一つに、私でも明確に利用法がわかるレンズがこちらを覗いている。

特筆すべきはここには他にアバターがいないということ。私が椅子に縛られ、監視されているということ以外だれもいない。

その事実だけが私の背筋を冷やす。ビス=ビスオというチャーミングな名の悪役がいればまだ理解ができる。言ってる意味がわからなくても思考させてくれる。何もなくただ覗かれている感覚だけの沈黙が一分経過する。

スネアから解放され、彩色鮮やかなリングが私のアバターを通す。すると目の前が砂漠に変容していった。

灼熱の砂漠でいくつかの疑問を熟思する。GMROOMの発動条件とは? 前回はログインする前後にすでに発動され、今回は異常現象の雷に打たれ誰もいない部屋に入れられた。

誰もいないのも不思議だ。ただのアバターを撮影して意味があると思えないし、別のゲームからGioGのインベントリにアクセスできたとも思えない。

前回と違う犯人が無差別に仕掛けた可能性もあるけど、それは偶然にしてもできすぎだろう。謎の究明に目をつぶれない項目なのは承知であるが。

突然、暑苦しい重みが背中にもたれかかる。

「大丈夫だ」

お気遣いありがとう。ゆいきのアバターは最大限強気の表情をしていて、まるで勇者のよう。

「暑いよ。帰ろう」



ノイズの走る不安定なシステムパネルを操作し、ログアウトを選択する。崩壊する砂漠を眺めながらこの世界から離脱した。

眼前の風景が剥がれ落ち、アーケードの筐体が目の前に現れた。

私の腕を掴む。焦りと怒りの混ざった名前のない感情で彼は言う。

「なんだったんだアレ。すげえ怖かったけどよくわからない。へんな女がいたんだ、俺や有織の事を聞いてきた。なんか知ってるか」

そうか、私でなくゆいきを標的にしたんだ。

……もしや敵は私のリアルを暴こうとしている……?だとすると彼を巻き込むわけにはいかない、いやすでに巻き込んでしまったのか? 

どうするべきだ。

私の問題だから気にしないで。とは言えない。すでに彼も当事者で、私から突き放してしまうことになる。

だから。

「私の秘密にかかわる事を、あなたに教える」

彼は私の顔をみて、目を丸くした。その感情まで把握する余裕はなかった。

「頼りになる、かなりな」

彼は何人の女を餌食にしたか想像もつかないほどの決め顔をきめてみせた。彼がプレイボーイかどうかはさておき。


私の戦いはただ闇雲に暗いモノだったはずなのに、彼のおかげかまるで青春ものだ。

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