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十一話●apocalypse :uncover rebirth.《365は地球に置いてけぼり》

八桁といえば思い当たるあてがある。

GioGの世界ではプレイヤーが管理できる建物には8桁の番号が振られている。私たちの”ギルド”の拠点の番号なら私と彼で共有されているのでわかりやすい。

ただ、盗聴の危険がある場面で、わざわざ暗号にした答えがそれでは少し簡単すぎるか。他になければしょうがない。

他には日付だろうか。西暦四桁と月二桁日二桁であれば八桁だ。だがいつのだ。

彼が言った「考えればわかる」というのは思わせぶりすぎる、それが逆にヒントなのか。…そうか、もしかしたら。

とある日の事を思い出す。その日は誕生日間近で、長夜鬼症候群に特に悩んでいた時期だった。0時を迎えた時、”日を跨ぐ”事に違和感を覚えたのだ。

ただ数字上の時間が1秒変わっただけで喜ぶ気にはなれないし、9時間の睡眠を経て変わっているのがいわゆる普通だ。


どういう文脈で言ったかわからないが、冬宮に明日誕生日だと伝えたことがある。

そうしたら、みんなで祝おうと誘われた。それは気分じゃないと言ったら、「じゃあ二人だけなら」と答えた。

ゲームの中で迎える夜は、たくさんの人と一緒で孤独ではなかったけど、この時本当の人の温かさを感じたと思う。アバターではなく私に向けられた言葉だ。

ただパラメータで付け加えた体温もその時は寄り添うべき灯火だったし、簡単に変えられる声にも魂がこもっているように聞こえた。

冬宮はそっけなくて、礼儀知らずだったが、気持ちを察する能力が高かったのか、ただ二人でケーキを買って食べただけで見透かされた気分だった。

「うまいだろう。今日はおごりだ」

そういわれて、即座に感情表現設定から”涙”をオフにしたことも覚えている。あまりにかっこ悪いと思ったのだ。

「12時00分になったら年をとる。そう法律で決まっている。なぜ数え始めたか知らないが、祝うためだけではない」

変な事を言い始めて、少し焦ったが、彼なりの励ましだったのだろう。病気のことを伝えていないから当然だ。

「早生まれが不利と言う話も聞くしな。そういう意味では一日に振り回される人は沢山いる」

そういうことじゃ…そういいかけて、「今度は皆で祝ってもらう気分になりました」と言い換えた。

彼が私の事を本当にわかっていることにほっとした半面、すこし悲しくなった。でも秘密を打ち明けたらだめだ、そしてこの悲しさは一生このまま。


私の誕生日を四文字に変換して0229。西暦は教えていないはずなので分からないはずだ。だが、そこは問題ではないだろう。予想できる10年分のアカウントをつくればいい。

秘密の通信用アドレスを用意しているとは準備がいいな。そう思う反面で不思議でもあった。



宛先:20000229@Qmail.Qom

タイトル:Nogiya

本文:なし


送信。


1分が経ち、間違えたかと思う頃に、返信がきた。そこには電話番号だけが表示されていた。

…リアル通話、か。GioGで声を変えてるわけではないから出来ないわけではないが、それでも躊躇する。

まあ確かに。それくらいの事情はある。いや、警戒したほうがいいか?


2分迷ってから番号をプッシュして、1分迷ってから発信をタップした。

ワンコールで”冬宮”がでた。

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