やはり異世界
「まずはこの世界について話そう、ここは日本でも地球でもない、ガイア大陸のメロンゲナ国カプシコム領にある通称魔の森だ」
やっぱり予想していたとおり異世界だったか、まあオーク(仮)や鬼が地球にいても困るけど。
「そして俺とプシュケはカプシコムの特殊部隊に所属している、業務内容は主に二つ、お前のようなここに来てしまった地球人を助けることともう一つは―――」
「おいダイゴ、ターゲットを捕獲してきたぞ。お前も保護は出来たみたいだな」
タチバナさんの声を遮り一人の白人がタチバナさんに話しかけた。ガタイがよく背中にはマインゴーシュのような剣と刀身の分厚い刀を背負い簀巻きにされた人を一人引きずっていた。
「ああベン、彼女は造香耶さんだ、是非姫と呼んでやってくれ」
「ほぉ、それはとてもいい名前だ。どうも姫、俺はベンジャミン・アンダーソンだ、ベンと呼んでくれ。」
「ご丁寧にどうも、『造』香耶です。姫などといった大層な言葉は似合わない人間なのでどうぞ造と及びください。それでその人はなんなんですか?高校の制服を着てるみたいですけど」
ベンさんが引きずってきた簀巻きにされた人は近所の高校の制服を着ていた。多分彼も地球人なんだろう。身体中傷だらけで痛ましい姿になっている。
「ああこいつかい?こいつはちょっとこの森でおイタしてたからお仕置きしたのさ。」
おイタ?お仕置き?もしかして彼の傷ってオーク(仮)とかにやられたとかじゃなくベンさんにやられたという事か?もしや私簀巻きの彼みたいにされるんじゃ………
「安心しな、お前はそこの蓑虫みたいになることは無い、そいつが簀巻きになっているのは俺達のもう一つの仕事、こっちに来て調子に乗っている餓鬼を叩きのめすことだ」
?どういう事だ?調子に乗るってこんなところに来てなんの力もない人間がそんなこと出来るはずもない。タチバナさんみたいな武器がない限りってもしかしてそういう事か?
「気づいたみたいだな、そう、俺のさっきの刀、楽無刀やベンの持っている海神の頭角と海神の胸角はこの世界で作ったものでも地球にあったものでもない、この世界に来た時に得た俺達の能力だ」
なるほど、それならば調子に乗ることもあるだろう。苛められていなかったとしてもいきなりこんな何処とも知れぬ世界に一人ぼっちならば私みたいにパニクってしまうだろう、そこに強力な武器がありそれで獰猛な生物を弱い人間のはずの自分の手で殺したとしたら………想像は容易い、それは調子に乗ってしまうな。そしてそれを早期に発見し矯正するのが仕事と。だが待て、異世界に来て武器を得るのなら―――
「私は何も武器を持っていないんだ?」
私が目覚めた場所にはこれといって武器はなかったぞ?いや、針やバグナクとかなら見落としていた可能性も無くはないが………
「もしかして勘違いしてるのか?地球からここに来て手に入るのは武器じゃない、能力だ、最後にいた場所に関連したな。そしてお前の能力は恐らく地面から竹を生やす能力だ」
竹?あの竹に貫かれた鬼はそういう事だったのか。そうか、あれ私がやったのか……ほんとにそうかちょっと試してみよ。
「試すなら誰もいない方向いてやれよ、あの威力は俺やベンの鎧ならまだしもプシュケの柔肌なら余裕で死ぬからな」
簀巻きの彼の事は心配しないのか。まあいいや、一発試しうちだ。地面に手を当てて…
「竹よー!」
ニョキニョキニョキ
おお、すごい、竹が数本同時に生えてきてるだけだから音的には地味だけど視覚的にはすごいとしかいいようがない!音的には地味だけど。
「おお、すごいな、攻防一帯の能力だな。そういや竹に関係する場所ってどんな場所にいたんだ?植物園か竹薮か?」
「植物園です、本読むのにいいんですよ。立花さんとベンさんはとちらに?」
刺すだけで巨大な鬼が痛みで叫ぶ刀となんかよくわからないマインゴーシュと刀が関係ある所ってどこだろう?博物館とかかな?
「俺達は昆虫館だよ。俺が田龜でベンが―――」
「ネプチューンオオカブトさ!最高にcoolだろう?」
昆虫館かぁ、子供の頃父に連れられて1回行ったきりだなぁ。
「俺は田龜の飛行能力と潜水能力に力と鎧、そして田龜をモチーフにした武器、ベンはネプチューンの鎧と力と歩行性能、それと同じくネプチューンをモチーフとした武器だ」
「ここをこうやって合わせるとネプチューンみたいでcoolだろ?coolだろ?」
ベンさんが色々やってるけど私虫わからないよ。
「そういえばベンさんって日本語上手いですよね?日本に住んでいるんですか?」
そういやベンさんと普通に会話できてることに気づいた。プシュケさんとも会話出来てるしなんでだろう?
「あー言い忘れてたな。なんでプシュケやベンと会話できるか説明すると長くなるが端的に言えばバベルの塔が壊れてないからかな?」
バベルの塔?いきなり神話の話?