アイアムアノストラダムス
「あーえー、言葉分かるかな?」
美女が日本語で話しかけてきた。一応英語も話せない訳ではないけども得意じゃないから良かった。
「あ、大丈夫です、分かります」
「よかった、私の名前はプシュケ、こちらの男性は―――」
ゴツン
おじ様のゲンコツがプシュケさんに直撃した。
「いたぁい!何するんですか!タチバ―――モゴモゴ!?」
「誰とも知れぬ相手に本名を教えるんじゃない、もしサイサリス国の呪術師だったらどうするんだ?お前だけ死ぬならまだしもこっちの情報を盗られたりお前を使って自爆テロでも起こしたらほかの奴らも迷惑するんだぞ?おっと忘れていた、すまないな、俺の名前は……ジョン、ジョン・タイターだ。一応カプシコム領で騎士をしている。で、君の名前は?」
ふむ、なんかよくわからないけど本名言ったら死ぬかもしれないのか、じゃあ偽名使っておこう、相手がジョン・タイターならこちらは……
「ミシェル・ノストラダムスです。どうもよろしく」
そう言って立ち上がり手を差し出す。
「あ、ご丁寧にどうも、ミシェルさん」
ここでも握手はちゃんとあるようだ、プシュケさんはしてくれた。おじ様は口を半開きにしてポカンとしている。端正な顔が台無しだ。
「………ハッハッハ!そうかそうかノストラダムスか!まさかとは思ったがやはりそうか。よし大予言者―――」
ガサッ!
後ろの茂みから串刺しになった鬼より一回りほど大きく金棒を持った鬼が現れておじ様に金棒を勢いよく振り下ろした、粉塵が舞い上がりおじ様の姿が見えなくなる。
「タチバナさん!?」
プシュケさんが叫び腰に差していた剣を抜き、構えた。私は一般人なので恐怖で身が竦み動けない。今度こそ死ぬかもなと思った時、鬼が叫び声をあげた、それは威嚇や威圧の為のものではなく痛みによりあげる悲鳴だと感じた。
「―――大予言者、安心しろ、お前の身の安全は俺と俺の主人、グリム・カプシコムが保証しよう!あ、それと俺の名前は―――」
ジョンさんが喋ってる間も、鬼は痛みに堪えながら立ち上がりジョンさんに攻撃を繰り出した。だがそれを紙一重、いや、最小限の動きで避け、いつの間にかどこからか取り出したノコギリを無理矢理刀の形にした様なもので鬼の腕を貫いた。すると鬼はまた悲鳴を上げ膝をついた。その隙を突きジョンさんは刀で鬼の目を貫いて鬼の息の音を止めた。
「立花大吾、元自衛官だ。そしてようこそ、大予言者さん、ネヴァーランドへ!」
刀に付いた血を紙で拭き取りジョンさん、いや、立花さんはそう言った。