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移動初日

 「ベオリス様、馬車の準備整いました。」


 昼食を終え、支度も済み寛いでいるとバルトが告げる。「そうか…」と言って席をたち、王室へと挨拶に向かうと通路でクリスとアルに会う。「おにいーさーまー」とクリスが走って近より飛びつく。「はは、クリスはお転婆さんだなぁ」と頭を撫でると「いつもどるのですか?」と顔を上げて尋ねてくる。


 「だいたい早くて3週間くらいかな?」

 「むー、さびしいです…」


 プクーと頬を膨らませ抗議する。3歳となり魔法に興味を持つようになって、最近はよく魔法書をもって自室に来ては「ほんよんでー」「まほうおしえてー」と一緒にいることが増えた。毎日3時間くらいはクリスに拘束されるが、この時間が今一番の癒しとなっている。いままで鍛練や勉学ばっかりだった、あれ?子どもらしいことなにもしてない……クリスの行動を観ていて最近気がついた。


 「なるべく早く戻るよ。」と優しく頭を撫でてあげると「やくそくですよ?」と笑顔になる。アルは何故か、バルトを見て石と化していた。うん、バルトやり過ぎたか……アルはとりあえず放置しとこうと結論を出し。クリスと手を繋ぎ、王室へと入る。


 挨拶を済ませ、王室をあとにし着替えを済ませる。王族とわからないよう魔術師に見えるローブを羽織りをし城門へと向かう。城門には二台の馬車と要人の格好をした騎士と護衛の騎士を6名、一台の馬車はダミーとして準備した。御者を2名に俺とバルトの合わせて10名での移動だ。道のひらけた街道を進むが、モンスターや盗賊といった危険はあるので念をいれている。戦闘は騎士連中に任すがバルトがいるし、俺は敵意があればすぐ探知できる、魔法で遠距離の内に倒してもいいのだが、騎士連中の間では『殲滅の貴公子』とか呼ばれてる。なのであまり目立って行動したくない……というか二つ名とか恥ずかしいからやめて!


 王国を出発し、街道を進み日が落ちるころ俺の探知に複数の敵意が引っ掛かる、それを騎士に伝え警戒させていると狼の魔物ウェアウルフの群れが見えた。ざっと見るかぎり30近くいる。馬車を止めさせ、魔法を撃つ。イメージはトルネードに火炎を織り混ぜる。詠唱なしに魔法を撃つとどうしても威力にムラや効果が落ちるのだが(ファイヤートルネード!)と叫ぶのはなんか中二病ぽくて抵抗あるのだ…まぁ、そこまでたいしたモンスターじゃないだろう。ということで三発ほど撃つと4匹ほど残して灰になった。「残りは頼む」と騎士に伝え馬車に戻った。騎士達が残りを問題く片付け、しばらく進み見通しのよい場所で馬車を止め野宿の準備を始める。二日間に一度は野宿する予定を組めば5日ほどで到着できるためだ。王子に野宿をさせることに騎士連中は抵抗を覚えたが、そこはごり押しで納得させた。


 夜も更けてそろそろ寝ようかと思っていたところ「また、なんかきたな?」さすがに夜間だと目視出来ないため魔眼を使う、体長三メートルはある何かが現れた。「バルト、騎士達に警戒させろ」まだ200メートルくらいはある。近づくにつれ姿が徐々に見えてくる。「オーガのようですね」石の斧だろう武器を持っている、動きも遅いし、また魔法で仕留めようとすると、バルトが止める。


 「せっかくの夜間実戦機会です。私とベオリス様が一匹ずつ、騎士3人で一匹相手にあたれば問題ないかと。」

 「え、面倒くさいし…汚れたくない」

 「何事も経験です。勿論肉弾戦で」

 「えー」

 

 こんなときまで鍛練しなくてもと思うが、言い出したら聞かないので仕方なく頷く。


 「まぁ、さくっと片付けますか。その前に」


 光源を確保するため適当に草むらを燃やす、するとオーガ達が戦闘態勢に入る。俺は一番近いやつに向かって走り出す、騎士達も分散し各個撃破にむけ動く。目前のオーガが斧を振り上げ振り落とすのを見て、サイドステップでかわしつつ顔めがけて飛ぶ、側頭部に打撃を打ち込み「ヘッドショット!」水を超高圧圧縮させ頭をぶち抜いて終了。バルトは綺麗に頭と胴を切断し、騎士達も時間はかかったが危なげなく討伐した。


 「んー?」と手を見ながら首を傾げる。「どうかいたしましたか?」とバルトが尋ねる。


 「いやな、魔法を使うと思った以上の威力が出るんだが、それにたいしての魔力の消費が無さすぎるだよな…王国の外に出てから感じてるんだが。」

 「魔力の消費がですか…体に何か違和感などございませんか?」

 「それはない、それよりも調子がいいくらいだ。」

 「ではとりあえず問題ないのでは?」

 「そうなんだが…(なんか気になるんだよな…魔眼状態じゃ魔法が使えないのが難点だな、内側と外側同時に魔力を扱う訓練も必要ある…か)いまは保留するしかないか」


 そう結論づけると休むため馬車へ戻った。

 








                  

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