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婚約者問題

 「婚約者ですか?」


 7歳なってすぐに親父と王妃に呼び出された。どうやらいろんなとこから申し出があるらしい。実際は5歳くらいの時からあったらしいのだが、まだ子供ということと教育途中で断っていたらしい。ようやく教育も一段落できたとのことで、婚約者候補に会うだけあってみてはどうかということだ。


 「別にすぐに決めろとは言わん、顔合わせだけでもとうるさいのだ。いやなら断ってもよい。」

 「…お話しがあります。」


 今は三人だけだし仕掛けるならいまだな。


 「私を皇帝の娘の婿に打診してはいただけないでしょうか?」 

 「なっ!「えっ!」

 

 二人が驚き固まる。先に冷静さを取り戻した王妃が問う。


 「貴方はその意味を理解して仰っているのですか?」

 「当然です。御存知とおいででしょうが、皇帝は男子に恵まれず5人の娘ということです。長女は5歳年上ですが、次女は一つ上、三女は一つ下です。気に入られる可能性はあるかと思います。」

 「そうではありません!貴方はこの国の王位継承権を破棄するおつもりですか!?」

 「そうです、継承権はアールニスかクリスティーのどちらかにお願いいたします。」

 「待て!ベオリス冷静になれ…現段階ではお前は3人の中で一番優れている。このまま邁進して成長すれば国王の座はお前なのだ。」

 「では、アールニスはどうなるのですか?」

 「!!……」

 「伺います。アールニスには皇帝からの打診があるのではないですか?」

 「なぜ……それを…」

 「…アルは非凡な才能です。私は正統にいけば国王になると思われたので、打診もなかったのでしょう。だからアールニスに打診がいくことが予想できます。」


 二人が黙り込んだ。目を併せどうしようか考えている。

   

 「アルには後継者争いの真っ只中にある血生臭い争いに晒せたくないのです。弟妹なら争わずともすみましょう。ならば、私が帝国へ行くほうが少ないリスクとリターンも望めるはずです。」


 実際は帝国からの婿入り要請みたいなものだが、帝国の貴族にとっては侵略とさほど変わらない。確実に跡継ぎ問題となり、命の危険に晒される。

 

 親父が溜め息を漏らす。


 「…ふぅー、わかっているのか?お前は確実に異才だ、帝国の貴族からしてみたら脅威でしかない。アルより遥かに危険となる。」

 「わかってますよ。まぁ、今回は問題ないでしょう?実際婚約できてからの話ですし、それから先は失敗すれば廃嫡にでもしてください。」

 「戯け、そんなことできるわけないだろうが……決意は変わらんのか?アルにはなんと言う?」

 「理由聞いたら確実に怒りますからね、上手く誤魔化していただけないですか。」

 「はぁー……わかった。皇帝には打診しておこう。アールニスではなくお前をな、しばらく時間はかかるだろう。」

 「ありがとうございます。」

 「全く…誰に似たんだか…」

 「?父上…」

 「…無事にな。」

 「逃げ出すのは得意ですから!」

 「…違う意味で心配なってきた…」


 親父が頭抱えこんだ。最近優秀?な執事に殺気やらに敏感になるよう鍛え込まれてたから、いざというときは返り討ちか、逃げ出してるから安心してくれ…というのは言えない。


 「では失礼します。」

 「あぁ。」


 部屋から出ようと扉に手を掛けたと同時、王妃から留められる。


 「後で二人だけで話したいことがあります。そうですね……夕食後に私の部屋で話しましょう。」

 「わかりました。後でお伺いします。」


 部屋から出て一息つく。


 「どうかなさいましたか?」

 「あぁ、バルトか。ようやく一山片付いたってとこかな。」

 「どのようなお話しだったのですか?」

 「婚約者問題。」

 「なるほど、お話しなさったのですか?」

 「まぁね、一応了解えたかな。」


 バルトに前々からどうするのかは話しておいたので、準備も進めてもらっている。


 「いつ頃になる予定ですか?」

 「まだ打診からだからしばらくはかかるんじゃないか?向こうも第2王子じゃなく、第1王子に変わるんだから焦るだろうし。」

 「では準備はこのままで進めます。」

 「よろしく。」


 さて、忙しくなるかな。


 「あぁ、それとベオリス様少し訓練の段階を引き上げましょう。もう少し後になると思っていましたが、少しばかり予定が早まったようなので。」

 「……はぁっ?なに、いまよりキツくなんの?俺、死んじゃうよ?たまに殺気込めた技かけてくるのかわすの必死なのに、それ以上なったらガチで死ぬから!」

 「いえいえ、ベオリス様は日々成長が著しいですから、死にかけるくらいなら問題ないかと。」

 「それダメなやつだよね、つぅーか、なんでそこまで追い込まれんの?あれか、帝国乗り込みが早くなったことに対しての嫌がらせか!」

 「もう後1年くらい余裕があれば急がずに済んだのですが、まぁ荒療治的なものですね。」

 「いや!まだ、帝国行ったとしても相手に気に入られるかわからないから!いまのペースで十分だから!」


 バルトに最近はぼこぼこにされることはなくなったのだが、たまに鳥肌立つ殺気を含んだ攻撃をしてくる。避けられるラインを狙ってくるからいいものの。本当、死に対して敏感なる。最近は肉体より精神がボロボロにされてる気がする。


 「ベオリス様、精神と肉体がボロボロになるくらいですみます。」

 「お願いします。師匠、可愛い弟子を殺さないで下さい。」


 土下座した。

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