第1章「ベルデグリ」 - 05
「もー、マナ、ちょーすごいよー」
「あ、ミレイ、ありがと。でも、そんな大したことじゃないよ」
「もー、また、マナは。ちょーすごいんだから、もっと喜んだらいいのに」
「ははは」
認定式典の後、マナは同級生の親友のミレイから大袈裟な賛辞を受けていた。
いや、もしかするとミレイのは大袈裟なのではなく、このくらいが普通の反応なのかもしれないが。
とにかく、マナはミレイの興奮冷めやらない話しぶりに苦笑を交えながら相槌を打つだけだった。
「それにしても、ちょーすごいよね、ベルデグリ最年少認定なんて。あ、でも、さすがにベルデグリになったら使い魔は持つんでしょ。何にするの?」
「あー、そうだねー」
「ひょっとしてもしかしてまだ何も考えてないの?」
近代的な魔法使いにとって使い魔を使役することはもはや常識で、魔法使いの力はどれだけ強力な使い魔を使いこなしているかで評価されると言っても大袈裟とは言えない。
だが、マナはそのような使い魔への依存度の大きい魔法使いのあり方に疑問を感じていて、どうしても使い魔を持つ気にならないのだった。
「うーん、まあ、いろいろ考えることには考えてるんだけどね」
ただ、ベルデグリなんていうものに選ばれた以上、形だけでも使い魔を持たないわけにはいかないときも来るかもしれないとは思ってはいた。ただ、形だけでも持つからにはそれなりに納得して持ちたいと思っているわけで……
「でも、これっていうのがないんだよね」
「バドルスくんみたいにドラゴン系の使い魔とかじゃだめなの? マナならきっと使いこなせるでしょ」
「んー、あたしより弱い生き物を戦闘補助にしても足手まといにしかならないし」
「さすがにドラゴンが弱いってことは……あるかも」
そんなことはない、と言おうとしてバドルスの使い魔のオロンがいつもマナに瞬殺されていることを思い出して言葉を濁した。
「そんなこと言ってたら使い魔なんて持てないじゃん」
「いっそのこと、ミレイみたいにメタルスライムにしちゃおうかな」
「戦士職のマナがメタルスライムはなしでしょ」
「でも、どうせ何にしても同じだと思うんだよね」
魔法使いは専門があり、マナとバドルスは戦士職だが、ミレイは生産職なので使い魔の種類もそれに応じて戦闘には不向きでも生産に有用な使い魔を選んでいるのだ。
メタルスライムは魔道具の生産に必須の水銀を精製するスライムで、生産職には非常に有用だが戦闘力は皆無だ。戦士職の持つ使い魔としては明らかに不適当だった。
「マナ」
「また来た」
ミレイと使い魔についてあれこれ雑談している最中、突然後ろからかけられた声にマナは振り返りもせず額に手を当てた。
「何か用?」
「君のようなものがベルデグリとは、学園の権威も落ちたものだ」
「はぁ?」
「ちょっとバドルスくん、悔しいからってそういう言い方はないんじゃない?」
マナが嫌そうに対応していると、バドルスの言い方にカチンと来たのかミレイが割り込んできた。




