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第4章「デモンストレーション」 - 07

 この黒い球体の正体はただの鉄だ。ただし、芯まで詰まっているので相当重く、およそ500kg程もある。把手が付けられていてそれを持って振り回すことができるが、ただそれだけの武器とも言えないような武器だ。


 「これをヘータくんが持つの?」


 ミレイが信じられないという様子で聞いてきた。観客もその異様な武器に戸惑っているのか、マナの言葉に聞き耳を立てていた。


 「そうよ。ヘータは身体強化してるから、このくらいのものなら持てるわ」


 事もなげにマナは言ったが本来なら事はそんなに単純ではない。


 確かに身体強化すれば筋力は向上するが、そもそも50cmの鉄球はヘータの体より大きい。それに、そもそも猫がどこで把手を持つというのか? 普通の使い魔用の武器は体に装着して使うもので、把手を手で持つという事はほとんどない。


 しかし、マナはそれ以上は説明するつもりはなかった。後は試合を見れば理解できるという風で周囲の視線などどこ吹く風だ。こういう態度が二つ名を裏付けているのだが、本人はそのことには全く気付いていない。


 2人が揃って準備ができたので、審判であるシシーとミレイが闘技場に上がって試合ルールの説明を始めた。


 ルールは公式試合のルールに準じる。ただし、対戦は使い魔同士の1対1で行い、マスターは使い魔に指示をすることは可能だが闘技場に触れてはいけない。もちろん、外から魔法で支援してもダメ。違反したらその場で負けとなる。


 「では、各自、使い魔を闘技場に上げてください」


 シシーの声でマナとバドルスはそれぞれの使い魔を闘技場へ上がらせ、自分自身は脇に備え付けられたベンチに座った。


 それまでひそひそ声の聞こえていた観客席も、いよいよ試合が始まるということになって急に静寂に包まれていった。


 オロンは相手が小さな子猫であっても油断なく闘志をみなぎらせてヘータを睨んでいたが、ヘータは鉄球の把手に尻尾を絡めてオロンを見る様子もなく顔を洗うような仕草をしていた。その子猫の様子に、審判も観客も、子猫が今どういう状況に置かれているのか理解しているのか不安に思った。


 「マナ、いいの?」

 「大丈夫。始めて」


 マナがそう言ったのを受けて、やはり不安そうにしていたシシーだったが試合の開始を宣言した。


 「これよりバドルスくんの使い魔オロンとマナさんの使い魔ヘータの試合を行います。両者、準備はいいですね。では、始めっ!」


 シシーの声を合図に、オロンは口を開いて高温のブレスを先制攻撃でヘータに浴びせかけた。


 オロンの属するゼオウィルムという種は火と風属性の魔力を使い高温のブレスを吐くことで知られている。このブレスの殺傷力は高く、生身で受ければ大怪我は免れなかった。ましてやヘータくらいの子猫なら全身で受ければ死んでしまってもおかしくない。


 観客席からかすかな悲鳴が上がった。


 練習試合でバドルスと戦う時、オロンのブレスは最優先で気をつけるべき攻撃なのだ。先制攻撃のブレスは真っ先に魔法で防御しなければならないもので、それを怠ると負けは確定と言ってよかった。それなのに、ヘータはブレスを防御する素振りも見せなかったのだ。


 しかし、次の瞬間、観客たちは眼前で起きた出来事に絶句した。

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