第4章「デモンストレーション」 - 01
「にゃあ、こいつらにゃにやってるんにゃ?」
「見ての通り、魔法組手よ」
「これが?」
マナとヘータは魔法実技の授業で魔法組手に参加していた。これは2人1組になって自由に魔法で攻撃しあうもので、審判役を立てて有効な攻撃が決まったところで試合終了となる。
練習なので結果が記録に残ることはないが、その点を除けば公式試合とルールはほぼ同じだ。使い魔可、武器可、防具可。危険性の高い攻撃は寸止めで、当たり判定は審判が決める。
闘技場の数に限りがあるので、練習は名前を呼ばれた順に闘技場に上がって戦うことになる。相手は呼び出された順で決まるので、自分では選べない。
「次、マナ」
「はい」
マナは名前が呼ばれると、特に何の準備もせず、いつも通りヘータを胸元に入れただけで闘技場に上がった。今日は剣は持っていなかった。それに対し、対戦相手は全身に防具を身に着けていて、その前に犬系の使い魔を立たせていた。
「マナは防具とかつけにゃいのか?」
「攻撃が当たらないのに防具をつける意味なんてないよ」
「そっか」
そう言って胸元から出て飛び降りようとしたヘータを、マナは手で制した。
「ヘータは練習は参加しなくていいわ」
「どういうことにゃ?」
「ヘータが出ても練習にならないからよ」
マナがそう言うと、ヘータもそうかと思った。
この授業の練習のレベルはマナやヘータの水準からすると低すぎるのだ。ただ棒立ちになって両手印を結んでいるのに魔法の発現に失敗するようなのですら時折起きるほどだ。
使い魔を持ってはいるが、連携はばらばらで仲のいい使い魔同士が主人を放っておいてじゃれ合い始めるのなんてよくある光景だ。他にも、相手の使い魔の大きさにびびって主人を置いて逃げ出したり、逆に主人の制止も聞かずに暴れまわったりと、トラブルには事欠かない。
中等部の魔法実技というのは、こういうどうしようもない状態から試合らしい形になるところまで持っていくのが最大の目標なのだ。先日やったマナとバドルスの試合のようなものは、極めて特殊な例外なのである。
「よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
対戦相手もそういう普通の男子学生の1人でマナとの対戦ということで緊張して声も震えているようだった。
「始め」
「<発現>」
開始早々、相手は両手印を結んで魔法を放ってきた。あらかじめどの魔法か決めてあったのか、かなりいい速度で魔法が発現した。
「<発現>」
対するマナは、片手だけ挙げてのんびり印を結んで防御魔法を発現して攻撃を掻き消した。




