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第3章「デビュー」 - 07

 教室にはマナやカルネのように使い魔を連れてきている学生もいるが、そう言う学生は少数派だった。


 花形の戦士職の場合、一般的に大型の使い魔を持つ方が有利になるので大抵の学生は可能な限り大型の魔法生物を使い魔に選んでいる。しかし、大型の使い魔は教室に連れてくることはできないので、必要な時以外は学園の厩舎に預けておかなければならないのだ。


 マナの新しい使い魔についてはクラスの全員が気になってはいたが、積極的に話を聞こうというものはいなかった。送別会で少し打ち解けた様子を見せたと言っても、その場にいたものはそれほど多くはなく、すぐにマナの印象が変わるわけではないのだ。


 そう言う意味では、バドルス、ミレイやカルネはマナに遠慮することなく声をかけられる貴重な例外なのだった。



 お昼になって、いつものように一緒に昼食を取ろうとミレイがマナの席にやってきた。


 「マナー。今日はどこでご飯食べる?」

 「んー。気分的にはパルバンかな?」

 「ちょーいいねー。じゃ、パルバンにしよっか」


 パルバンはパスタとデザートが美味しい食堂で講義棟からはちょっと離れたところにあるのにいつも列ができている人気の食堂だ。学園内には食堂がいくつかあるが、あたしとミレイのお気に入りランキング上位の食堂の1つである。


 そうと決まったらすぐに行かないと行列の後ろの方に並んでしまったら空腹で長時間待った挙句、最悪の場合、時間切れで昼食が食べられないこともありえる。学園内は飛行禁止だから走っていかないといけない。


 「号外ー。号外ー」


 パルバンに着くと食堂の前に新聞部員がいて号外を配っていた。


 通常版の校内新聞は購読にお金がかかるが、号外はビッグニュースがあった時に、次号の宣伝も兼ねてただで配っているのだ。ここで号外が配られているということは何かニュースがあったに違いない。


 「一枚頂戴?」

 「あわわっ!!」


 マナが号外を配っている子に声をかけると、その子はマナの顔を見て驚いた顔をして号外を渡すなり急いで走り去ってしまった。


 「なに! 人の顔を見て逃げるなんて失礼ね」

 「ははは。それは仕方ないんじゃない」

 「! ミレイまで、何それ!」

 「だってこれ読んでみてよ」


 ミレイはそう言って今もらったばかりの号外を指でちょんちょんとつついた。


 「えっと……、『沈黙の女王、相棒は子猫!?』って、はあっ?」

 「そりゃ、本人がいきなり登場したらちょーびっくりするって」

 「カルネのやつ、この名前はやめてって言ってるのにっ!!」


 『沈黙の女王』というのは二つ名というものらしい。取材しようと質問しても全く返事をしてくれないからだそうだ。カルネが命名したのだが、何が受けたのかこの名前を使うと部数が伸びるということで、何度抗議をしても止めてくれない。


 大体、一介の中学生である自分のどこが女王なのか。校内新聞はマナの実像からかけ離れた虚像を作り出して無責任に面白がっているだけなのだ。とマナは思う。


 とはいえ、この程度のことで新聞部に殴り込みに行くわけにもいかないし、それをしたら余計に虚像に信憑性が生まれてしまうので諦めるしかないのだ。


 「全く、人が使い魔を契約した程度のことが何でそんなに気になるのよ」

 「そりゃ、マナの使い魔だからね。みんなちょー気になると思うよ」

 「人のことを気にしているくらいなら自分の使い魔のことをもっと真剣に考えるべきだわ」

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