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第2章「契約」 - 10

 「終わった?」


 光が消えたのを確認してマナは手を地面から離し、何度か手を閉じたり開いたりした。特に何か変わった様子はない。


 使い魔の契約は知識としては知っているものの実際に見たことはなかった。なので、今のように光の鎖で結ばれるのが普通なのかどうかも分からない。


 「胸元を見てみるにゃ」


 そう言われてマナは襟首を引っ張って自分の胸元を覗き込んでみた。するとそこに、これまで見たことのない痣のようなものが見つかった。


 「契約印にゃ」


 ――ちょっと待って。この声は誰?


 にゃあにゃあという猫の鳴き声に重なるように聞こえる声に今更気づいたマナは、声の主を探してきょろきょろとあたりを見回した。


 「こっちにゃ」


 そして、あたりに誰もいないことを確認して、ようやく声の主が目の前の子猫だと理解した。


 「あなた、何でしゃべってるの? これがさっきの魔法陣の効果?」

 「まあ、そうだにゃ」

 「あの魔法陣は何? 使い魔の魔法陣とちょっと似てたみたいだけど」

 「あれは盟友の魔法陣にゃ。昔、マギとセリアニーがお互いを認めて盟友ににゃった時に交わされた契約の魔法にゃのにゃ」

 「ちょっと待って。マギとセリアニーって神話時代の話じゃない」

 「そうにゃよ。って、もしかして中身も分からにゃいのに契約したのか?」

 「あはは」


 子猫はあきれた様子でマナを見たが、マナもその通りだと思うので笑うしかない。


 ちなみに、マギとセリアニーとは、現在の知的種族の祖とされているマギ、セリアニー、リリパットの3種族のうちの2種族のことを指している。そのうち、魔法が使えたのはそのマギとセリアニーだけだったので、この2種族は魔法使いの祖と言ってもいい。


 「で、どういう契約内容なの?」

 「心配しにゃくても大した契約じゃにゃいにゃ。お互いの言葉が分かるようににゃるのと、離れていても何かあったら虫の知らせが働くくらいのことにゃ」

 「そ、そう。べ、別に心配してないけどね」

 「あ、それと、この契約をしたら使い魔の契約はできにゃくにゃるからにゃ」

 「ん? あ、それなら問題ないわ」

 「ん?」

 「あなたがあたしの使い魔なんだから」

 「は? 誰が誰の使い魔だって?」


 マナが当たり前のことのように言ったことに、子猫が噛みついた。


 「あなたがあたしの使い魔よ。魔法が使える子猫が使い魔って、なんかいいわよね」

 「何で俺がお前の使い魔ににゃらにゃきゃにゃんねーんだよ」

 「そりゃ、あたしの方が強いんだから当然じゃない」

 「にゃに寝ぼけたこと言ってんにゃ。さっきの戦いはどう見ても俺の方が優勢だったじゃにゃいか」

 「は? 優勢はあたしの方でしょ。だって、あたしは手加減してたけど、あなたは全力だったじゃない」

 「どうやらもう一回、ちゃんと勝負を決めにゃいとにゃらにゃいみてーだにゃ」

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