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第2章「契約」 - 06

 その上、子猫の使った魔法が2属性魔法だったこともマナには驚きだった。


 子猫の魔法は木の手裏剣を風圧で押し飛ばすというものだったが、これは木属性と風属性の2種類の属性を同時に使っている。


 複数属性を同時に使うのは、干渉で魔法が消滅する可能性があるため繊細な魔法の制御が必要になる高等技術だ。一朝一夕に身に着くものではないし、学園を卒業するまで使えない魔法使いも少なくない。


 子猫の使った魔法は攻撃の主体はあくまで木の手裏剣で、風属性は加速のための補助だったので2属性としては難度は低めではあったが、発現速度を考えると驚くべき熟練度だった。


 「やるわね。だけど、尻尾1本で防御は間に合うかしら」


 子猫の実力を目の当たりにしてこれ以上の油断は禁物だと、マナは子猫を攻撃魔法の標的にすることを決めた。


 それは、攻撃魔法を生き物に向けられないマナにとっては考えられない決断にも関わらず、不思議と違和感は感じなかった。戦いを通して、不思議なことで本人にも無意識のことだったが、マナの攻撃魔法はきっと防がれるのではないかという奇妙な信頼感を感じていたのだ。


 「<発現(レムス)>」


 マナは左手に火と風の攻撃魔法を結印しながら、隠した右手で水と土の攻撃魔法を発現させた。さっき防御魔法を左手で発現させたとき手を前に出していたので、今度はそれを囮に使ったのだ。


 「<発現(レムス)>」


 子猫が土石を含む濁流に押し流されそうになった瞬間、子猫の周りに竜巻が巻き起こり、土石流を弾き飛ばして子猫を宙へと逃した。


 ――こんなに速いの!?


 驚くべきことに子猫はマナの左手の囮には引っかからず、攻撃魔法の発現を待ってから防御魔法を決定したのだ。


 これは本当の本当に本気を出さないと話にならないかもしれない、とマナは内心舌を巻いていた。


 ――あぶにゃー。間一髪だったにゃ。


 マナの驚愕とは裏腹に、子猫も冷や汗をかいていた。


 攻撃魔法が単一属性の場合、防御魔法の属性をランダムに決めても防御が成功する可能性は高い。属性は火、水、木、土、風の5種類あるので80%の確率で成功する。片手印をマスターしていて、腕が2本あれば100%防御も可能だ。


 しかし、2属性となると成功確率も60%まで下がる。しかも、子猫には尻尾が1本しかない。


 なので、確実な魔法防御のためには攻撃魔法の手を読むことが必須となる。


 一番基本的な方法は結印を読むことだ。ただ、これは印を隠すだけで対策できてしまう。また、印の形や手順を意図的に複雑にすることも有効だ。


 ならば、結印の内容に頼らずに発現した瞬間の魔力を感じて属性を決めれば間違いはない。ただし、真正直にそれをすると防御魔法の発現がどれだけ頑張っても間に合わず、攻撃魔法を防げない。


 だから、標準的な結印の手順を組み替えて、魔法の属性を決定する部分をなるべく最後の方に移し、攻撃魔法の属性が決定する前に印の大半の部分を終わらせてしまうことで、属性決定から発現までの時間を短縮する手法が知られている。


 ただ、現実的にここまでのテクニックを使うことができる魔法使いはほぼ皆無だ。そもそも、まず発現した直後の魔力を感じるというところで大半の魔法使いは脱落してしまうからだ。


 子猫はこのテクニックを使っていたからマナのフェイクに惑わされることなく魔法防御を成功させたのだが、子猫にとって予想外だったのはマナの結印速度の速さだった。

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