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わたしの嫁は神様でした  作者: 真咲 透子
2. 季節外れの転校生
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6. 平凡が崩れる音

ちょっと短いです。

 廊下を歩きながら、一つの疑問が浮かんだ。私、昨日瀧川くんに花婿って言われた……?婿ってお嫁さんお婿さんの婿?瀧川くんには私は男の子に見えたのか!?ショック!!これは由々しき問題だ!!!


 考えるべきはそこじゃないってことは分かってる。でも現実逃避くらいしてもいいじゃないか!!歩く速さが段々速くなる。最後にはほぼ駆け足で教室に入った。


「おはようちーちゃん!」

「おはよう、今日は早いわね」

「ちーちゃん!私、男の子に見える!?」

「……は?」


 千尋はいぶかしげな顔をした。


「見えるわけないじゃない。頭でも打ったの?」

「ほんと?本当に!?」

「朝から何言ってるの?……じゃあ絢音は私のこと男に見えるの?」

「ちーちゃんは美人に見えるよ!」

「………」


 やった!ちーちゃんからお墨付きをもらった!!安心する私とは裏腹に、千尋は非常に冷ややかな目で私を見ていた。


「絢音、隈ひどいわよ。また夜遅くまでゲームをやっていたのね」


 千尋はどこか納得した風だった。私がおかしい+目の下に隈ができてる=ゲームのせいという図式が千尋の中でできているみたいだった。今日は助かったけど、けっこうひどくないか?


「その前に、私たちがあげたブレスレットはどうしたの?」

「ごめん、忘れちゃった」


 てへぺろ



「……………………忘れ、た?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!」


 絶対教室の温度が下がっているよ!!美人は気温も操れるんだねすごい!!!


「どうして?いつも着けててって私言ったわよね?ねぇ、これもゲームのせいなの?」


 怖い!!ここ数年で怖い!!でも仕方ないじゃないか!自分で直してもきっと千尋にはばれるだろう。作った本人なんだから。でも、本当のことを言うとそれだけでは済まされないような予感がしていた。

 いつまでも持ってこないって訳にはいかない。しかし今日はそうするしか方法はなかったのだ。


「はよー……お前らどうしたの?」


もう絶対絶命ってときに蓮が教室に入ってきた。


「蓮!!!」

「聞いて、蓮。絢音ったら私たちがあげたブレスレットを忘れてきたのよ」


 千尋が蓮に抗議する。蓮は困ったように笑いながら言った。


「全く絢音はしょうがない奴だなー。昨日夜遅くまでゲームしてたんだろ」


 ブルータス!お前もか!!


「まぁ、人間誰だって忘れることあるだろ。そう怒るなよ」

「蓮は絢音を甘やかしすぎ」

「忘れてしまったもんは仕方ないだろ。……でもな、絢音、」


 蓮が言葉を切った。


「何かあったら絶対に俺たちに言うんだぞ?」

「………うん」


 千尋と蓮はまだ何やら色々言い合っていた。私は困り顔で聞いていたが、胸の中でちくりとした痛みを気づかれぬようそっと隠した。



 

 はーい。待ちに待った放課後がやって参りましたー。


 授業がずっとあればいいのにって思ったのは後にも先にもないと思う。来てほしくない時間ほど、すぐ来るよね!なんでなんだろう。ラスボス瀧川くんのお出ましの前に私が戦わなければならない相手は、シークレットボスの千尋だった。


「どうして今日も一緒に帰れないの?」

「……ごめん」


 千尋はご立腹だった。ただでさえ今日はブレスレットを忘れてしまって終始不機嫌だったのに。


「委員会は今日はないわよね?」

「うん」

「理由はなに?」

「………」

「絢音?」

「……………………………呼び出された」


 嘘は言っていない。


「は!?誰に?!!!」


 千尋はすごい勢いで私の肩を掴んできた。


「私も行くわ!!」

「え!?だめだよ!!」


 千尋に昨日のことなんて話すことはできない。うまく説明できそうにもないし。


「呼び出しっていつされたの?今日はいつも以上におかしかったわよね?……やっぱり昨日何かあったのね」


 ちーちゃん鋭い!呼び出しは今日されたけどね!!


 千尋は、誰も近づかないようにしてたのに、だの牽制してたのに、だのよく分からないことを呟いていた。


「分かった!ちーちゃん教室で待ってて!!その後一緒に帰ろう!!!」


 ちーちゃんには悪いけど、待っててもらおう!!そしたら問題ないよね!


「……は?」

「大事なお話らしいの!!だからちーちゃんを連れてはいけない!ちーちゃんもし来たら………」


 決死の覚悟をした。


「ちーちゃんと一週間口きかないうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!」

「!!!!!」


 私は言いながら走りだした。言ったこっちが瀕死のダメージ受けたよ!

ちーちゃんと一週間もお話できないとか嫌だ!!!こっそり後ろを振り返ったら、千尋は固まっていた。


 効果は、てきめんだったようだ。




 そんなこんなで、ホームルームからかなりの時間が経っていた。

一応気持ち程度に急いで来たが、屋上前の踊場には人影があった。


 瀧川くんだ。



「行村さん」

「……遅れてごめん」

「じゃぁ、話をはじめようか」



 瀧川くんが、ゆっくりとこちらを見た。私は彼と向かいあった。

碧くんのラスボス感、ハンパないですね笑

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