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RotD:#01. バケツ頭のディスポーザー  作者: 夏瓜 竹海
2、しあわせの食卓
16/17

2-20

「むちゃくちゃ惚れられてるね」LCが云った。

「そうかな」

「めっちゃ恥ずかしい。なに? わたしの身体を好きにして? 変態」

 ムッとした。「盗み聞きは健全か?」しまった。機嫌を損ねたらまた一方的に切られる。こちらからは接触の術がない。

「おっぱい大きいんだ。良かったね」

「うん、まぁ、普通だよ」

「違うでしょ!?」LCは憤然とし、「触って、だよ!? 自信なきゃ云わない!」

「そう……かな」なんで僕は怒られているのだ。

「変態」

「あのね、LC。僕たちは、まぁ大人でね、そう云うことは、コミュニケーションのひとつなんだ」

「なによ、年上ぶって」

「君が思うほど、大人なんて立派なものじゃない」

 ふうん、と見下すような音を投げてきた。「バカみたい」

 駆け引きなんて、徒労だと感じた。

 だから、「ねぇ、LC」

「なに?」

「君は何がしたいんだ? 何が目的なんだ?」

 沈黙。

 しくったか、と思った沈黙の後、LCは云った。「大人のエッチな事、教えて」

 面食らった。「君に僕が?」

「違う」言外に軽蔑したよな響きがあった。「おにーさんと、おにーさんの彼女」

「それはどう云う──、」

「今度のデート、あたしも行く」

「デートってのは二人でするからデートなんだ」

「ふーん」

「君からの着信があっても、僕は受けない」

「そうなの?」

 無理だ。障壁が役に立たないのは実証済みだ。

 LCは分かっていて挑発している。けれども、僕は譲らなかった。

「後日、どうだったかを話すのなら構わない」

「そう」LCは云った。「分かった」

 意外や、少女は簡単に引き下がった。

「怒った?」一応、訊ねてみた。

 するとLCは、アハ、と笑った。「怒った? そう云うことをわざわざ訊くって」アハハハ。「デリカシーないって云われない?」

「さぁね」子供にからかわれるのは、あまり気分の良いものでない。人に笑われるのも好きじゃない。

「ま、いいや」LCは云った。「またね、おにーさん」

「うん、」

 通信を切りかけ、「あ、そうだ」遮られた。「お腹の下の方が痛いのに、なんだか気持ち良いって、なに?」

 インプラントしたマグは、非接触ながらも脳と繋がっている。

 言語野。言葉を司る。だから僕らは、声に出さずに通話できる。

「おにーさんが、おにーさんの彼女の事を考えると、変な気分になっちゃう」

 不思議だね、とLCは云った。「だって、わたしのそこって何もないもん」

 扁桃体は、脳のもっともっと奥にある。

「おにーさんのエッチ」

 アハハ。

 笑い声が頭の中で跳ね返る。

 アハハハ。アハハハハ。

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