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RotD:#01. バケツ頭のディスポーザー  作者: 夏瓜 竹海
1、バケツ頭のディスポーザー
11/17

1-9

 しばらくコージが消えた先を見つめたままウィリアムは動かないでいた。

 お互い様。自分も同じドブの中をざぶざぶ首まで漬かっている、ネズミの仲間。


   *


 バールならぬロッドの仕入れは自分でした。

 加工屋の知り合いがいる。飲んだくれだが、その腕は今のところ信用できる。一年後は分からない。

 寸法を伝え、仕上がりの日程を教えて貰い、見積りの一割を前金で渡し、仕上がった後、残りを払った。前金は五割だと加工屋は云ったが、出来上がった物がアルコールに浸されていてはたまらない。それに後金の使い道は決まっているから、仕上がりも早くなる。

 以前、ウィリアムはコージからトンファーを譲り受けたことがある。「あんたには特にいい得物だと思うぜ」なかなかの出物だぜ?

 すぐに折れた。すぐにコージのケツに刺しに向かった。

 尻を丸出しでコージは泣きながら云った。「あんたの力加減が規格外なんだよ」

 ケツにはタバスコで許してやった。ヒィヒィ泣いて喜んでた。

 後日、やり過ぎたと思い、ロバートの隠していた菓子を持って行った。

「もしかしたら俺も、ババつかまされたかもしれない」

 ドーナツ型クッションに座っていたコージは、菓子を受け取り、殊勝にも自分の非を認めた。

 その件は、それで終わった。

 だが、今回のような高額取り引きとなると、ババでは済まされない。

 結局のところ、ヤツは高みの見物人で、こっちが身体を張るのだから。


   *


 突き刺すような赤い光が闇を切り裂き、木々の影を浮かばせる。

 ディフェンサーだ。

 骨格をむき出したような金属製のひょろ長い姿は、昆虫めいた脚の先に取り付けられたローラーで、整備不十分のうねる路面の上を巧みに滑る。肩には、クリア成型のプラスチックの盾を左右それぞれに備えており、今にも飛び立とうかと、まるで翼のようにそびやかしている。


 ピヨーン、ピヨーン。

「夜間の外出は危険ですのでお控えくだださい」

 ピヨーン、ピヨーン。

 警報の合間に、女の機械音声が警告を発する。

「外出許可証未携帯者は強制保護します」

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