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Calling down an angel  作者: yonexer
ケザイア
2/21

01

  瀬戸山要は高校生である。野球が大好きで小学校の頃からチームに所属している。

  小学生のときは人数が少なく、試合に出ていたが、中学の野球部では試合に出たことがなかった。それも二回戦で消えるような軟式野球部で、である。小学のときのチームメイトはスタメン出場する者もいたし、なかにはシニアでバリバリ活躍する者もいて、要はちょっぴり置き去りにされた気分だった。

  練習態度や素行も真面目だったが要の運動音痴は郡を抜いていて、振れば三振、守れば失策、走る姿はドンガメさんであったから、これは仕方のないことといえる。監督も温情をかけて最後の大会ではベンチ内に登録したものの、チームがサヨナラ負けをしてしまったため、ついぞ要の出場はならなかったのだ。それでも野球好きが収まることなく、高校に入っても当然のように野球部へ入部届けを出した。


  要には野望がある。中学時代叶わなかった公式戦出場を、今度こそしてみせようと。

  要には勝算があった。彼は中学までは東京にいたが、親の転勤に伴って北海道の高校へ進学した。これは家族と離れて暮らすなんて考えられないという、要の可愛らしい一面でもあるが、しかしその裏、レベルの低い北海道の野球部なら自分でも試合に出れるのじゃなかろうか、あわよくば、三年になるころにはスタメンもあるんじゃないかというこの上なく情けない希望も一つの理由となっている。

  北海道の高校野球というと、野球に詳しい人なら、夏の甲子園で三連覇しかけた、球界のエースがいた、あの高校を想像しがちである。一見するとそんなにレベルの低さは感じないであろう。

  だが要は知っていた。冬場練習できない北海道で、道大会に出てくる前に消える幾多の高校はそんなにレベルが高くないことを。さらに念には念を入れて、要は勉強をがんばり進学校の坂の上高校へ入学した。

  そして要は知らなかった。坂の上高校が夏の大会で地区大会を突破し道予選まで進み、奇跡の大躍進だと盛り上がっていたことを。勉強にかまけていたからである。

 


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