幼少期編② 寺子屋
むむむ…。
これ絶対主人公子供なのに考え方がヤバイですが、訳有りなので悪しからず。
訳有りなんです。
「今日から新しく入ることになった信道焔哉君だ」
慧音先生に紹介され、ペコリと頭を下げる。
「焔哉は外来人で、昨日来たばっかなんだ。幻想郷の事は知らないと思うから、皆教えてやってくれ。その代わり、勉強は出来ると自分で言っていたので教えて貰うといい」
訳在りですけどね。いずれ話します。
「信道焔哉です。よろしくお願いします」
「じゃあ席は……魔理沙の横な」
魔理沙ちゃんの隣か。昨日会ってるから気まずくはならないだろう。
「よろしくね、魔理沙ちゃん」
「うん」
あいさつして座ったらいきなりワッと周りに集まってきた。
「ねぇ、君って能力持ってるの?」
「魔理沙とどんな関係?」
「勉強出来るってホント?」
「人里の事知らないでしょ? 今日案内してあげる!」
……これも外と変わんないですね。
「そんな一遍に言われても…」
「「「「ご、ごめん」」」」
まぁ……
「魔理沙ちゃんとは昨日会っただけで、貴方が思ってるような関係じゃありません。勉強はそこそこ出来ると思います。ここの案内ですか? やってくれるならお願いします。あと……能力ってこうゆうの?」
そう言って周りの空気の温度を下げる。
「あ、ちょっと寒いかも」
「ほぅ、能力持ちだったのか…」
慧音先生にも言われた。
「後はこんな感じかな…?」
そして今度は温度を上げる。
「あ、温かいっていうか暑いっていうか…」
「さしずめ『気温を操る程度の能力』って所か…」
と納得いったように言う慧音先生。程度の能力? って疑問に思っていたら、ここじゃ能力を『~~~程度の能力』って表すんだって魔理沙が教えてくれた。今僕は±15℃っ位しか操れないんだよな。じゃあ何をやったら(・・・・・・)ああなったんだ(・・・・・・・)?
っとと……。僕はそれを忘れる為に来たんだ。思い出したらダメだ。ブンブンと頭を振って気を取り直す。
「まぁいい。今日は自習って事で焔哉に人里を案内してやれ」
「「「はーい!」」」
「ほら、焔哉行こ!」
魔理沙に手を捕まれ、引き吊られて行く。
「うん。行こうか」
そう言って皆で外に出た。
●
丸一日かけ、人里を案内して貰った。ここの蕎麦が美味しいとか、ここの駄菓子屋は品揃えがいいとか、ここ私の家だとか。まぁ、全部覚えられた(・・・・・)んだけどね。結構広かった。
「どうだった?」
って聞いてくるのは慧音。今は寺小屋からの帰り道。
「楽しかったよ。皆優しく教えてくれた」
「そうかそうか…」
割と嬉しそうな顔をして頷く。
「疲れただろうから、居間でのんびりしててくれ。すぐに夕飯を作るよ」
「分かった」
そう言ってくつろごうとしたら
「けーねー、邪魔するぞー」
誰かが来た。
「慧音、居ないのか?」
襖を開けて入って来た。そしてちょこんと座ってる僕を見て
「お前誰だ?」
「信道焔哉です。貴方は?」
「私は藤原妹紅。で、慧音は?」
「夕飯作ってます」
そうか、と言って腰を下ろした。なんか随分とあっさりした自己紹介だった。
だけど、何を話したらいいのか分からず二人して黙ってしまう。
「………」
「………」
沈黙が続き、時間だけが過ぎてゆく。
一分・二分と過ぎて行き実に十分ほど経った頃。
「焔哉~、ご飯出来たぞ。ん?妹紅来てたのか」
「あ、あぁ。飯貰いに来たんだ。あるか?」
「あぁ、あるよ。ちょっと待ってくれ」
もう一人分のご飯をよそい、居間に持って来る。
「「「いただきます」」」
●
とりあえず食べ終えてのんびりしようと思ったら、妹紅さんが酒を飲み始めた。
「おうお前も飲め!」
絡み上戸だ。
「妹紅さん。僕は飲みませんって…」
「妹紅さんだなんて白々しいな。呼び捨てかあだ名で呼べよ!」
……どうもこの幻想郷とやらはノリがいい人が多いな。
「……分かりました」
「よし、飲もうか。けーねー、焔哉の分の酒持ってこーい!」
いやいやいや、飲むなんて言ってないって!飲まないから!
で、慧音は?
「なんで皆私の授業を聞いてくれないんだ……」
泣き上戸だった。
「おう、焔哉飲めって」
「そうか、皆私の事が嫌いなのか…」
絡み上戸に泣き上戸。まだ寺子屋通い初めて一日の僕にどうしろと。
悶々と考えていたら後ろから来ていた妹紅に気付かず、酒瓶を口に入れられ、酒を飲まされた。
「ん!?……んく…んく……ぷはっ」
「どうだ?酒の味は?」
妹紅が何か言ってるけど分からない。視界がグルグル周り、足元はふらつく。頭の中で何も考えられず、何か熱い物が体の中に入って来た事しか分からない。
「ぁ……ぅぁ……」
意識はもう飛ぶ直前だ。保ってる事事態が奇跡に等しい。
だけど妹紅は
「お、まだ行けるか。じゃあやるよ」
今度こそ意識が飛んだ。
にじふぁん閉鎖とか有ったけどとりあえず投稿。
無理だったら何処行くとかは決まってない。