プロローグ
日本人ならば誰もが一度は見たことのある某ネコ型ロボットをご存じだろうか?
簡単に言うと真っ青なタヌキのような姿をし、人間の机の引き出しから物理的法則を無視して飛び出し、あまつさえ『自分は未来から来たロボットだ』などと口に出して来るアニメの中のロボットだ。
え、知らないって?調べてみてくれ。
俺が言いたいのはそのロボットのことじゃないんだ。言いたいのはその馬鹿にしたよう設定のロボットとなんら違和感なく笑顔で暮らしを共にしているアニメの中の家族についてなんだが、普通考えられるか?ロボットが言語を話し、人間のように滑らかに動き回り、未来から来たなどとぬかし、最終的に面白可笑しなビックリ仰天グッズの数々を小さなポケットから取り出して来るんだぜ?
もう一度言おう。普通考えられるか?
もしもそんな得体のしれないロボットが現実に自分の目の前の引き出しから飛び出して来て、『やぁ』なんて爽やかな挨拶をされたとして、そんなのと一緒に暮らす気になるか?
俺には気色悪くて出来ないね。そして今は外国でヨロシクしている親も、そいつと共に暮らそうなんて選択をするとはこれっぽっちも思わん。選択したとしても、俺の中に眠る全ての力を持って阻止するね。つまりだ、アニメの中の家族一同は脳の一部が抜け落ちているとしか思えないわけなんだよ。…何イタイこと言ってんだろうね、俺。
しかしだ、もしも本当にそんな状況が自分の今いる現実で起こったら、俺はどんな行動を取るのかねぇ。先に言っておくが俺は至って普通の17歳だ。別に摩訶不思議な能力も持ち合わせちゃいないし、過去に特殊な歴史が有り今はそのことを忘れてるなんていう設定も有りゃしないし、そして精神錯乱状態って言うわけでもない。もちろん俺の周りにもそんなおっかなびっくりな奴も居なければ、魔法のような道具を売っている白ヒゲ爺さんの経営するような店もない。何から何まで普通だ。と思う。
さて、話しを戻すが、もしも自分の家にそんな得体の知れない存在が現れたらどうするだろうって話しだったな。
どうもせん。帰らせるね。
万が一それが絶景の美女だったり、素性の知れているアイドルだったり、テレビカメラが後ろで回されている芸人だったりするなら話しは別だけどな。
だが、普通の俺にそんなことはまず無い。断言出来る。
いつものように隣で大笑いしながら馬鹿をやっている仲間達と、学校での試験の成績に少しばかり頭を悩ませるのが一般ピープルである俺のこれからの生き方だ。
さて、そろそろお気づきと思うが、そんな『得体の知れない存在』が、何事も無くノーマルすぎる俺の人生の路線へと上がり込むことになる。
そしてそん時の俺の判断が、正しかったのか間違いだったのかも未だに自分でもわからん・・・。今思うと、そこから俺の人生は慌ただしく変化して行ったような気もする。まぁ、今でも十分慌ただしくはあったが・・・。
何処から話せばいいものかな・・・そうだな、まずはそいつと出会った一番初めから語ろうか。