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(仮)  作者: イオン水
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第5話 お兄ちゃん

街道を外れ森の中を移動していたが日が暮れ視界も悪くなったので野営をする。

追われている為に火をおこす様な事は出来ない為に干し肉でおなかを満たした。

夜の見張りは僕と美女さんと爺で2人交代で行う事に。

姫は丸一日走り回ったらしくすぐに疲れて寝てしまった。

妖精少女は子狼と一緒に寝ている。

一人で寝るときは毛布に丸まって団子のように寝るのは種族的な寝方なのか個人的な寝方なのか興味は尽き無い。


美女さんとの見張りのときは「ついでに夜間戦闘の訓練しましょう」と言われ軽い気持ちで同意したら「じゃぁたまに投げるので避けてくださいね」と頭に小石をいっぱいぶつけられた。

魔王の『鈍すぎだな』という声がうるさい。

爺と2人の時はたまに会話をする程度で特に何をするというわけでも無かったので魔力特訓をした。

早く魔力制御が出来るようになって妖精少女の首輪を外してあげたい。




翌朝、日が出る前には出発。

姫は自分一人寝入ってしまった事を恥じ入っていたが「疲れを癒し万全の体制を整えるのも旅では大事な事です」と笑顔で諭されていた。

御者は美女さんと爺が交代で行う。まだ僕はうまく出来ないので役に立てない。

昼前に一度馬を休ませたが日が沈むまで移動をし2日目の野営を行った。


見張りを行うと言う姫と休んでくださいという爺とで言い合いになった(と言っても爺は及び腰だった)けど姫の意思は変わらず今日は試しに行うことになってしまった。

さすがに姫を1人にカウントできるわけも無いので美女さんと同じ時間を担当する事になた。

その話を聞いていた妖精少女が「じゃあ私も」と言っていたが1刻もしないうちに寝てしまっていた。(可愛い!)


昨晩と同じように美女さんと一緒のときは小石を頭にぶつけられた。

姫は当初は少しの物音でも反応をしていたけどすぐに落ち着いた。

途中からは僕と美女さんを眺めていたが「投げてみます?」という美女さんの申し出には「え、いえ、いいです」と少し慌てていた。

爺との時も昨日と同じように魔力制御をした。




3日目の朝も同じく日が昇る前に出発する。

出発して数刻、森が開け小さな泉があったのでそこで早めの休憩を取る。

そこで今後の方針を話し合う事になった。



ここまで来ると馬車で移動すれば昼前には森を抜ける。

その後は草原を数刻走れば目的の館は見えてくるらしい。

ただ敵も翁を頼ることは予想しているはずで必ず兵を配備していると予想され、さすがに領地内にあからさまな兵を配置出来ないとは思うが馬車で突破するのはかなり難しいと思われる。



爺「姫たちにはこの場で待機してもらってこの先は私一人で向かおうと思います。」



その言葉に姫が声を荒げようとするのを爺が手で制す



爺「お聞きください。森を抜けた所の兵士もそうですが、もし館にたどり着いても一安心と言うわけではありません。」



翁は捕まり館に敵がいる可能性は0ではない。

なので爺が一人で館に向かい確かめた方がいい。

森を抜けてからでも爺の足で半日ちょっとあれば館に付く。

すぐに戻ってくれば1日ちょっとで戻ってくれるはず。



爺「ですのでもし1日半たって戻ってこない場合はすぐにこの場を放棄し逃げてください」


姫「!」


美女さん「もし逃げるとして、当ては?」


爺「・・・近くにはありません。もし逃げる場合は国境を越えて隣の国へ亡命してください。」


美女さん「隣国へ亡命して姫の身は安全なのですか?」


姫「隣国には第一王女のお姉さまが嫁いでおります。」


爺「あの方なら姫を悪くはしないでしょう」



方針は大体決まった。



魔王『またお主は何も言っていないな』


―悪かったね!


美女さん「話は分かりました。ただ幾つか提案があります」


爺「どういった内容でしょう」


美女さん「私も同行しましょう」


爺「いや、しかし」


美女さん「敵は姫様と爺の2人組みを探しています。もし発見された場合に爺のみだと姫様を探して森を捜索される危険性があります。」


僕「なるほど。そこで美女さんが同行して目くらましにするんだね。」


魔王『うまく話しに割り込んだな』ニヤリ


―うるさいよ!


美女さん「マントを被れば少々の身長差は誤魔化せるでしょう」


爺「しかしこの先は危険だ」


美女さん「私はこう見えても結構強いですよ?」


爺「いえ、それは最初に助太刀頂いた際に理解してますが」



姫を守って欲しいと爺の意見に美人さん「2人の方が生存率が上がります」と笑顔で押し切った。

出発は森を抜けるときに暗いほうが言いと言うことで日が落ちてからになった。

人は滅多に来ない場所らしいけど念のために泉から少し離れてぱっと見ても分からないように馬車に偽装を施す。

昼までの間に近くに危険な生き物が居ないかを探したが居ないようだった。






僕「美人さん」


美人さん「どうしました」


僕「1日ちょっととはいえ僕と妖精少女と姫だけになる状況を考えたら妖精少女の事は伝えた方がいいと思うんだけど」



少しはなれた所で姫と一緒にじゃれ合ってる子狼を一緒に見ている妖精少女を見る。

数日だけど妖精少女も姫に対してはあまり警戒心を抱いていないようだ。



魔王『お主よりは懐いているな』


―そんな気はしてたけど煩いよ!


美女さん「そうですね。お二人なら信頼できると思いますし、当分一緒に行動する事になりますので話して起きましょうか。爺はうすうす感じていたようですが」


―さすが年の功というやつなのかな。


美女さん「だからと言って魔王様の話はしませんので注意してくださいね」


―キヲツケマス



姫と爺に妖精少女の事を伝えると爺は納得がいった感じで頷いた。

姫は妖精少女が奴隷商人に捕まっていた話を聞いたときは少し悲しい顔をしていたが、話を聞き終わると笑顔になり美女さんの後ろに隠れていた妖精少女の頭を優しくなでてあげてた。


昼からは馬車の周りに簡単なトラップを仕掛ける。

とはいえ何かが近づいたら音が鳴るようなものと、足を取る程度のトラップではあったが何も無いよりはマシだった。

その後は日が暮れるまで順番で仮眠を取る事になった。


夕方に簡単な食事を取り一緒に取り、日が陰りだす頃に美女さんと爺が出発した。

爺は僕の手を取り「姫を頼みます」と頭を下げた。






――――――――――






魔王『そろそろ良いかもしれないな』



掌の石を眺めて魔王が言う。

やっと魔力の制御が出来るようになった。



魔王『だからと言ってまだまだだからな。これからも精進を怠るな』


―うん。うん!



妖精少女は昼寝をしたためいつもより遅くまで起きてるので僕は妖精少女を呼んだ。

姫と連れ立ってくる妖精少女。



僕は警戒されてます?



僕「魔力の制御がうまく出来るようになったので首輪が外せるよ」


妖精少女「ほんと?」


僕「うん。ただ僕が触るけど少しの間じっとしていてもらえるかな」


妖精少女(こくん)


僕「じゃぁこっちに来てもらえるかな」



音を立てずに近づいてくる妖精少女。



僕「顎を上に上げて」



僕の言われたとおり僕の前まで来て一生懸命顎を上げる。(可愛い!)



魔王『今なら何でも命令できるな』


―そうだn、しないからね!何を言うんだ!


魔王『緊張を紛らわそうと思っただけなのだが・・・』ドン引き


僕「じゃぁ少し我慢してね」



僕は妖精少女の首輪を両手で包む。傍から見たら少女の首を絞めてるという少し危ない図である。

包んだ掌から指輪に向かって魔力をゆっくり注ぐ。

薄く青く光る首輪に姫が息を呑む。

魔力の量を調節しながら魔力を注いでいると「パキッ」という音が聴覚でなく感覚で聞こえて首輪の明かりが消えた。



魔王『上出来だ。』



首輪の魔力を相殺することが出来た。



魔王『後は首輪を石のように砕いてしまえ』


―よし



再度少し魔力を込めると「ピシ」という音を立てて首輪にヒビが入った。

後は腕の力を使うまでも無く妖精少女の首から首輪が外れた。



僕「もう大丈夫だよ」



僕がそういうと一生懸命目を瞑って我慢していた妖精少女は目を開け自分の首に首輪が無いのを確認する。

そして首から首輪が無いのを確認すると目から涙が溢れ出した。

姫が後ろからそっと抱き寄せると姫にしがみついて声を出さずに無く。



―良かった。



少したって落ち着いた妖精少女は僕のほうに走ってきた。



僕「どうしたの?」


妖精少女「えっとね。ありがとう」



その一言で今までの苦労が全て吹っ飛ぶのを感じた。

妖精少女はまだ僕の前で何か言いたそうにしている。





妖精少女「ありがとう、お兄ちゃん」





―ぐは!ナニナニナニナニ!何なのこの可愛い生き物は!#○$%□&


魔王『何語を話しているかわからん。落ち着け』



あまりの衝撃に新しい信仰に目覚めそうになる僕に魔王のツッコミが入るが、もちろん僕には届いてない。

「ふおおおぉぉぉぉぉ」と叫びそうになるのを我慢してたらこちらを見ている姫の存在を思い出す。

暗いから表情まで見えないけど微動だにしない。



―ちょっとドン引きしてる?


魔王『してるかもな』



一気に現実に帰ってきました。

妖精少女の頭をなでながら「どういたしまして」というと妖精少女はうれしそうに笑った。(可愛い!)



その後、妖精少女に魔法が使えるようになったけど実際に何を使えるのか聞いてみた。



妖精少女「隠れるのと風と水とお話できる」


魔王『ほう。精霊と話せるのか』


姫「精霊とお話が出来るなんて素敵ですね」


僕「今できる?」



そう聞くと「うん」と頷いた妖精少女は指を立ててくるくる回して僕に指を向ける。

なんだ?とその様子を見ていた僕の首筋に風が流れる。



僕「びっくりした」


魔王『それほど強い精霊を呼べるわけでは無い様だな』


姫「風を起こせるのですか。水の妖精はどんなことが出来ますか?」


妖精少女「ん~水をゆらゆら揺らせる」


僕「風で何かを切り裂いたり水で攻撃したりは?」


妖精少女「出来ない」


姫「妖精族は争いを嫌うと聞きます。精霊をそのように使おうとは思わないのでしょう」


魔王『そういうのはちゃんと契約を結ばないと無理だしな』


僕「それでもすごいなぁ」



誉められた妖精少女は「えへへ」と笑みを浮かべる(可愛い!)

姿消しも試してもらったが良く見たら全く消えるわけではなく薄っすらとは見えるようだ。



魔王『力が上がればもう少ししっかり消えるし、周りのものも姿を隠せるようになろう』


―すごいなぁ



その後も首輪が外れたうれしさでテンションの高い妖精少女は子狼と風の妖精で遊んでいたが急に眠ってしまった。



姫「疲れて眠ったようです」


僕「久々に魔力を使ったし仕方ないね」



・・・・・・

やばい!姫と2人きりって初めてだけど何を話していいかわからない!

沈黙が痛い。



魔王『適当に話せばよいではないか』


―そんな事言われても、元の世界ですら女の子となんて殆ど話さなかったから良く分からないよ!


魔王『情けない。仕方ないな、我が話すきっかけを作ってやろう。我の言うように話してみるが良い』


僕(魔王)「『寒くないか?』」


姫「え、はい」


僕(魔王)「『そうか。まだ夜は肌寒いから無理はするな』」


姫「そうですね」


僕(魔王)「『よければ我が暖めてやろう。苦しゅうない、ちk』このネタ前もやったからね!」



きょとんとする姫。



僕「あ、あははは、なんてね」


―魔王のばか~


姫「ふふ・・・」


―笑ってくれたぁぁぁぁぁ。


魔王『ほれみろ。うまくいった』


―もう魔王の手は借りないからね!



その後は途切れ途切れだけど会話は出来た。

姫と言うことで緊張したけど話してみたら普通の女の子で安心した。



魔王『普通の女の子とやらとも殆ど話をした事無いのであろうに』


―そうだけどさ!



話の内容は「王宮はどんな所」とか「いつもは何してるの」とか。

姫も「どんな所を旅してきたのか」や「どういう冒険をしてきたのか」を聞いてきた。

どんな所というのはそれほど記憶に無いので冒険についてはゴブリン退治の話をした。

こういう話は姫は向かないかなと思ったけど、ゴブリンとの対決の時には真剣な表情で食い入るように話を聞いてくれていた。




―ゴブリン退治の話で僕の活躍を5割り増しで語ったくらい大目に見てもらえるよね?


魔王『10割は増していただろうに』


―うるさいよ。






――――――――――







夜の見張りについては美女さんが事前に「夜は若 (僕の事)に任せて、翌朝に若が仮眠取る時にお願いしますね」と笑顔で言い含めていたので問題は無かった。




姫が眠って数刻、僕はいつもの日課の魔力制御の特訓をしていた。



―やっぱり一人で起きてるのはやっぱり寂しいなぁ


魔王『我が付き合っているではないか』


―そうだけどちょっと違うんだよね。


魔王『仕方あるまい・・・む?』



身を寄せて眠る姫と妖精少女を見る。

と、その傍らで寝ていた子狼が2匹とも急に身を起こし遠くを見る



―どうしたんだろう


魔王『何かくるぞ!』


―え?


魔王『かなりの数だ。戦闘の準備をしろ!』



僕は物音をさせないように急いで寝ている2人のところに行くと寝ている姫を揺すり起こす。


僕(姫、起きてください)


姫「え・・・」


僕(し!静かに。何者かが集団で近づいてきているようです)



はっと起きる姫。



僕(馬車の中に隠れていてください)


姫(私も戦います)


僕(いえ、妖精少女をお願いします)



カラン。音系トラップが静かな夜の森に響く。

僕は剣を抜き馬車を静かに下りる。



魔王『結構な数がいるな』


―追手かな


魔王『わからん』



相手は音系トラップの存在を知ると気配を消そうともせずに近づいてきた。

カラカラカラ。幾人かは音系トラップを踏んで音を鳴らしてしまうが気にしない。



―多い!



少なくとも面前に10人以上いる。

全員が抜き身で警戒しながら近づいてくる。



謎の男「何者だ」


僕「そちらこそ何者だ」



震えそうな声を虚勢で何とか押しとどめる。



謎の男「何者だ」


僕「旅のものだ。そっちは野盗なのか?」


謎の男「嘘だな。旅人なら何故野獣避けの火を焚かない」


僕「寝ている間に消えてしまって」


魔王『囲まれたな』


謎の男「それも嘘だな。火を焚いた後はどこにも見当たらない」


―っ!


謎の男「本当の事を話さないようなら仕方ない」



周りの男が殺気立つ。



魔王『くるぞ!』



馬車を背に回りこまれないように気をつけながら対峙する。

謎の男の指示で1人の男が向かってくる。

振りかぶった剣を受け止める。

剣を絡め取られそうになるのを透かして流す。

体が泳いだ男の胴を斬りつけようとした所、横から別の男に攻撃されそうになり断念して剣で受ける。

目の前の男を剣で押し返しすぐにもう一人の剣を受ける。

「ほう」と謎の男が一言呟く。



魔王『来るぞ!避けろ!!』



剣を受けて止まったままの視界の隅にもう一人が剣を振りかぶるのが見える。



―避けられない!



自分の体に迫り来る剣を睨み付ける事しか出来なかった。

9/21 「爺さん」→「爺」に修正。


誤字修正

興味は付き無い → 興味は尽き無い

一杯ぶつけられた → いっぱいぶつけられた

昼間での間に → 昼までの間に

見張りにるいては → 見張りについては

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