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(仮)  作者: イオン水
39/87

第39話 我が剣は

式典は恙無つつがなく進む。


前国王である第三王子の退位の式典に続いて王子の就任式が執り行われる。

厳かな雰囲気の中、頭に冠を載せられた王子は振り返り広間に並ぶ人達に手を上げる。

すると広間は歓声に包まれた。



歓声が止み次は論功授与式に移行する。

まず一番に翁が呼ばれ王子の前に立つ。

姫を助け周りの領主に呼びかけ、先頭に立って軍を導いた功績により幾つかの物品の授与と執政に任命される。

それを拝命した爺は王子の傍らに立ち、次々と名前を上げて聞く。


爺は姫を守り続けて来た功績とその後の戦場での働きで内務大臣に任命された。

現領主も同じく功績が称えられ、爵位が一つ上がり子爵となり国の要職に就いた。

爵位に関しては恩に報いる事が出来ない領主息子への救済策でもある。

いずれ跡を継ぐ領主息子の為といっても過言ではない。


他にも当初から参加していた領主に勲章や国の要職の地位が与えられていく。

それは王子を助けて立った者たちも同様だった。

小砦以降の者達には勲章と物品が与えられる。


赤白両騎士団団長も呼ばれる。

両騎士団は無駄な戦闘を避け、団長を救出した後は獅子奮迅の働きに対して称えられ、騎士全員に勲章が授与された。

軍務大臣は不在とし殿下の管轄の下で赤白両騎士団団長が2人で軍務の副大臣になる事が発表された。


そして有力貴族が呼ばれた。

最後まで国王派であった有力貴族が呼ばれる事に少なからず驚きの声が上がる。

王子の「辛い時期にも国政に携わり国を守った」との言葉に一時は収まったものの、その後に外務大臣に任命されると一瞬ざわめきが大きくなった。


その後も元国王派の中で領民裁判で無罪になったものが呼ばれ、同じように国を守ったとして称えられ国の要職に任命される。



これだけで論考が始まって半時(約1時間)以上掛かった。



美女さんと妖精少女が呼ばれる。

2人は王子の前に立つとまたざわめきが起こる。

そして2人が姫のピンチに居合わせ助けた後に行動を共にし、妖精少女は兵達の心の支えとして、美女さんは共に剣を振るって尽力を尽くしてくれた事を称える。



王子「二人には私の客人として王宮に滞在していただく」



王子がそう宣言する。

遠まわしに「勝手に近づくなコラ!」という事らしい。




そして最後に僕が呼ばれた。

美女さんと妖精少女を従者とし(妖精少女は本当は違うけど)姫のピンチを助け翁の所まで守った。

その後に赤白両騎士団と話をつけて引き込んだり、新兵器を発明したり。

大砦で大活躍した事になってたり大砦に現れた国王軍を撃退した功労者になってたりと、若干誇張が入ってたけど物凄く持ち上げられる。

昨晩、王子に「姫の騎士の箔を付けるため為に多少の誇張はあります」とは言われていたけど、何処が多少なの!?

しかし翁にも「何があっても表情を変えず毅然としておれ」と言われているので我慢する。


たしかにこそばゆい感はある。

しかし耐えれないわけではない。

唯一つ問題があるとしたら『あの男は物凄い剥げだな』とか『あの髭は取り外し可能かもしれない』と僕を笑わせようと話続けていることだ。

一つ一つはくだらない事でも、ピリッとした式場でひたすら言われ続けると面白くなってくるから困る。



―黙っててよ!


魔王『何だ?別によいではないか』



全然聞いてくれない。

別の意味で(笑わないように)必死で無表情を貫いていたりする。


王子の「姫の騎士として任命する」と言う言葉と共に姫が前に出てくる。

誉めは跪いた僕に微笑むと「貴方を私の騎士に任命します」といい剣を手に「この剣を騎士の証として貴方に授けます」と言った。

その剣を受け取ると僕は決められた文言を述べる。



僕「我が剣は姫の為に」



色々と長い文言を言うように言われ皆で考えたけど、式典の雰囲気にダラダラ言うのもなんかなと感じたので最後の一文だけを口にする。

その一言に姫は大きく頷くと「期待します。私の騎士様」と言った。

それを聞いて立ち上がると姫の背後に控える。

その後は恙無く式典が終了した。




姫達と控えの間に入ると僕はぐったりとする。

思った以上にキツカッタ。

対照的に姫は「これで若は私の騎士様」と物凄いテンションである。


後は夜に開かれる祝賀会である。

そこで僕と姫の婚姻が正式に発表されるらしい。

本当に大丈夫なのだろうか?



翁「まあ何名かは異議を唱えるかもしれんが、大丈夫じゃ。」



「若は黙って成り行きを見てればいい。我々で異議を唱える者を叩き潰すでな」と物騒に翁が笑う。

別にいいんだけど穏便にだけはお願いしたい。






――――――――――






夜になり祝賀会が始まる。

フロアには多くの領主達とその子弟などが大勢参加し歓談している。

そこに王子改め殿下と姫の来場を告げる声が響く。

僕も姫に続いて入る。

元々殿下と姫が入る扉は他とは違い高い場所にあり上座に直接行ける様になっている。

美女さんと妖精少女も一緒に入りそのまま上座の下の席に座る。

殿下が挨拶した後に「皆様にお伝えしたい事があります」と告げた。



殿下「この度、姫と若が婚姻する運びとなりました」



殿下の言葉に静まったフロアが騒然とする。

元々話を聞いていた反国王派に居た人々から祝福の言葉を送る。

でもその数は半分程度であり、残り半分は戸惑って要るようだ。


その中の一人が「お待ちください!」と前に進み出る。

見るとどこかの貴族の子弟なのだろうか、豪華な衣装に身を包んだ青年の集団が前に進み出る。

その先頭に立つ若者が「その者が姫の婚約者になるのはおかしい」と声を張り上げる。

その声に周りの者が「全くだ」などと異口同音に賛同の声を上げる。

殿下が「大貴族の子弟です」と僕に耳打ちする。



殿下「何処がおかしいですか?」



その言葉に「恐れながら言わせて頂きますと、この国の国民ですらなく身分も低いものが姫の婚約者など持っての他です」と芝居掛かったように言う。

それを聞いて殿下がふっと笑う。



殿下「身分ですか…因みに姫の騎士は執政と同じ地位にありますが?」



殿下の物言いに絶句する貴族の子弟達。

何とか「だとしても行き成り姫の婚約者と言うのは無理がある」と言うのだ。

僕の事を言われているのだが殿下も爺も黙っていろと言われたので黙って聞いている。

「実力も伴っているか分からないような輩が騎士に任命されただけでは飽き足らず、姫の婚約者になるなど、おかしいと思いませんか?」と周りに語りかけるように言う。

さらに芝居掛かった動きに笑いそうになっていると、それを聞いてた一人の人物が笑った。

見ると白の騎士団団長である。

「何がおかしいんですか?」と聞く貴族の子弟に



白の騎士団団長「実力をどうこう言うなら、演説ではなく決闘を申し込めば宜しいのでは?」



しかし祝賀会でそこまでするのは、と言う貴族の子弟に「ただ不満を大きな声で言うよりは潔くて素晴らしいと思いますが?」と白の騎士団団長が言う。

殿下は頷き「確かに本来は祝賀会で剣を抜くのは良くないが、今回は若の実力を証明する為のものである。許可しよう」と言い、すぐに貴族の子弟用に一本の剣が渡される。

それを迷いも無く受け取ると言う事は少しは自信があるのだろうか?

仕方なく僕は階段を下りて貴族の子弟の前に立つ。

途中で妖精少女に「頑張って」と言われたので頭を軽く撫でる。


白の騎士団団長が「はじめ」と言うと貴族の子弟が切り込んでくる。

それを剣で捌きつつ相手の出方を見る僕。

がんがんと打ち込んでくる貴族の子弟を捌きながら思う。



―弱い


魔王『そこそこやるが、所詮はそこそこレベルだな。身内で強いから勘違いしてたのだろう』



防戦一方の僕に「降参するなら怪我をする前がいいですよ」という貴族の子弟に本当に打ち倒していいのか分からず白の騎士団団長をチラッと見たら、苦笑をして小さく頷いてくれた。

それを見た僕は「ハッ」と短く息を吐くと貴族の子弟の剣を根元から切り落とし返す刀で喉に剣を突きつける。



魔王『中々の一品だな』


―本当にいい剣だ



動きを止めた僕に「そこまで」と白の騎士団団長の声が掛かる。

剣を収めると周りからの拍手を受けて一礼し元に戻ろうとする。

そこに貴族の子弟から「剣の力だろう」と吐き捨てる。

僕は振り返り「拳でやりあいますか?」とだけ聞く。

その言葉に貴族の子弟は何も言わずににらみ続ける。



翁「納得いったか?」



黙っていた翁が口を開く。

その言葉に何かを言おうとした貴族の子弟を睨み黙らせる。



翁「今更、若に付いてどうこう言うが、そういうお主は婚姻を辞めさせる程の者なのか?」



その言葉に「自分はどこそこの貴族の嫡男です」と胸を張って言う。

それを聞いた翁は「なるほどのう」と頷いた。

その姿を自分達の事を肯定するのだと思った貴族の子弟はさらに言葉を重ねようとして翁の言葉に遮られる。



翁「父親は出兵してきてたが、お主の顔は見た記憶がないのう」



翁の見下した物言いに顔を怒気で染める貴族の子弟に



翁「戦に出ていれば若がどのような者かは知っている筈だからな。のう、白と赤の騎士団団長」


白の騎士団団長「そうですね」



そう言って笑う白の騎士団団長。



赤の騎士団団長「反国王派に居たもので今更、若の実力云々と言い出す事は無いだろうな」


白の騎士団団長「剣の腕は僕達でも負ける事があるくらいですからね」



剣の腕で国内でも名が通る両騎士団団長の言葉に言葉を無くす貴族の子弟。



翁「それに戦場でどれだけの活躍をしたかは誰もが知っている。知らないのは戦場に出ずにのうのうと過ごしてたものだけじゃな」



黙り込む貴族の子弟達に「この国のものではない?身分が低い?」と翁が言う。



翁「その『この国の者』で『身分の高い』者は一体どうしてんじゃったかな?」



「ほれ、いうてみい」という翁に「…領地を守っておりました」と言う。

「そなたの領地は国境にあるわけでもないのにか?」と言う翁の言葉に下を向く貴族の子弟。



翁「さて、権能ではおぬしよりはるか上、戦の功績はここに居る誰よりも高く、この度身分も執政と同等になった。他に何か問題が?」



「しかしその身分はただ任命されただけの騎士ではないですか」最後まで足掻く貴族の子弟に「ただののう…」と翁が言う。



翁「簡単に誰も成れないから執政と同等の身分なんじゃよ」



成るのに姫の指名と殿下、執政、内務と外務の大臣と軍務を代表する赤白両騎士団団長の全員の賛同が必要となり、その中の誰か一人が拒否をしたらなれないのである。



翁「勘違いしているものも居るかもしれないが、今後は今までの身分だのなんだのは通らんぞ?」



その言葉に周りの反国王派に参加していなかったものから驚きの声が上がる。



翁「殆どの者は知っていると思うが、身分だけ高いものが国を乱したでな」



能力が無ければ身分が高くても優遇される事は無い、と言うのだ。

逆に言えば能力があれば身分が身分に関わらず取り立てるという事だ。



―そんな事、宣言したっけ?


魔王『して無いな』


―だよね!



反国王軍の中では確かに言ってたので、参加していた者達は知っているだろう。

だが初耳のもの達は驚きを隠せずにざわめき出す。



殿下「執政の言うとおりです。国を良くする為に、これからは身分に関わらず能力のある者は、例えそれが市井しせいの者だとしても取り立てていく事にる」



その言葉に一際声が大きくなりそうな所に爺がが「でもまあ能力があれば良いのですから、気にするほどの事でもでしょう」と良い翁が「その通りじゃ」と笑う。



殿下「他に婚姻に異議を唱えるものは?」



別に異議がある者は僕と決闘をする決まりがあるわけでも無いが赤白両騎士団団長の「自分達と同等の剣術」という言葉に誰も何も言わない。



―実力行使過ぎない!?


魔王『まあ仕方あるまい』


殿下「貴族の子弟はどうですか?」



殿下の言葉に「…ございません」と言うと殿下に一礼して周りの面々を引き連れて人垣の奥へ消えた。



殿下「では婚姻の発表はここまで、後は祝賀会を皆、楽しんでください」



そう言うと殿下は姫の手を取り階段を下りる。

殿下の「若もどなたかと踊ればいい」と言う言葉に周りを見る。

先程のやり取りの所為か周りにいる女性達の見る目が少し怖い。



魔王『今なら入れ食いだな』


―なにそれ


魔王『好きな娘をモノに出来るだろう、と言う事だ』


―なんでまた?


魔王『さあな。王族になるのが魅力なのか、剣の腕が魅力なのか』


―さっさと選ぼう



まあ選ぶと言っても相手は決まっている。

何処にいるのか探して見つけると「一曲お願いできますか」と声を掛ける。

有力貴族の娘は微笑んで「お受けいたします」と僕の手を取ると周りから黄色い声が上がる。



手を引くと王子と姫の横あたりで踊りだす。

すると有力貴族の娘が耳元でささやいた。



有力貴族の娘「さっきはなかなか格好よかったわよ」


僕「中々なんだ。でもありがとう。有力貴族もあまりにも綺麗で一瞬分からなかったよ」


有力貴族の娘「いつもは綺麗じゃないみたいじゃない」


僕「いつも綺麗だけど、今は綺麗の種類が違うんだよ」


魔王『20点だな(「厳しいよ!」)』



若干しどろもどろに成りつついう僕に有力貴族の娘は「そういう事にしておくわ」と笑った所で曲が終わる。

有力貴族の娘と一礼をして離れると姫の前で「お願いします」と言い踊り始めた。

見ると王子も有力貴族の娘と踊っている。



姫「先程は有力貴族の娘と何を話していたんですか?」


僕「先程の件に付いてですよ」



それを聞いて「格好よかったです」と姫も言ってくれた。

姫の綺麗さも称えると魔王が『30点』と言った。

100点は一体どうしたら取れるのだろうか。



当初の予定通りに曲が終わると僕は姫の手を取って、王子は有力貴族の手を取って階段を上がる。

上座に上がっていく王子を見て女性達から残念な声が上がるが、有力貴族を美女さんと妖精少女の所に送るとそのまま階段を織り出した王子を見て今度は黄色い歓声が上がった。

僕がそのまま姫の横に控えると少なからず残念そうな声が上がる。



姫「若が降りない事に残念がっている娘も居るようですよ?」


僕「まさか」


姫「ほら、こちらを残念そうに見ているでしょう」



そう言われてみると居るような居ないような。

「面倒なのでいいですよ」と言うと僕は姫のとなりに腰をおろした。

本来はダメなんだろうけど婚約者であり祝賀会でもあるので許される行為だ。

美女さん、妖精少女、姫、僕、有力貴族と扇状に並ぶ。

両手に花と言うレベルではない。



下で行われるダンスを見ながら軽食を食べつつ飲み物を飲む。

王子や白の騎士団団長はもちろん赤の騎士団団長まで女性が周りを囲んでいる。

有力少女が「お二人とも、一応未婚ですからね」と有力貴族の娘が教えてくれた。

というか白の騎士団団長も結婚してないのか。


と思ったけど、どうやら内縁の妻らしき人物は居るらしい事は周知の事実らしい。

ただ身分が低い為に婚姻できていないようだ。

僕の件もあるし今後は正式に婚姻できるかも知れないと聞いて少し嬉しくなる。



踊りを眺めていたら殿下がこちらを向く。



殿下「若!」



なんだろうと思うと僕に向かって笑顔で「来い」と言うように手を振る。

姫が「行ってらっしゃい」と笑顔で答える。



―行きたくないんだけど


有力貴族の娘「行くべきよ」


僕「何で?」


有力貴族の娘「ここで色んな娘と仲良くして味方を作っておくの」


僕「味方?」


有力貴族の娘「女は政治に介入する力は無いけど社交界では強力なパイプを持つわ」



だから少しでも仲良くしとけば、それだけ多くの味方が集まり、姫も有力貴族の娘の立場も良くなるらしい。

そう言われると行かざるを得ず立ち上がった所に「でも本気にしたらだめよ」と有力貴族の娘が鋭く言った。

その言葉に僕は笑顔で「わかってる」と言うと階段を下りていった。



殿下「若、皆さんが若と踊りたいと言っていたので呼びました」



見ると数名の若い娘がこちらを見ていた。

僕は「僕でよろしければ」とその中の一人の手を取り踊りだす。

踊りの途中に色々話しかけられるが、殆どが挨拶と「別の日にでも戦のお話を聞きたいです」とお誘いが殆どだった。

それに「機会がありましたら」とだけ答えておく。



魔王『もったいない』


―ソウデスネー



僕もそう思うよ!

でも仕方ないじゃない。



数名の娘と踊ってお終いかと思ったら後から後から交代の娘が来る。

結局、祝賀会が終わるまで踊り続ける羽目になった。







――――――――――






祝賀会から2日程立った。

僕は婚約発表の後に住まいを後宮に移した。


この後宮は「いつまで後宮と言えばいいんだ?」と思っていたら何代か前の王が「空の館」と言っていたらしく「その名前もどうなの?」という気もするが後宮よりはマシなのでそう呼ぶようになった。



―取り合えず姫と有力貴族とはまだ何にも無いからね!!


魔王『誰に言ってるのだ?』



姫とは正式に結婚するまではそういう関係にならないという暗黙の了解が成り立っている。



魔王『お主がそう思っているだけでは?』


―成り立っている!



そして姫とそういう関係が無い限り、有力貴族の娘ともそういう関係にはならない。



魔王『何時までそんな事を言っておるのか…根性無しが』


―けじめだよ!



取り合えずそういう事である。



夜に美女さんが僕の部屋を訪ねてくる。



美女さん「行き成りですが、若は姫様と有力貴族の娘様はお嫌いですか?」


僕「そんなこと無いけど?」


美女さん「では何故お抱きにならなおのですか?」



美女さんのストレートな物言いに僕は声が出ない。

美女さんが言うのは2人は僕が何もしない事にやきもきしながら、でも女性から求めるのははしたないと思って何も言えずに居るらしい。

有力貴族が何も言わないのも姫をおもんみて何も言わないだけらしい。


『ほれ見たことか』魔王の言葉を聴きながら僕は「決して二人の事を嫌っているわけではない」という事を伝え、姫と正式に結婚するまではけじめとして抑えて居るだけだと熱弁した。



―というか何この状況?



意味が分からない。

ただその言葉を聴いた美女さんは「では明日、挙式をするよう国王殿下に進言いたしましょう」と言うと部屋を出て行こうとした。

それを取り合えず止めて話し合う。



半時(約1時間)程して美女さんに言い負かされてしまう。



魔王『弱いな』


―ソウダネ



晩御飯の席で姫に「食事の後に2人でお茶でも如何ですか?」と誘う。

姫は驚いたようだが「はい」とだけ頷く。

妖精少女が「私も!」と言うが美女さんが「妖精少女は私と有力貴族の娘とバルコニーで夜景を見ながらお茶にしましょうか」と話を逸らしてくれた。





部屋が静かにノックされる。

返事をすると姫が真っ赤な顔で入ってきた。

僕はテーブルの席を勧めると美女さんが用意してくれていたお茶を入れる。

変わった匂いだが「人の気持ちを高ぶらす効用があります」と美女さんが笑顔で言っていたのを思いだす。


会話はたまにしては途切れて、たまにするの繰り返しである。



因みに魔王は今は居ない。


居ないと言うのも変だが「魔王は、その、やっぱりずっと見てるの?」とき言いたら『他人の情事に興味は無い。消えておいてやるから安心しろ』と言ってから消えたように気配が無くなった。

どうやら僕の意識の中のどこかに魔王の個室があるイメージらしく、そこに篭ったみたいだ。

だからたまに静かだったらしい。



―なんて都合のいい設定!



あまりの緊張に良く分からない事まで考えてしまう。



僕「姫」


姫「ひゃい!」



驚きに噛んで顔を真っ赤にした姫を見て「本当に可愛らしいな」と心の底から姫を愛おしいと思い口に出していた。

それが姫の笑顔を誘い自然と会話が繋がる。

二人をとても優しい雰囲気が包んでいた。

誤字修正

無駄な先頭 → 無駄な戦闘

「ただののう…」と王が言う → 「ただののう…」と翁が言う

そんあんこと → そんなこと

名にこの状況 → 何この状況

要職に着いた → 要職に就いた

たちかに → たしかに

放し続けている → 話続けている

継げる → 告げる

この旅 → この度

回り → 周り

「何がおかしいんどえすか?」 → 「何がおかしいんですか?」

裁きながら → 捌きながら

殆どの者は気は知っていると → 殆どの者は知っていると

女性達が見る目 → 女性達の見る目

行かざるを獲ず → 行かざるを得ず

居間は居ない → 今は居ない

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