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(仮)  作者: イオン水
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第36話 気持ち

―何故正座サセラレテイルノダロウ



部屋に着いて即行正座させられた上で有力貴族に「何故妖精少女と美女さんとだけで遠乗りに行ったのか」という質問をされた。

妖精少女から出かけようと言われた事や、最近妖精少女の相手をしてあげる事が出来てなかったので連れて行って上げたという趣旨を伝える。

すると姫が「有力貴族…」と名前を呼んで「仕方ないわね、立っていいわ」と有力貴族が行ってくれたので立ち上がる。

なんだか分からないけど怒りが収まったらしいと思った僕は、その後に「姫が二日酔いで体調が悪そうだった」や「有力貴族の娘はまだ寝ていたようだった」と2人を気遣った事を伝えると何故かまた「正座!!」と言われた。

縋るように見た姫も「正座です」と言うので正座に逆戻りとなる。



―2人の体調を気遣ったのに何で!!


魔王『気遣う方向が間違っていたのであろう』


―方向って何だよ!


魔王『頑張って探れ』



その後、2人との会話の中から誘わなかった事に付いて怒っていることが分かり、魔王の『謝れ』という言葉で一生懸命謝り、「次からは二人も誘います」と約束させられてから開放された。

その後に湖であった出来事や口外しないようにという事を伝える頃には半時(約1時間)以上の時間を要していた。





夕食は姫と僕と有力貴族の娘、妖精少女、美女さん、白の騎士団団長で食卓を囲む。

今日の湖での出来事に大興奮の妖精少女は姫と有力貴族の間に座って話し続けている。

それを2人は楽しそうに聞いていた。


食事が終わる頃に王都から伝令が届く。

何かあったのかと緊張が走ったが、明日に向かう館の場所を案内する手紙だった。

それを聞いた白の騎士団団長は副団長を呼び、500名の兵を率いてすぐにその館に向かうように伝えた。



僕「なぜ今すぐ向かわせるんですか?」


白の騎士団団長「警備の為ですよ」


僕「警備?」


白の騎士団団長「姫が入られる館です。念には念を入れて置くだけですよ」



そう言うと本当にただそれだけだと言うように食後のお茶を飲む。

出発は明日の朝、食時しょくじ正刻せいこく(8時頃)と決まった。




夜に久々に美女さんと手合わせする。

必死で美女さんの攻撃を捌いているとあっという間に時間が過ぎていく。



美女さん「強くなられましたね」


僕「はあ、はあ、そ、そうですか…」


美女さん「ええ」



笑顔でそういう美女さん。

息も殆ど切らせてない上に防戦一方だったのは明白で、本当に強くなっているのかな?と思っていたら美女さんが「なってますよ」と言った。



―こ、心が読めるのか!


魔王『顔に出すぎなだけだな』


―そ、そうなの?



美女さん「この内乱に参加する前の若はまだまだと言う感じでした」


僕「そうだよね」


美女さん「今は結構な感じです」


僕「よくわかんないよ」


美女さん「剣筋が鋭くなりました。さすがに私も動かずに対処できないようになりましたよ」



そう言えば美女さんがたまに立ち位置を変えていた気がする。

前までは棒立ちで一方的にやられていたのに。

「少しづつでも強くなっている」そう思うと純粋に嬉しかった。



美女さん「でもまだ昔の力の一割程度ですけど」


僕「ええ!そんなに強かったの?」


美女さん「私が勝てないぐらいは」


―マジですか!


魔王『当たり前だ。だから美女は我の従者になったのだぞ?』



『そんな事も分からないのか?』という魔王。

まさかそこまで魔王が強かったなんて。

美女さんが「今日はここまでにしましょうか」と館に戻っていくのを見送り空を仰ぐ。



―もっともっと強くなって昔の魔王と同じくらいにはならないと、魔族の王位継承争いは厳しいよね?


魔王『―そうだな』


―これが終わったら戻るつもりだったけど、まだまだなんだね


魔王『―そうだな』


―ごめんね


魔王『気に病むことは無い。まだ始まったばかりだ』


―頑張るよ


魔王『当たり前だ』



その魔王の物言いに思わず笑ってしまう。

そうだ、当たり前だ。

僕は体を拭うために井戸に向かった。






――――――――――





大砦を出発した。

馬車に姫と有力貴族と妖精少女と美女さんが乗り込み、僕と赤の騎士団団長が馬車を挟む。

その周りを数十人の騎士が囲み前と後ろに列を成す。

そして分隊クラスの斥候が10分隊程、斥候として周りを走り回っているらしい。

やはり仰々しい。



途中、小川の近くで昼食を取りながら小休止である。

携帯食として渡されたサンドイッチとお湯を沸かした紅茶が昼食である。

妖精少女が「ピクニックみたいだね」と言っていたのが微笑ましい。

子狼達はサンドイッチが入っていたバスケットを気に入ったようで中に入って遊んでいたが、妖精少女が布を入れると丸まって眠ってしまった。

数刻してすぐに出発をし日が沈む前には問題なく目的地の館に付いた。



館には爺が居て僕達を笑顔で迎えてくれた。

すぐに館の広間に案内されると明日の凱旋パレードの説明を受ける。

といっても白の騎士団全員が正装をし隊列を組んで姫の乗る馬車と共に悠然と王都を進むと言う程度である。

「へぇ~」と思っていると爺に「若も正装ですよ」と言われた。



僕「え?」


爺「していただきます」


僕「正装…?そんなの無いですよ?」


爺「用意しております」


僕「用意…?」


爺「ええ」



そう言うと黒く塗られた鎧が運ばれてきた。



僕「黒は黒の騎士団と被るんじゃ?」


爺「あれは名前だけです」


僕「それもでイメージは良くない気がするなぁ」


爺「しかし他の色と成りますと…」


白の騎士団団長「我々は白で赤の騎士団は赤ですしね」


姫「他の色と成ると黄色とか桃色?」


有力貴族の娘「緑とか」


妖精少女「水!」



全身黄色とか桃色とか何処の戦隊ものなんだよ!


まあ別に問題ないなら黒でも良いけど。

ただ―



僕「全身鎧は嫌だな」


爺「そうですか?」


僕「動きにくそうだしね」


美女さん「では最低限の部位だけつければいいのでは?」


爺「そうですな。服を黒くすれば変では無いですな」


僕「じゃあそれで―」


美女さん「その場合だと素顔を民衆の面前にさらす事になりますけどね」


僕「!!」


美女さん「さすが若、勇気がありますね」


爺「全くですな」



「さすが」と口々に言う姫達に今更やっぱり全身鎧がいいな、とも言えない。



白の騎士団団長「まあ遅かれ早かれ知れ渡るのですし」


僕「ええ!何で!?」


爺「若は姫と婚約されるのですぞ?」


有力貴族の娘「発表時に民衆の前に顔を出さなくてはいけません」


爺「年に何回かは国事にも出席していただく事になりますし」


僕「それは、最初からそういうのは断ると…」


有力貴族の娘「無理よ。そんな事をしたら姫を笑いものにする事になりますよ?」



国事に夫婦で出席しないというのは不仲であるという事をさらけ出す事だ。

本来のどうだとかは関係なく、そう思われる。



僕「……」


有力貴族の娘「嫌なら婚約しなければよろしいかと。そうしればそういう事も必要ありませんし」


姫「若…」



姫が心配そうに見ているのを見て決心する。

僕はもう姫にこういう顔をさせたくないのに、僕の覚悟が弱いせいでいつもさせてしまう。



僕「分かりました。王都に居る間は公式の式典で本当に必要なものだけ、は出ます」


有力貴族の娘「必要じゃない公式の式典…まあ無いとは言い切れませんね」



それを聞いて「確かに」と笑う爺。

それに釣られて何人かが笑う。


一頻り笑った爺は「大切なお話を忘れてました」と笑みを消していった。



爺「一部の領主の領民裁判が行われました」


僕「もう、ですか」


爺「私が出てくるまでで5人でしたが」


僕「それで?」


爺「その中に有力貴族が含まれておりました」



その言葉に有力貴族の娘が身を強張らせ、姫がそっと手を掴む。

その姿を見た爺は優しい笑みを浮かべ「安心してください」と伝えた。



爺「有力貴族は民衆裁判の結果、全会一致で無罪となりました」



その言葉に有力貴族の娘から一筋だけ涙が流れる。

だがそれでも気丈に振舞う有力貴族の娘に誰もが見てみぬ振りをする。



爺「その結果により家は続行、土地は一部国に返上、年収の10分の1を今後5年間にわたり復興支援として収める事と決まりました」


僕「その他の責任については?」


爺「一切必要なし、です」



有力貴族の娘が静かに涙を流すのを姫がゆっくりと抱きしめる。



爺「まあ最初は確実に無罪になる者から領民裁判を行っておりますからな」


僕「というと?」



最初から死罪だの家の断絶ばかりが続くと決起する輩が出無いとも限らない。

それに有能な者は早く国政に戻って貰いたいからである。

王子の戴冠式前後までには有望なものの領民裁判は終わる見込みだ。

逆に言ったら、それ程多くの人数が居ないと言う事である。



爺「王子が王位に付いた後に有罪になる者たちの裁判が行われるでしょう」



それが王子の最初の仕事となる。



爺「論功は王子の戴冠式の後に行われます。ただし与えられるのは爵位や勲章、物品などに限られ、領土などの下賜に関しては後日、別の理由をつけて行う事になるでしょう」



まだ国王派の領主から分捕ってないので渡すのは不可能だ。

だからそれが終わってから渡す事になるらしい。



僕「それでみんな納得しますか?」


爺「その代わり既に接収した財産から戦の褒章として反国王派だった者達には渡されます。その上で戦功により授与されるのです」


白の騎士団団長「通常、他国への侵攻で勝利した時ぐらいしか領土は下賜されません。国内での戦ですから、十分な額が出れば不満は出ないと思います」



そういうものらしい。



爺「因みに王子の即位式の後にある官位受領式で若も姫の騎士として任命されますので」


僕「はいぃ!?」


爺「正式に任命しないとダメですからな」



言いたい事はわかる。

ただ身内だけで「姫の騎士ね」と言っても意味が無いのは分かる。



―だからと言って受領式とか!



と叫びたいが口には出さない。

こう言うのはどうしても避けられないものがある、という事は理解した。



魔王『勉強したな』


―うるさいよ!



僕は「わかり…ました」と悔しそうに言う。


その後は明日の凱旋パレードに着るドレスの話で盛り上がる女性人を眺める。

どうやら妖精少女も美女さんもドレスを着るらしい。

妖精少女は喜んでいたが美女さんが嫌がっていたのは意外だった。

最終的に馬車の中でそれ程目立たないという話と戴冠式などには出席しないという話で落ち着いた。

「美女さんにも戦功があるのに」という言葉に「私は若の従者ですのでそういう場に出る資格はありません」や「私の戦功は若の戦功です」の一点張りでこれだけは譲らなかった。

資格が無いというか出たくないだけだろうと思う。

どうしても引かない美女さんに「とりあえず、その話はまた王子達と話し合いましょう」ととりあえず先送りにした。




話は大体終わり夕食までの時間、居間で各自が時間を潰している。

爺と白の騎士団団長は明日の進路や安全の確認の話し合いをしている。

姫と有力貴族の娘は妖精少女に似合う色を妖精少女の髪を弄りながら話しており、妖精少女は目を細めてされるがままになっている。

そして美女さんは笑顔で皆にお茶を入れていた。


僕はその姿を眺めながらふと思う。



僕「有力貴族が無罪なら、有力貴族の娘は僕に嫁ぐ必要は無いんじゃ?」



僕の一言にみんなが止まり、そして僕のほうを一斉に見る。

それに戸惑いながら「違うかな?」と聞いたら、皆は今度は有力貴族の娘を見た。



有力貴族の娘「そうですね…もう一族を守る必要は無くなったかもしれません」


僕「なら有力貴族の娘も不本意な立場に居る必要はないよね?」


有力貴族の娘「そうですね。不本意な立場に居る必要はなくなりました」


姫「有力貴族の娘…」


僕「なら僕に嫁ぐ必要も無くなったと言うことだよね」



その言葉に僕を見つめたままの有力貴族の娘は「必要は無いですね」と静かに答える。



―あれ?何この雰囲気


魔王『……』



有力貴族の娘「必要が無くなれば私はお払い箱でしょうか?」


僕「いやいや、お払い箱も何も、無理に嫁ぐ必要は無いんだよ」


有力貴族の娘「そうですね。無理は必要なくなります」


僕「だったら自由にしたらいいじゃない」


有力貴族の娘「自由…ですか」



その言葉に困ったような顔をする有力貴族の娘。

何でそんな顔をするのかが分からない。

姫が「若―」と言う。

そんな縋るような目で見られてもどうしていいのか分からない。

妖精少女は姫と有力貴族の娘を見ていたが、何かを感じたのか何も言わずに黙っている。

爺と白の騎士団団長がそっと部屋を出るのが視界の隅に入るが何も言えない。

黙ってしまった僕に美女さんが言う。



美女さん「若は有力貴族の娘様がお嫌いですか?」


僕「え?そんな事無いよ」


美女さん「好き?」


僕「え、まあ、どちらかと言えば好き、かな?」


美女さん「ではこのまま若に嫁ぐのはダメなのですか?」


僕「何で?だってもう必要なくなったんだよ?」


美女さん「必要無くなるという事は、若にとって不必要になったんですか?」


僕「まさか!」


美女さん「では何故?」


僕「だって無理に嫁ぐ必要ないじゃないですか」


美女さん「無理じゃなければいいのですか?」


僕「え?」


美女さん「無理に嫁ぐ必要が無いから解消と言ってるんですよね?」


僕「う、うん」


美女さん「では無理じゃなく必要なら嫁いで言いという事ですよね」


僕「そう…だよね」



美女さんの言葉に考えるが、言われている通りだと思うので頷く。

すると美女さんは有力貴族の娘に向き直る。



美女さん「有力貴族の娘様」


有力貴族の娘「はい」


美女さん「若に嫁ぐのは無理ですか?」


有力貴族の娘「……」


美女さん「若に嫁ぐのは必要ないですか?」


有力貴族の娘「……」



何も言わない有力貴族の娘に美女さんは「わかりました」と頷く。



美女さん「若」


僕「はい」


美女さん「若は何故有力貴族の娘が嫁ぐのを拒否なさるのでしょう?」


僕「え、だからもう有力貴族が無罪になったので無理に嫁ぐ必要が無いから…」


美女さん「では有力貴族様の無罪というのは関係ないものとして話を進めます」


僕「え?」


美女さん「有力貴族の娘様が無理に嫁ぐ必要が無いから、解約されるのですよね?」


僕「え、ええ」


美女さん「では無理にではなかった場合は?」


僕「は?」


美女さん「無理にでは無い場合なら続けますか?」


僕「え、まあそうなるの…かな?」


美女さん「次に必要の話ですが、確かにもう一族の為に嫁ぐ必要は無くなりました」


僕「はい」


美女さん「では他の必要性があった場合は受け入れますよね?」


僕「それはそうですね」


美女さん「全く無理ではなく、その上で嫁ぐ理由があれば受け入れる?」


僕「……」



美女さんの言い方に何かあるような気がして返答に戸惑っていると「どうなんですか?」とさらに聞かれて恐る恐る「そうなります」と答えた。

それを聞いた美女さんは笑顔で頷くと有力貴族の娘の方を見た。



美女さん「本来なら女性の口から言わせるのは不本意ですが、若はこういう方です」


有力貴族の娘「……」



美女さんの物言いに口を開こうとしたが魔王に『黙っておけ』と言われて黙る。



美女さん「しっかりはっきりと口に出されないと誤解を解く事は出来ません」


有力貴族の娘「……」


姫「有力貴族の娘、思った事をはっきり伝えて。そうしないと若には届かないわ」


有力貴族の娘「姫ちゃん…」



美女さんの言葉に言うか言わまいか迷っていた有力貴族の娘は姫の言葉に決意をしたらしく、頷くと僕のほうをしっかりと見て言った。



有力貴族の娘「私は、若に、嫁ぎたいと思います」


僕「はい?」


有力貴族の娘「同じ事をもう一度…!」


僕「あ、ごめん。聞こえました。驚きでつい」



有力貴族の娘の雰囲気についそんな事を言ってしまう。



僕「でも…もう無理する必要は無いんだよ?」



僕の物言いに「これでもダメなの?」という有力貴族の娘と「頑張って!」という姫。

何だ、この図?



有力貴族の娘「無理なんかしてない。私が、貴方に、嫁ぎたいの」


僕「……」


有力貴族の娘「な、何か答えてよ…」



語尾が聞き取れないくらい小さくなっていく有力貴族の娘の姿に何か言わなくてはと必死になる。



僕「え、あ、その、何で?」


有力貴族の娘「何でって…そう思ったから仕方ないじゃない!」


僕「だってまだ会って数日だよ?」


有力貴族の娘「理由は色々あるけど、正直分からないわ!!」



そういうと色々と理由を挙げていく。

僕が剣術の訓練を受けていた姿だったり姫との話だったり―



有力貴族の娘「―他にも妖精少女を見ている目が優しくていいなと思ったとか一体私は何を言ってるのか良く分からなくってきたわ」



「あわあわ」としだす有力貴族の娘に「私も同じ事を思ってるわ!頑張って!!」と姫が手を握り、妖精少女は間に挟まれながらも「私も!」と言った。

何、その応援。

そして姫が「ここも」と例をあげると「そうね。ここもいいわよね」と2人で話し出し、妖精少女は「うんうん」と頷く。

有力貴族の娘は本当に混乱しているようだ。



美女さん「若、解約なさるのですか?」


僕「それは…」


美女さん「若に嫁ぐのが無理していない事も、そして必要だと言う事もわかりましたよね?それでも解約なさいますか?」


僕「……」


美女さん「先程までの関係に戻るだけです。いえ―」



「―違いますね」と美女さんはいつも以上に微笑むと



美女さん「義務だとか無理だとかそう言うのは一切無くなり、互いに望んでそうなったと言う事実のみで繋がった関係となります。気に病むことは無くなるでしょう」


僕「そう、なのか?」


美女さん「若が有力貴族の娘を嫌っているなら、はっきりと断ってあげてください」



そう言うと美女さんは妖精少女に「あちらに行きましょうか」と言いながら部屋を出て行く。



―嫌ってなど無い


魔王『逆に好いておるぐらいだな』


―そう、だね


魔王『では気に病むことは無いだろう。姫も受け入れてる。この話は前もしたな』


―したね


魔王『その時に決意したのであろう?』


―その時とは違うよ


魔王『どう違うのだ?』


―それは…


魔王『美女の言うとおりであろう?後はお主の気持ち一つだ』


―やっぱり魔王は変わったね


魔王『おぬしの悪影響だな』



苦々しそうに言う魔王に「ありがとう」とだけ伝える。

そして僕のいい所を上げあっている二人に目を向ける。

今まで恥ずかしいから出来るだけ耳に入らないようにしてたけど、聞くとやっぱり恥ずかしい。

だがそれを我慢して有力貴族の娘を見る。



僕「有力貴族の娘」



僕の言葉に2人の会話が途切れる。

もう一度呼びかけるとゆっくりとこっちを向いた。



僕「有力貴族の娘」


有力貴族の娘「…はい」


僕「有力貴族の娘に伝えないといけない事があるんだ」



そうして僕は「この事は姫と美女さんしか知らない事だけど」と前置きをして話し出す。



僕「僕は実は―」


有力貴族の娘「魔族なんでしょ?」


僕「―そう魔族なん、え?」


有力貴族の娘「姫から聞いたわ。魔王の意識の事も、別世界から来た事も」


僕「え?え?」


姫「有力貴族の娘は若の奥さんになるんです。だから隠し事はしてはいけないと思って言いました」


僕「ええ?」


有力貴族の娘「全部聞いてるわ。その上で私はそんな事は気にしない」



有力貴族の娘はしっかりと僕を見つめて言う。

だが自分の服を掴む手は白くなるほど固く握り締められており、姫がその手を優しく包んでいた。

僕は有力少女を見つめ返し、しっかり聞こえるように言う。



僕「有力貴族の娘が良ければ、今までどおりの関係を続けてもらってもいいだろうか?」


有力貴族の娘「え…」


姫「若!」



有力貴族の娘の目に涙が溜まる。



―あ、あれ?


魔王『なんだ、断るのか?』


―ち、違うよ!!


魔王『「今までの関係」と言うのは偽装だったので「友人関係のまま」と受け取られるだろうな』



それを聞いて焦って言葉を紡ぐ。



僕「あ、違う!違うんだ有力貴族の娘!!」


有力貴族の娘「……」


僕「えっと、僕の所に嫁いで着てくれると嬉しい。その、義務とかそういうのではなく」



そう言うと有力貴族はうんうんとだけ頷き続ける。

それを聞いて姫が有力貴族を抱き寄せた。



僕「姫、今聞いて貰ったとおり、姫と婚姻をしながら有力貴族を本当に迎え入れる事になるから」


姫「はい。私は元よりそのつもりでした」



確か最初から姫はそう言ってたかもしれない。

僕は近づくと二人の肩に手を置いた。



僕「二人が僕を選んでよかったと言って貰えるように力の限り頑張るよ」



僕を見上げた姫が「違いますよ」と言う言葉に有力貴族の娘が頷く。



姫「二人ではありません」


有力貴族の娘「よ、4人で、す…グス」


僕「はい?」


姫「妖精少女と美女さんも入れて4人です」


有力貴族の娘「そう…ね」



美女さんと妖精少女に関しては突っ込みどころ満載だったけど、姫と有力貴族の娘の嬉しそうな顔を見ると何もいえなくなり、とりあえず「がんばるよ」とだけ伝えた。

誤字修正

付いて速攻 → 着いて即行

誤り → 謝り

裁いている → 捌いている

そういと → そういうと

ここもいいわゆよね → ここもいいわよね

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