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貴方に恩はありませんので、出奔させていただきます  作者: Hatsuenya


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3/8

お持ち帰り禁止令

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、オルツァー視点で、お送りします。



     砦の騎士オルツァー side



 夜中にうっすらと目覚めると、何か柔らかくて暖かいモノを抱いていた。ちょっと良い匂いまでする。

 思わず、ギュッと抱き締めると、「んんっ」と小さく呻いて身動ぎをした。

 ビックリして起きると、ベッドの中に人がいた。可愛い寝顔に、一瞬、女かと思ったが、髪がかなり短い。


 男の子か!?


 ギョッとして自分の身体を見ると、ちゃんと服を着ていた。そっと毛布を捲って男の子の身体を見る。


 大丈夫!セーフ!セーフ!


 ちゃんと、服、着てる。


 目覚めてベッドの中に女だったらまだしも、男で子供は、アウトだろう。良かった、服、着てた。多分、何もしてない。大丈夫、大丈夫。


 ああ、怖かった。


 今まで、犬、猫、鶏までは、酔っ払ってベッドに持ち込んだ事もあったが、人間は初めてだからな。焦ったわ。

 次からは、酒の量を減らそう。うん。


 で、誰だっけ?この子。


 着替えて出立の準備をしている間に少年が起きた。


「よお、坊主、起きたか。おはよう。

 で、お前誰だ?何で俺のベッドにいるんだ?」


 少年が可愛い寝惚け眼で、私を睨んだ。



-------------



 一番上の兄さんに新しい子供が生まれたと連絡を受けて、出産祝いと長男の誕生祝いに王都の実家に帰った。赤ん坊は可愛く、大きくなった甥っ子も12歳となり、生意気な盛りとなった。

 でも、その生意気さが可愛らしい。


「お前も12歳の頃は、こんな感じだったぞ」


 そう言った兄さんは、とても嬉しそうだった。

 何か、良いよな。こう言うのも。私も、年だな。


 砦への帰り道に、いつもの宿で飯が来るのを待っていると、男の子がポツンと隅のテーブルに着いていた。服装は平民服だが、キレイな顔立ちで所作も丁寧。どう見ても、いい所の子供だ。柄の悪そうな連中が、そちらを見てはヒソヒソと話をしている。


 ヤバいな。


 甥っ子と同じ位の年だろうか。


 サッと抱えて連れて行かれ、売られて、終わりだ。


 飲みかけのエールを持って、少年の前に座り、私の庇護下にある事をアピールすると、殆どの怪しい奴らは、鳴りを潜めた。


 よし。


 ビクついていた少年に親は何処か質問しても、祖母に会いに行くとしか言わない。


 理由ありか。ヤバいな。


「ぼく、ごめんね。今日は客が一杯でさ。店を閉めるのが遅くなりそうなんだけど、大丈夫?」


 宿屋の娘が、シチューをテーブルに置いて、少年に話しかけた。


「うん、大丈夫だよ。僕、見かけより年取ってるし、頑丈だから何処でも寝れるから」


「何だ?何の話だ?」


 話が見えないので、宿屋の娘に聞いてみた。


「いえね、お客さん。今日は満室なんで、この子の泊まる部屋がないんですよ。だから、この後、ここで寝て貰う事になってて」


 ヤバいだろう!


 私は思わずエールのジョッキをテーブルに打ち付け、娘を睨んだ。


 娘がビクビクしながら、弾みで飛び散ったエールを慌て布巾で拭った。


「何だって!?こんな年端も行かない坊主を店の隅で寝かせるだと?危険だろう」


 店の中にいる連中が、聞き耳を立てているのがわかる。奴らが、ほくそ笑んでいるのがわかった。


「奢ってやる。食え」


 だが、私が保護してやるにも、警戒されるよな。どうするかな。

 串焼きを奢ってやり、私は、考えながらどんどんエールを飲み……そこからは、記憶がない。



------------


 

 朝飯を奢ってやり、話を聞くと、少年は辺境砦の近くの森に住む魔女の孫で、名はミネと言うらしい。

 よし、これで大義名分は揃った。私は、宿の女将に私の人となりを保証してもらい(拳骨も貰ったが)、彼を一緒に辺境砦まで連れて行く事になった。


 可愛い子の1人旅は危ないからな。


 このミネが孫と言う事は、薬の魔女と呼ばれるミーシャは、結構いい所の家の出身らしい。森の小さな小屋に、ほぼ自給自足で1人で住んでいるから知らなかったが。

 まあ、彼女と住むのなら、安心だろう。魔女の防御力は、砦でも一、二を争う程のお墨付きだ。


 私は、馬に乗った事がないと言うミネを馬に乗せ、ミネの後ろに彼を支える様に座った。

 ミネが前に座ると、ミネのいい匂いが香ってくる。うちの甥は、もっと汗臭いが、ひょっとしたらミネは上位貴族の子供か何かか?生まれが違うと、匂いも違うのかも知れないな。顔立ちも、可愛い女の子の様だし。


「お、オルツァーさん、ゴメン、ちょっとストップ!ち、ちょっと下ろして」


 馬に乗ってしばらく行くと、町外れの草原で、いきなりミネが叫んだ。


「ごめんなさい。馬に乗るの、なめてました。ちょっと待ってて」


 あ!馬酔いか。そう言えば、馬に乗るのは初めてだとか言ってたな。マズい、流石に馬酔いの薬なんて持ってないぞ。


 ミネは、私の焦りなんか素知らぬ体で、その辺に生えてた草を噛み、鞄の中から容器と小さな棒を出した。

 その辺の草を幾つかを容器の中で摺り潰し、袋の中から飴玉を幾つか取り出した。


「合体練成」


 宙に浮かんだ飴玉に、緑のドロドロした液体が吸い込まれていく。


 ???


 初めて見る魔術だ。


 ミネ……お前、何者?





「ミネ、その辺の草を食べるんじゃない。お腹を壊すぞ」


「らいじょぶれす。モグモグ。おなかを、なおしゅ、くしゃ、れすから。モグモグ」


「あ、猫も食べる、あの草か?」


「くちんなか、つっこみましゅよ!」





 ミネも大概ですが、オルツァーは、人(令嬢)を猫扱いするから嫁の来てがないのでは?

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