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貴方に恩はありませんので、出奔させていただきます  作者: Hatsuenya


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素晴らしきモノ、それは地に足がついた者

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 研究塔でのミネのお話になります。



 アレグサー教授と押し問答していると、ノックの音がした。


「アレグサー。カウマンだ。ちょっと良いか?」


 サッと立ち上がり、レガスさんがドアを開けた。

 

「アレグサー。うちの助手が、すまなかったな。これは、お詫びだ。研究が一段落着いてるのなら、一緒に呑もう」


 そう言って、大きな身体を揺らしながら、研究室に入ってきたのは、ハイブリッド畜産業の研究をしているカウマン教授だった。


「おや。ミネルバ、帰ってきてたのかい?」


 お酒のボトルをテーブルに置きながら、カウマン教授は私の前に座った。二人用ソファーが小さく見える。

 レガスさんはグラスを持って戻ってきて、アレグサー教授の膝の上にいる私の隣に座った。

 これで、私は教授の膝の上から逃げられなくなった。メソメソ。


「ミネルバ。カウマン教授は、おつまみ欲しいな」


 カウマン教授、自分の事をカウマン教授と呼んでも、可愛くないですよ。カウマン教授は、縦にも横にも大きな巨体のおじさんで、一見、人の良さそうな顔をしているけれど、これで中々、強かな人だ。


「ムリです。私、旅先からアレグサー教授に拉致られた所なので」


 カウマン教授は、怪訝な顔をして私の頭の上のアレグサー教授の顔を見た。

 アレグサー教授がどんな顔をしていたのかは知らないけれど、カウマン教授はソファーの上にふんぞり返り、足を組んで、今度はレガスさんを横目でジロリと見た。

 説明をしろ。と言う事だ。


「説明も何も、アレグサーの顔に釣られてやって来たカウマン教授の助手が気に入らなかったアレグサーが、時空間魔術の応用で、行方不明だったミネルバを探しだして連れ戻しただけです」


 レガスさんは、そう言いながら、私には果実水を差し出し、3つのグラスにカウマン教授の持ってきたお酒を注いだ。


「それで、ミネルバは、どうして行方不明になってたんだい?話してくれたら、ちょっとばかり知恵を貸してあげれるかも知れないぞ」


 今度は私の方をじっと見たカウマン教授は、少し前屈みになってお酒のグラスに手を出した。


 研究塔の中では、私はカウマン教授が一番、地に足がついた人だと思う。他の教授達は、理論や違う世界に頭が飛んで行っている人が多い。

 相談するとしたら、この人以外に居ないと思う。

 

 私は、事の経緯を教授達に語った。


 教授達は、少し黙って考え込み、やがて、カウマン教授が口を開いた。


「実は、仮面の男爵とは、私は少々面識があってね。共同研究を持ちかけられたんだが、話が怪しすぎて、お断りしたんだよ。

 ところが、その後すぐに、助手達が次々と何人か研究室を辞めてしまったんだ」


 何れの助手も、私と同じ様に、身内に不幸があったとかで家に戻り、そのまま研究塔を辞めてしまったらしい。


「うちの元助手達から、ミネルバの使う複合魔術や魔法薬の調剤の話が、奴に漏れたのかも知れないな」


 私の使う魔術は、魔法薬剤師で有名だったお祖母様が調剤の為に編み出した魔術を元にしている。

 カウマン教授の動物のハイブリッドと魔法薬剤師。仮面の男爵が何をしたいのかは知らないけれど、人を集めるやり口から見ると、怪しい事この上ないわね。


「何れにせよ、この研究塔も何処からか情報が漏れていて、危ない。

 その点、辺境砦は、魔術に於いては第一人者の前女王陛下や、武術に於いては負け知らずの前王配と騎士団が居る。治外法権とも言われる場所だ。

 話に聞いたオルツァーと言う騎士は、おそらくオルツァー・アーバスだろう。彼は騎士団長の甥で、騎士団の副団長を務めている。

 あちらにミネルバの親戚が居るのなら、そちらに身を隠した方が、得策だろうな」


 カウマン教授の言葉に、アレグサー教授は、レガスさんの説得もあって、嫌々ながらも私を元の宿屋に戻す事になった。

 但し、アレグサー教授の魔力が足らないのと、反転魔術が完成してないので1日2日待って欲しいと言う。


 ここから私が襲われた宿屋まで馬車だと1週間以上かかるし、そこまでの道すがら、また襲われても嫌なので、ここでアレグサー教授の為にスープストックを作って、バイトをしながら待つ事にした。

 例の宿屋からは馬車で1日で砦に着ける。


 オルツァーさんは、既に宿屋を出ただろうけれど、またすぐに会えるわよね。


 あんな奴らに負けるオルツァーさんじゃないわよね。


 私は、アレグサー教授とオルツァーさんを信頼して、待つ事にした。


 



「アレグサー、取り敢えず、寝ろ」


「え、でも、反転魔術がね。レガス」


「寝て、魔力と頭を回復させろ。時空間を繋げる前から寝てないだろうが」


「でも、ほら、鉄は熱い内に打てって言うでしょう」


「ミネルバ、スープに薬を盛っとけ」


「了解です、レガスさん」


「薬が入ると、不味くならない?」


「大丈夫ですよ、アレグサー教授。美味しくなりますから」





 ミネルバの作るスープのレパートリーには、睡眠薬入りスープというスープが存在します。

 研究に夢中になって寝ない教授達御用達で、助手達が重宝してます。


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