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楽園から続く道  作者: 詠み人知らず


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28/35

先見

500PV達成、ありがとうございます。

―数日後。

輝幸は、自宅でスマホを眺めていた。

安藤信康が、自身のYouTubeチャンネルで、若手芸人の話をしている。

何気なく流していた映像の中で、輝幸の名前が出た。


「中島ね~。今は、じゃない方芸人なんて言われ方をしているけど、実は、あいつのツッコミ、ポテンシャル高いんだよね。俺は買ってる。」


心臓が、一拍遅れて鳴った。

「まだ安定しない。でも、時々、とんでもない言葉を出す。俺は、あいつのツッコミが化けるのを見てみたい。」

輝幸は、その動画を、何度も何度も、繰り返し再生した。


 ――安藤さんが認めてくれている。

 ――俺は、ツッコミをやっていけるのかもしれない。


その夜、輝幸は自宅のソファーに寝転んで、宙を見ながら考えた。

小説。

テレビ。

漫才。

全部、同じものが核となっている。

――”言葉”だ。


俺は、幼いころから、数えきれない本を読み、

本を彩る、数多の”言葉”の中で生きてきた。

その”言葉”達は、俺が意識しないうちに、俺の中に息づいていたのかもしれない。



――数日後。

輝幸は、安藤がプロデューサーを務める深夜のトーク番組の収録に、ゲストとしてピンで呼ばれていた。

輝幸は、ひな壇で、いつものように黙っていた。

しかし、これまでのように不安な様子はなく、自然体でスタジオのトークを聞いていた。


番組には「禿はげネタ」が持ち味のお笑い芸人「斎藤たかし」もゲストとして出演していた。

番組の進行役である女性アナウンサーからトークを振られた斎藤は、アドリブで、鉄板の「禿の自虐ネタ」を披露した。

しかし、女性アナウンサーは、昨今のコンプライアンスの厳格化を背景に、局から、容姿に関する直接的な表現は避けるよう指導されていた。

一人で焦った女性アナウンサーは、

「お、”落ち着いたたたずまい”で、素敵ですよね。」

と、見当違いのフォローをした。

しかし、その一言で、かえって斎藤のボケが潰されてしまい、スタジオに微妙な空気が漂った。

それを見ていた安藤は、顔をしかめた。


すると、輝幸から、自然と言葉が出た。

「いや、”閑静な住宅街”みたいに言うな!」

客席に、笑いが起きた。

斎藤もほっとした表情で笑っている。

輝幸は、続けた。

「”アド街ック天〇”かと思ったわ!」

笑いがもう一段弾けた。

安藤も大声で笑っていた。


 笑い声のなか、輝幸は、これまでと違い、自分の中の言葉が、自然と出てくるようになっているのを自覚した。

これから、輝幸の覚醒が始まります。

応援、よろしくお願いいたします。

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