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第5話 時を駆ける

昨日の山手線ゲーム以降の記憶が全くない。頭が割れるように痛かった。


「おい、湯汲起きろ。もう朝だぞ」

「んー、司おはようなんさ」

「やべえ昨日は飲みすぎた。取り敢えず一回寮に帰るか」

「腹減ったしそうするんさあ」


電車乗り継ぎアプリを確認するために、スマホを付けると4月5日と表示がでていた。

ん、どういうことだ。新入生歓迎会が2日だったから、今日は3日でなければおかしい。大学入学と共に買い替えたばかりのスマホが早くもご臨終なされたのだろうか。ところが、喫茶店のカレンダーも、コンビニに置かれている新聞も同じく4月5日と記載されていた。スマホよ疑って悪かった。


「俺の頭もついに焼きが回ったか。気づかないうちに時を駆けているんだが」

「覚えてないんさー。俺のスマホはとっくに電池切れて全然分かんないけど、そんなに時間経ってるんか」

「歓迎会で山手線ゲームやって飲んで、先輩に二軒目連行されて飲んで、コンビニでチェイサー(アルコール)買ってその辺で飲んで。そこから帰ってないのか」


周囲の視線も気にならないくらい、湯汲と黄昏ていると、二つの大きな影が近づいてきた。あのマッチョな体付きは…。


「おおーう。お前ら今日も行けるか」


やはり、マスラオ先輩だった。もう一人は同じく3年の雄鶏先輩だったと思う。


「マスラオ先輩!俺らおかしくなっちゃったんですけど!ここ二日くらいの記憶が全くな…。今日もって言いました?俺らに何かしたんすか!?」

「ん?お前らも毎日喜んできてたじゃないか飲み会。あ、金のこと気にしてんのか!新入生はそんなこと気にするなって。俺らが出してやるから。ほら景気づけに一杯」


マスラオ先輩は真っ白な歯を見せながら《おにころ》と書かれたパック酒を渡してくる。


「それのせいかぁぁ!」

「あ、うまそうなんさ。ありがたくいただきまーす」

「湯汲も簡単に受け取ろうとすんな。完全に元凶はこいつらだろ」

「何だ何だ。人聞き悪いなあ。誘ったらついてきたのはきたのはお前らだろ」

「え、そんな記憶全然ないんだが」

「最初からこんなに飲めるなんて、こんな才能ある新入生が入ってきてくれて嬉しいぞ」

「いやー、そんなことあるんさー」


湯汲はゴクゴク、とおにころを飲みながら生返事する。

歓迎会は完全にお試し程度で行ったのに、こんなにどっぷり浸かっているなんて。他の新入生たちはもう友達を作って遊んでいるのだろうか。出遅れ感が否めない。


「あのー先輩方。俺らサークル活動も体験してないんですが」

「ある意味これがメインの活動といっても過言ではない」

「テニスサークルっすよねここ…」


ダメだ。ここにいたら酒浸りの大学生活を送ってしまう。早く他のサークルに避難しなければ。


「じゃ、俺らはここで」

「まあ待て。ちゃんとテニスもするから。それに授業の相談も乗って欲しいんだろ?」

「それはそうですけど」


雄鶏先輩がフォローするように介入する。


「二人とも時間あるか?今日はじゃあ大学行くか。多摩ターミナル駅で待ってるから準備したら来いよ」

「りょ、りょーかいっす」

「りょーかいさんさー」


そう言うと、先輩達は去っていった。良いように言い包められた気がするが、取り敢えず履修相談は乗ってもらいたいし、サークルを出るのはそれからでもいいか。そもそもサークルに入った覚えはないが。

隣に目をやると、マスラオさんに餌付けされ、今にも寝そうになっている湯汲がいた。心なしか身体中が痛いし、こいつを運ぶ元気はないな。とはいえ、置いていっても道行人の迷惑になりかねない。


「しょーがねえな。起きろ湯汲」

「んー、眠いんさあ」

「取り敢えず、駅までいくぞ。ほら肩貸してやるから」


駅に着いたら、絶対あの筋肉達に運ばせよう。

そう心に決めて、駅へと歩みを進めた。

第5話アップさせていただきました!

飲み会で記憶を無くしたことは多々ありますが、何気に二日酔いになったことはなく、肝臓が強いのか、弱いのかもはやわからない体質です・・・。

司達は大学に入ったというのに、まだ授業もまともに受けておらず、学生と言っていいのかという行動をしておりますが、意外と大学生というのはこういう姿のイメージが強いですね。

勉強する人と、遊びまくる人に二極化することが多いと思います。

司達はどちらに傾くのですかね・・・。

それではまたお会いしましょう!

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