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47話 胸に宿る希望

 その翌日、私は転移者保護の仕事の傍らアナのジュース屋に寄った。


「ハイ!マスミ、今日はどのジュースにする?」

「どれがおススメ?」

「あのアオジル風に不味いジュースはやっぱりす少し飲みにくいみたいで、少しマンゴーやオレンジも入れて改良してみたの。試してみる?」

「もちろん!」


 私は青汁風の世界一不味い野菜ジュースを受け取る。


 一口飲むと、青臭さだけでなく柑橘類やマンゴーに風味も感じられて確かに飲みやすくなっていた。まだまだ飲みにくさはあるが、そんなに不味くない。健康や美容に良い事も考えるとこれぐらいの不味さがちょうどいいだろう。あんまり美味しすぎても、飲み過ぎてしまう恐れがある。どんな健康に良いものでも飲み過ぎはやっぱり毒になるだろう。


「それにそても村長が犯人だったなんてね。カーラにもあんな事情があったなんて想像もしなかったわ」

「そうね…」


 事件を解決したがアナは渋い顔だった。やはり王都で同じジュース屋をやっていて失敗したカーラについては複雑な感情があるらしかった。


「本当に生きるのって大変ね。王都で営業していたら、私も失敗していたかも」

「そんな…」


 そんな事はないとは言えない。生きて自立する事の厳しさは、この事件で嫌でも理解した。アナの複雑な感情もわかってしまう。


「でも、このジュース美味しいよ。少なくとも私は好き。腹持ちもいいし、健康にもいいしね」


 そう言ってごくごくと、微妙な美味しさのアオジルもどきを飲む。確かに日本で飲んだような既製品の青汁とは劣るかもしれないが、アナが色々と頑張って試行錯誤していると思うと、なぜだが美味しく感じた。

「ありがとう、マスミ。そう言って貰えると自信が出てきたよ。あなたって意外と人の事を褒めるのが上手いわね」


「まあ、日本では学校の先生だったからね」


 教師は叱る事も多い仕事ではあったが、生徒の事を褒める事も多い。良いところをもつけて伸ばすのも仕事だった。そう思うと、こんな事を生かせる仕事を見つけてみたいとも思った相談というか、励まし屋?コンサル?何もわからないが、自分が出来る事が活かせそうな事がちょっと見えてきた。長いトンネルを抜けて光が見えたような、そんな清々しさも感じる


「マスミの世界では、他にどんなジュースがあった?アオジルの他に」

「スムージーっていうのがあったわね」

「何それ、どういうの?」

「野菜やフルーツのジュースなんだけど、ヨーグルトや蜂蜜が入っていてちょっとスイーツっぽいのよ」

「何それ、詳しく教えて!」


 アナはギラリと目を輝かせてスムージーについて聞いてくる。私は出来る限りスムージーについて思い出し、アナに教えてやった。同じ転移者であるデレクからもスムージーについて知っているかもしれないし、後で聞いてみてもいいだろう。


 生きる事は大変だし、この世界での転移者の現実も厳しいが、とりあえず今は出来る限りの事は頑張ろう。ヤル気に満ちているアナを見ながら希望が胸に宿った。


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