40話 カーラに出来る事は一つ
湖は夏に日差しに照らされ、綺麗だったが熱中症を引き起こしていたのを目の当たりにすると勘弁してほしいもにだと思う。この世界は日本と違って湿度は高くなく、風はサラッとしているが日差しはかなり強い。
「マスミって僕の事を疑ってるの?」
牧師さんは、ため息をつくように小さな声で言った。
「は? どこでそんな話が」
「村のみんなが噂してた…。僕は、カーラを殺そたりなんてしないさ」
ちょっと牧師さんの目が悲しそうである。確かに何か隠しているには疑いようはないが、無闇に疑ってるしまった事は反省する。
「ごめん、そんな別にすごい疑ってたわけじゃないんだけどね」
「まあ、僕も疑わしい事を言ったけどさ」
この場の空気が重い。しばらく二人とも無言になった後、森に入る。鬱蒼とした森ではあるが、ここに入ると日差しが遮られ少し涼しくなる。あたりをキョロキョロとみるが今のところ、転移者らしき人物や不審な扉絵は見当たらないようである。
「もしかして、牧師さんはカーラの事情を知ってた?」
明らかに牧師さんは「しまった」という顔をしている。カマをかけたが、事実だったようである。牧師さんは観念したようで、カーラの想い人が村長である事やキャバ嬢だった事は相談されて知っていたと白状した。
やっぱり村長がカーラの想い人だったのか。私に憶測は当たっていたわけだが、別に嬉しくはない。あんな既婚の中年のセクハラ親父をイケメンだと思えるほど、カーラは困窮していたと思うと切なさしか感じない。
「何で黙ってたの?」
「村人の相談内容なんて安易に言えませんよ。カーラはキャバ嬢だった事をすごく後悔していました。聖書ではそう言った事も罪ですから」
「そっか…」
ますますカーラには同情心しか持てなくなる。全く罪悪感も感じず、キャラ嬢という仕事を楽しんでいたとしたら、少しはカーラを嫌いになれるのに、これでは嫌う理由もない。
「だから何度か一緒に悔い改めの祈りも一緒にして。カーラには幸せになって貰いたかったです」
「そうね…」
私の心には切なさしか残らない。
・カーラは罪悪感を持っていた
・牧師さんは職業柄相談に乗っていただけ
「うん、だから僕がカーラを殺す動機もないし、そもそもアリバイがある。あの日、ジャスミンやマリーに聖書の事を教えていましたから」
「そうね。根本的な事を忘れてたわ。私は探偵失格ね」
「まだまだですよ、マスミ!」
励ますように言われて、私と牧師さんは笑った。笑うしかない感じだった。
これで私の中にある牧師さんへのわだかまりが解消した。たぶん、恋心ゆえに、無駄な疑いを持ってしまっていたのだろう。
ともかくカーラを殺した犯人を一刻も早く見つけなくては。
同じ転移者だった。
生活やお金、生きる事に辛さを感じていたカーラに私ができる事は、犯人を捕まえる事しか無い。カーラは犯人を脅していた可能性が高いが、だからといって殺されて言い訳がない。




