37話 容疑者は二人に絞られました
食堂にプラムが冷たい牛乳を持ってきた。
「こう暑いと冷たい牛乳美味しいわね」
クラリッサはプラムから牛乳を受け取り、ごくごくと喉を鳴らしていた。
私もプラムから牛乳を受け取って一口飲む。この土地の牛乳は日本のものより濃く、飲んでいると妙に落ち着いた。
「そうね」
私はクラリッサの言葉の頷く。
食堂に私、クラリッサ、プラムが顔を突き合わせて座り話し始める。話題は自然とデレクの事になる。
「それにしてもアンジェリカにもちょっかいかけていたなんてショックだわ」
しかし、クラリッサの表情はあまりショックを受けていないようだった。むしろ、ちょっとワクワクが隠せない表情である。
「クラリッサ、そのキスとかされて大丈夫? 気分悪くない?」
それでも私は心配だった。もし自分がそクラリッサの立場ならしばらく立ち直れ無いと思う。
「いえ、別に良いのよ。久しびぶりに女の子になった気分!」
「よくないですよ。これは、女性を馬鹿にしていますよ」
プラムはウンザリしたように呟く。
「ねえ、デレクは何かクラリッサに要求した? お金とか」
気になる事を聞いてみた。
「ええ。タピオカ屋はもうできないかもってお金ないから頂戴って言われた」
「全く何なんでしょうね、あの男は。おそらくアンジェリカにもお金目当てで近づいたんでしょうね」
プラムは目を釣り上げる。
「商売したければ地道に努力しろと言いいたい。こんな女性を愚弄してしたタピオカ屋が成功するわけがないわ!」
プラムもごくごくと牛乳を飲み干した。それは正論では有るが、カーラのローラの事も思い出し、ちょっと切ない気持ちにもなる。
「でも、デレクにも事情があったのかも」
「マスミ、あんなクソ男に同情は要らないわ」
「でも、プラム。事情だけは明日聞こうよ。事件の事とも関係あるかもしれない」
カーラもデレクほどではないにしてみ似たような色仕掛けはやっていた。何か関係があるのか引っかかる。
・デレクとカーラにはちょっと共通点がある。
・実際二人は友達のようだった。
・デレクのタピオカワゴンを壊した事とカーラの事件は関係ある?
メモに書いたがわかるわけがなく、プラムとクラリッサに意見を求めた。今日わかったローラの事やカーラの事情も言う。
「あぁ、そんな可哀想なカーラ。辛かったでしょうね」
クラリッサは深くカーラに同情していた。そんなクラリッサを見て、プラムも毒気は抜けたというかバツの悪い表情を浮かべていた。
「まあ、カーラの想い人は村長で間違いないでしょう。キャバ嬢からまともな仕事与えてくれた男なんて、少しはカッコよくある見えても不思議じゃないわ」
プラムもカーラの想い人が村長で納得していた。私もそれに関しては間違いないだろうと思う。他の村の男達は貧乏人であるし。
「アンジェリカも村長もカーラを殺す動機があるわね。どっちが犯人かな?」
クラリッサはさっきまでの慈悲深い顔はどこにやったのか、ちょっとワクワクした表情を見せ始めた。
「私は村長じゃないかと思うわ。キャバ嬢に貢いでいたことバラすぞって脅したんじゃない?」
続けてクラリッサはニコニコ顔で推理を披露する。
「私はアンジェリカだと思いますよ。おそらくカーラがデレクとの不倫の事を脅したのよ」
プラムは冷めた表情で推理を言う。どちらもあり得そうだった。
カーラが特別な臨時収入もあった事だす、誰かを脅していても間違いは無いだろう。
・犯人はアンジェリカ?村長?
「でも、私は牧師さんもちょっと怪しい気がする…」
「え!? マスミはそう思うの? 意外ね」
クラリッサは、かなり驚いていた。
「マスミ、牧師さんのことは好きじゃないの?」
プラムに言われたが、好きだからこそ、隠し事をしている現状は気になってしまう。おっとりと優しい人に見えるが、別の顔があったとしてもおかしくないような気がする。
「まあ、牧師さんは村の人達に相談をいっぱいされる仕事だしね。知らなくても良いこと知ってるとは思う」
珍しくプラムは同情心を隠していない。
「本当は聖書勉強会や宣教などにも時間使いたいんでしょうけど、子守や村人の愚痴聞いたりするのは大変ね」
クラリッサも同情心を見せる。
「なんか、私も手伝える事有れば良いのにな。相愚痴聞くぐらいなら、やりたいかも」
ふと、そんな考えが浮かんだ。意外とプラムやクラリッサは、良いアイデアなんじゃない?仕事にしてみたら?と好意的だったが、私はまだそこまでの自信は持てなかった。それでも、村の人達の相談を聞いたり、愚痴を聞くのはやってみたい希望が芽生える。
「ところで、プラム。デレクにふっかけていたあのスプレー何? すっごい痛そうだったけど…」
「ああ、これ?」
プラムはポケットの中からあにスプレーを置く。改めてまじまじと見ると、血のように真っ赤である。デレクのような軽薄な男など一撃できそうだった。
「これは各種スパイスを調合して作った特別なスプレーよ。大概の男はこれでのたうち回るでしょうね…」
ふふふと怪しく微笑えむプラムは、改めて敵に回したく無いと思う。
「プラムはスパイだったからね。薬や毒も詳しいのよ。確か自白剤も持てなかった?」
クラリッサはサラリと言うが、自白剤なんて怖すぎる。私は牛乳を飲んでひとまず心を落ち着かせる。
「まあ、どうしてもアンジェリカか村長か犯人かわからない場合は自白剤使えば良いわ」
今度はプラムはヒヒヒと笑っている。やっぱり怖い女である。絶対に敵にはしたく無い。
「自白剤はちょと、飲ませるまで行くののが一苦労よ」
「私が一発殴っても良いですけど」
「こらこら、プラム。やめなさいよ」
さすがに主人に嗜められて、プラムは不気味な笑いをおさめる。
「でも、マスミ。このスプレーは持っていた方がいいわね。一応、犯人と出会した時の為に」
「あ、ありがとう…」
プラムから真っ赤な撃退スプレーを貰う。その出番が無い事を祈りながら、撃退スプレーをポケットの中にしまった。




