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18話 あのタピオカ屋が怪しい!

 翌日、私は朝からメイドの仕事をした。プラやクラリッサには捜査に集中しろと言われたが、やっぱり何もしないのも気になる。


 その後、転移者保護の仕事である村の見回りをした。


「マスミ、大変だったわね」


 商店街を見回っているとき、リリーと会った。リリーは、自身の店の前に服やストールなどの商品を並べていたが、いつもの様な元気さは無かった。


「まさか、カーラが死んでしまうなんて」

「そうね。だから、私はカーラの為の事件の調査をしようと思っているの」

「そっかぁ。私はカーラの事は嫌いだったけど、死んで欲しいとは思ってなかったわよ…」


 リリーは今にも泣きそうだった。大きな目が潤んでいる。意外にもリリーからまともな反応があり、私はちょと驚く。てっきり「またか…」か「ザマァ」という反応かと思っていた。


「リリーは、何か知らない?カーラの事」

「そうねぇ…。私はカーラとジェイクがお似合いだったから嫉妬していたけど、ジェイクのファンでわざわざカーラを殺す事はあり得ないわよ」

「そうね。ライバルを殺してもジェイクの気持ちがこっちに向くかわからないものね」

「そうよ」


 リリーは、ちょっと苦笑して今日始めての笑顔を見せた。


「じゃあね。マスミも仕事頑張って!」

「うん」


 リリーは店に入り、仕事に戻って行った。私はメモ帳をとりだしてメモする。


 ・ジェイクファンの女性達が犯人ではないと思う


 恋愛のいざこざも動機としてありうるが、やっぱりクラリッサが言う通りお金だろうか。


 メモを書き終えると、ミッキのパン屋からパンの焼ける良い匂いが鼻をくすぐった。


 ミッキーも何か知っているかもしれないし、ちょっとパンを見てみたかった。


 ミッキーのパン屋は、日本のパン屋と置いてあるものはだいぶ違う。いわゆる惣菜パンや菓子パンなどはなく、どっしりとした筒型や丸くて黒いパンばかりだ。スイーツやおかずではなく「我々は主食という王様だ」としっかりと主張しているパン達である。最初は硬さ、酸味の強さなどが口に合わなかったが、だんだん慣れてきた。


 ジュースペーストという砂糖と果実を煮詰めたものをジャムがわりに食べても美味しいし、最近は黒くて硬い田舎パンの上に生ハムとオリーブオイルを垂らして食べるのにハマっている。素材がいいのでシンプルイズベストのご馳走である。


「ハイ、マスミ。噂を聞いたぞ。大変だったんじゃないか」


 パン職人でありこの店の店主であるミッキーが工房の方から出てきた。ミッキーもカーラの事件を知っていた。


「そうなのよ。また事件ね」

「カーラかぁ。残念だな」


 ミッキーは顔を顰めて呟いた。ジェイクやアラン保安官とは違う人間らしい反応で私はホッとする。パンの焼けた匂いや小麦粉の匂いもちょっと癒される。


「ところでミッキーは何か知らない?」


 私はメモを片手に聞く。


「また、調査しているのか…」

「うん。成り行きっていうのもあるけど、カーラが可哀想で」


 昨日に死体を思い出したくないが、やっぱり目に浮かぶ。誰であろうとどんな理由があろうと人殺しは許す事は出来ない行為だ。別に根拠はないが、カーラは悪い人間に見えない。犯人の自分勝手さしか感じない。早く捕まえなくてはと思う。


「俺は、あのチャラチャラしたタピオカ屋と話しこんでいるカーラを見たことがある」

「チャラチャラしたタピオカ屋ってあのデレクの事?」


 デレク事以外考えられないが、なかなか辛辣なコメントである。そういえば杏奈先生が日本から仕入れていたパンを「スカスカな風船玉」とミッキーが評していたことを思い出す。私は手早くメモを取る。


「そう。なんだんだろうな、あの人」


 ミッキーは顔を顰める。なんとなくミッキーとデレクは気が合わなそうだ。


「それでカーラとデレクが話し込んでいたのって本当?」

「ああ。なんか、湖のほとりずっと話し込んでいるのをみたぜ。教会に残ったパンを寄付しに行った帰りだったかな」

「どんな様子だった? まさか二人は付き合ってたのかしら?」

「そんな甘ったるい雰囲気では無かったな。なんというか、長年の友達とおうか、兄弟のような、幼なじみのような。しかもカーラは泣いてタピオカ屋に抱きついてた」

「本当?」


 ・カーラとデレクは知り合い?(仲良かったの?)


 メモを取るとミッキーは、クスクスと笑っていた。


「マスミ、今日は何か買うか?」

「もちろんよ。おすすめは?」

「やっぱり田舎パンだな」

「田舎パン一つ、サンドイッチ用に適当にスライスしてくれる?最近生ハムとオリーブオイルつけて食べるのにはまってるのよ」

「おぉ、通だな。ようやくマスミにもここのパンの魅力がわかったか」


 パンを褒められらミッキーは上機嫌になり、試作品のパン待っでおまけして袋にいっぱい入れてくれた。ミッキーは、日本のパン生ハムは否定的だったが私の話を聞き、惣菜パンやジャムパンにも興味を持っていた。


「見たところ、試作品でも美味しそうだけど」

「いいや。まだ研究中だよ。食べたら後で感想頼む」

「うん、また来るわ。あと、カーラについて何かわかったら教えてね」

「わかった。取引き成立だね」


 ミッキはニヤリと笑い、私に握手をも求めてきた。

 私もちょっと子供っぽく微笑んで、ミッキーとガッチリと握手をした。

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