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9話 女子会

 翌日、お茶会の準備の為に朝から大騒ぎだった。


 まずお茶会に出すパンケーキ作りだ。今日のお茶会にはカーラやジャスミンはもちろん、プラムの友達のメイジーも来るという。メイジーもメイドで、この村の村長の家で働いているという。お互いどうしても仕事の都合がつかない時は、助け合う間柄だとも言う。なのでプラムは村長の家のメイドの仕事も一通りできるという。


「村長の家ってどんな感じなの?」


 私はパンケーキの材料を混ぜながら呟いた。全て手作りの材料なので、ホットケーキミックスのような甘い匂いはしないが、やっぱり無添加なので安心でがある。


「そうねぇ。村長の家はねぇ」


 珍しくプラムは苦い顔をしていた。プラムは元スパイという経歴で、語学も堪能で何でもできる人物だ。滅多に感情を面に出さないので、その表情は気になった。


「正直なところ、私はあそこの家には行きたくないのよね」

「プラムが大変な家って相当ね…」


 プラムは体力もあり、5キロぐらいの小麦粉も軽々と持ち上げる。広い庭も屋敷もほとんど彼女が掃除して管理しているものである。クラリッサの温情で雇われていると言った方がいい状態である。私は正直なところ、この屋敷で必要はない。ただ、プラムと一緒にいると行儀や姿勢、言葉遣いなども矯正された。最近がジャパニーズイングリッシュもだいぶ治ってきたとクラリッサに褒められた。


「まあ、仕事内容はそうでもないんだけど」


 温めたフライパンを一回濡れ布巾の上に置き、パンケーキの生地をフライパンに落とす。じゅっという音を立てて生地の表面がプツプツしてきた。


「じゃあ、何が問題なの?」

「村長の奥さんがね、性格悪過ぎるんょ。おかげでメイジーはストレアでよく病気になってるの…」

「それってかなり酷いじゃないですか」

「ええ。でも他に仕事探せって言ってもこの村には仕事なんてないしね。一応男女同権の国だけど、女には向かない職業も山ほどあるしね」

「そっか…」


 ここは異世界と言っても、都合のいい世界でがないらしい。ブラックのような仕事もあるようだし、現実がなかなか大変である。


「でもまあ、今日はジョシカイでストレス発散できればいいわよね」


 表面が焼き上がったパンケーキをプラムがフライ返しでひっくり返す。綺麗な狐色で匂いも美味しそうである。そうそてパンケーキ、フレンチトースト、田舎パンのサンドイッチを作り食事の準備を大急ぎで終える。


 あとは、クラリッサも含めて3人で庭にテーブルに準備だ。今日はよく晴れていて暑いので、日除けのパラソルをテーブルの上にさす。


 あとは食事を並べて、リリーの店で買ったランチョンマットや造花でほんの少し華やかにする。ランチョンマットや造花はクラリッサやプラムにも好評だった。そうこうそているうちに準備が整い、客達も集まり第一回コージー村女子会がスタートした。


「一応、自己紹介なんてどう?マスミはこの村にきて1ヶ月ぐらいだしね」


 クラリッサが提案し、自己紹介会から女子会という名のお茶会が始まる。


 テーブルの上には、積み重なったパンケーキやフレンチトーストなどの食べ物はもちろん、ブラックティーやフルーツジュースもある。残念ながらこの村で話題のタピオカは無いが、十分華やかなテーブルになった。


「まず、この屋敷の主の私から自己紹介しましょうかね。クラリッサよ。趣味はそうねぇ、こうやって甘いものを食べる事かしら」


 クリスチャンは穏やかに頬円っでいたが、彼女の病気を知っているジャスミンやプラムは呆れ顔だった。今日のクラリッサのパンケーキは実はプラムが作り、糖分が控えめになって居るが、見た目が変わらないので気づいていないようだった。


「私はクラリッサの姪のジャスミンよ。この町で司書をやってるのよね。あんまり人も来ないから、ぜひ来てちょうだい!」


 ジャスミンがおどけて、この場は笑いに包まれる。緊張していたメイジーやカーラも笑顔を見せて、私はホッとする。


「私はマスミ。転移者です!ニホンという国から来ました。特技も何もないけど、ニホンについては何でも聞いてね〜!」


 私もちょっとおどけながら言うと、みんなから拍手があり、ホッとする。


 次は、カーラの番である。


「カーラです。この村の職員…。よろしくお願いします…」


 カーラは、あまり元気がなさそうだった。


「カーラ大丈夫? 緊張してるの?」


 ジャスミンは私が思っていることと全く同じ事を口にした。


「いえ、久しぶりに美味しそうなお料理で、緊張しちゃって」

「そうなの?パンケーキやフレンチトーストは日本っで流行ってたのよ」

「日本でも?」


 でも?


 カーラはそういった。どういう意味かわからないが、聞き返すまもなくメイジーの紹介にうつる。メイジーは30歳ぐらいの痩せた女性だった。西洋風の顔立ちだが、髪に毛がチリチリとして傷んでいた。顔色も悪く、どうも不健康そうな印象を与えた。プラムが言っていた仕事ストレスで体調崩しているというのは事実かもしれない。


「メイジーです。村長の家でメイドをしています。プラムとも友達です。みんなと仲良しになれると嬉しい!」


 外見の印象と違いメイジーは人懐っこいタイプのようだった。メイジーの自己紹介にみんなで拍手をするが、なぜかカーラは下を向いていた。


「最後はわたしね。プラムよ。この家のワガママおばさまのメイドですわ」

「ちょと、誰がわがまま?」


 プラムとクラリッサのやりとりに一同は爆笑していた。カーラも笑っていた。メイジーの自己紹介の時の様子は気にせいだったのかもしれない。


 パンケーキやフレンチトースト、田舎パンのサンドイッチを食べながら、女子達の会話が弾む。話題がタピオカ屋のデレクの事だった。


「デレクはイケメンよね」


 メイジーがちょと頬を赤くして言う。


「そう? 逆にイケメンすぎない? ちょっと胡散臭いわよね」


 ジャスミンは眉を顰め、ブラックティーをすする。今日は暑いのでブラックティーは氷を入れたアイスにして正解にようだった。


「でもあんな美味しいタピオカやってるのなら何でもいいわよね」

「クラリッサ、あなたは甘いもの食べすぎよ…」


 プラムは容赦なくツッコミをいれ、再び笑いに包まれる。別に何が面白いわけではないが、こうして女子だけが集まりと何となくどうでもいい事でも笑ってしまう。


 カーラはあまり会話には参加せず、黙々とパンケーキを食べていた。


「カーラ、パンケーキ美味しい?」


 私は隣にいるカーラに声をかける。


「ええ。美味しいわ」

「よかった。私とプラムが作ったの」

「うん、すごいわ。美味しいわよ。仕事のストレスも吹っ飛びそうね」


 気づくとカーラのお皿はほとんど空になっていた。


「仕事といえば、私は超辛い…」


 仕事の話題が出てメイジーは口をこぼし始めた。村長夫人が横暴で、仕事中に暴言にメンタルがやられているという。


「実は明明後日から、親戚の家に用事があるんですが仕事の代役も中な見つからなくて」


 メイジーはフレンチトーストをもぐもぐと食べた後にため息をつく。


「あら、プラム。メイジーの代役に行ってあげなさいよ」


 そういったのはクラリッサだが、プラムは首をふる。


「行ってあげたいのは山々ですが、その日はあなたも王都の大きな病院で検査する予定ですよ。クラリッサ、私抜きで一人でいけますか?」

「そうね、そんな用事もあったわね」

「あぁ、どうしましょ」


 メイジーは頭を抱えていた。流石にかわいそうで私は思わず声をかけた。


「私、代わりに行ってもいいよ?」

「本当?マスミ?」


 メイジーはちょっと目に涙を浮かべて喜んでいた。


「まあ、仕事ができるかどうかはわからないけど…」

「そんなの大丈夫よ! とにかく村長の家に行ってくれれば何でも!」


 という事で明後日私は村長の家に行くことになった。なぜかカーラは微妙な顔をうかべていたが、気にせいだったのかもしれない。


 その後、女子会らしく恋バナで盛り上がった。やっぱり村の娘はジェイクが人気なようで、メイジーもジェイクファンである事が判明した。


「マスミは、牧師さんでしょ?」


 クラリッサに指摘され私は顔が真っ赤になる。どうやらクラリッサやプラム、ジャスミンにはバレバレだったようである。


「えー、牧師さんってちょっと地味よね…」


 メイジーが言う。牧師さんはこの村では地味判定を受けているようで、今のところライバルが0人であるようで、私はつい笑ってしまう。


「カーラはどうなの?」


 確かにこの美女は誰が好みなのか気になる。私は隣にいるカーラにちょっとニヤけながら質問する。


「私はもう男の人はもういいわ。うんざりよ」

「あら、私と一緒!」


 カーラとジャスミンは意見が一致し、ケラケラ笑っていた。


 ジャスミンは夫が逮捕されたので仕方ないが、カーラはどうしてそう思うようのなったから気になる。それにこんな美女なのに勿体ない事だ。


「私はもういいの。恋愛なんてあんまり良いものじゃないわ」


 カーラはハッキリと言う。


「そうなの?」


 ろくな恋愛経験はなく、ロマンス小説好きな私はショックであった。


 その後、あまり恋バナは盛り上がらず、気候や物価の高さ、田舎に不便さなどに愚痴でコージー村の第一回女子会は終了した。


 カーラの事は嫌いでは無いが、なんとなく違和感は残った。何か心に抱えたものがあるのかもしれないが、村に来たばかりの私が踏み込んでいいのか分からず、聞けずに終わった。


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