36話 阿瑠賀放至を求めて2
えー、約1年と4か月ぶりでしょうか、natakuです!
いやー、コロナの影響で家にいるのですが、小説を書く気が起きない起きないw
まあ、数話ため込んでいるんでしばらくは投降続けれそうです!それではお楽しみください!
《陽炎》
さて、長い長い旅路を行くこととなった俺と南風原だが、すでに常陸の国を出て、下総国も過ぎ、武蔵の国に入っていた。武蔵国には扇谷・山内両上杉家、後北条家などの群雄が闊歩している。まあ、行商の服装をした俺達は堂々と渡り歩いているがな。
「南風原殿、武蔵まで来たわけだが、甲斐に行く道かそれとも相模に行く道か、どちらを行く?」
「うーん、楽なのは相模だろうね。海のそばに出て、船があって乗っていければ運がいいし。」
「船か。海路のほうが楽であろうな。しかし、堺―――泉州に行くとなると志摩の九鬼親子(九鬼泰隆・定隆親子(九鬼嘉隆の父と兄))や泉州海賊の眞鍋氏(眞鍋道夢斎や眞鍋貞成などを輩出)など海上も不安要素が多いものであるな。」
「ま、何とかなるでしょ!」
「ふむ、それもそうさな。」
陸路を行かぬという点ではありがたい。甲賀の者に会うことは何としても避けたいところ。里抜けという行為の危険性は重々承知しておるしな。
「相模で船を借りたとして、その金がないのも問題だと思うがな。」
「俺を誰だと思ってるのー?琉球王国が鎖之側さー。多少の権限は与えられてるからこそ、交易をチラつかせて船を借りればいいさー!」
「おい、権力ってのは使い方によっては、愚王・奸臣を作り上げることとなるぞ。」
古の夏桀殷紂(夏の最後の皇帝である桀と殷(商)の最後の皇帝紂王のこと)のような王やその配下の奸臣を作り上げてしまう。そのうえで反乱を起こすような輩が現れてしまっては、我が主の野望が叶えられるまい。琉球という国はそれだけ我が主の野望にとって大切な国ということらしいからな。
「まあ、まあ。今回は堺と貿易できるっていう琉球にも利点があるさー。そこを鑑みれば、今回の用事は、三方に利がある行いさー。」
「ふむ、まあそう考えれば良い事かもしれぬな。」
相模国に入り、神奈川湊へと足を運ぶ。神奈川湊は、北条氏の領地であり、家臣である多目元忠(多米元忠とも)が治めている。多米氏は北条家の中でも忠臣として知られている将。重要な湊を任せられていると言えば、どれほどの将かわかるだろう。
「さてと、湊まで来たとはいえ、船を拝借したらただの賊に成り下がってしまう。かといって、北条氏に頼み込めば捕まってしまう。どういたそうか?」
「うーん、堺までは陸路で行くとするか?そう考えるとそれしか方法はないさー。」
詰みに等しい状況。一回陸路で行くとしても、帰りも陸路となると阿瑠賀放至が重荷となる可能性が高い。
さて、ここでどうするかだが、一度戻るとここまで来た5日間が無駄になるということだ。船を買う金無し、船を奪うにも行きは良くても帰りが怖い。待ち構えられている方がよほど大変である。いっそのこと、北条氏を味方につけ行動するということもありな気がする。優柔不断に思われるかもしれぬが、我が君の命を完遂するためである。
「南風原殿、お主のその職は小田氏以外のために使っても構わぬか?確実に堺へ海路で行く方法がある」
「いいよー。俺もここまで疲れたし、海路のほうがいいさー」
さぁ、賭けと行こうか、相模の獅子・北条氏康よ!




