32話 わんの頼みを聞いてくれ1
今回は新キャラまた登場です。
時は数ヶ月前にさかのぼる。とある男は主からの命を受け諸公の情勢を探りに旅に出た。島津、竜造寺、大友、大内、尼子、浅井、朝倉、筒井、織田、土岐、長尾、今川、諏訪、武田、北条、宇都宮、里見、結城、伊達、二本松、南部、蘆名、最上、津軽、佐竹・・・・・・・。とにかくたくさんの諸侯の情勢を見て回ったのだ。その男は今、小田氏領地に入ろうとしている。南風原幸清、童名を思亀といった。
《南風原幸清》
「もうそろそろ1年さーやー。はやくウチナーに帰りたいさー。」
コウシンは、尚清王の直臣である。王が全国の情勢を見るよう言ってから、一人旅をしている。
「食料もなくなったし、そろそろ危険さ―」
1年近く旅をする上で本土の言葉を学んだためか沖縄弁と本土の言葉が混ざったような言葉遣いになっている。
「こうなってくるとティンベーとローチンがかさばるさー」
《天羽源》
弾正さんに会ってから数日後、桜村にとある事件が起きた。亀の甲羅と鉄球のついた槍を持った男が倒れていたのだ。歳は20くらいだろうか。
「こいつ面白い格好してるねー!」
そう、とんぼが言った。
「確かにそうだな。おそらく沖縄―――琉球とか薩摩とか南方系のものだろうな。」
「おー、遠いとこの人だねー!俺さ、この人の話聞いてみたいな。」
「ああ、現在の南方の情勢だったり、琉球王国のものだったら貿易の状況とかも聞けるし連れて行こうと思う。」
やっぱり琉球王国等の情勢は聞いておきたい何といっても鉄砲の情報が欲しい。常陸、いや関東で持てればそれは最高クラスの武器になるし。
「お待ちください、我が君」
突然陽炎に呼ばれた。
「ねぇ陽炎。我が君って呼ばないでくれって言ったじゃん。」
「それは、のちに話し合いましょう。それよりもその男です。」
「こいつがどうかしたのか?」
「素性のわからぬ者を館の中に入れるのは危険かと」
確かにそうかもしれんけど、
「困ってたら助ける、それが俺だ。それに、こいつの話を聞きたいんだ。」
「ならば河毛殿や泥田殿を控えさせ、決して2人きりになられぬようお願いいたします。」
「わかった」
《コウシン》
「う、う~ん・・・。」
「目覚めたか!?」
目覚めると目の前に一人の若者がいたさ。
「うんじゅー何者さ。」
「俺か?俺は天羽源、常陸小田家が軍師さ」
小田家の者、そう聞いたらやっぱりここの情勢を見させてもらえるように頼まんといけんさーやー。
「俺は南風原の幸清さー。思亀と呼んでもらっていいさー」
「へぇ、じゃあ琉球の方出身なのか。」
「チャーシ俺がウチナーの出身だって分かったさー?」
「南風原って向こうの苗字だろ。だからだよ。」
この人なら‥‥!
「うんじゅーは賢い人だなぁ。なら、俺から頼みがあるさー!」
「頼み?」




