21話 車懸り対連車輪5
≪陽炎≫
「じゃあ、戦が始まったら少しづつ出て、敵に気付かれないようにするんだ。」
「わかりました」
「うん、よろしく頼む」
そういって、天羽源から命を受け、本陣を出る。
「おい、伝助」
「なんだ、陽炎さま?」
「俺と二名の兵士が陣を出たのを皮切りに、20数えるごとに3人出てくるようにする。伝助は、最後だ。よいな」
「わかっただ」
さて、行くか。
「行くぞ、お前たち」
「「おうよ」」
トン、トンとはじめは節奏のとれたいい音がする。しかし、すぐにその音もなくなる。訓練の賜といったところか。隠れる場所は、あらかじめ円形に刈ってあった蘆の中。
半数がこちらに着いた時、蘆の向こう側がガサガサッ、と揺れた。つい、こちらも反応してしまいそうになるが、すぐに動作で伝える。
訓練がこんなところでも役にたったようだ。行った訓練は、剣術と目つぶし、跳躍と合図、忍び走りの5つである。
敵の槍らしきものが見える。別動隊は他にいない故、敵と断定した。
「みな、まず俺が行く。騒ぎが起こったら忍び走りで近づき戦え」
そう伝えると、皆がうなずいた。
それを見た後、すぐに後ろに跳躍する。空中で体をひねり蘆の中へ。こそこそと近づき敵兵の背後を取る。すっと手を伸ばし一人の肩をつかむ。そして、そいつを蘆の中へ引きずり込み気絶させる。
すると敵兵の一人が近くにいた奴がいなくなって騒めくと、その波紋が広がっていく。
「天歩」
忍びの術を使い、空を駆けるように跳躍する。そして敵の槍の穂先に、
「重力流し」
をして立つ。重力流しは、重力を分散させるかのように見せるためそう呼ばれる。
「葉鱗粉」
木の葉を細かくしたものをまき、姿を消す。そしてからの胴打ちを何人にも繰り出す。
「何者だ、貴様」
身の丈6尺(180cm)より少し小さいくらいの大男がそう言ってくる。こいつ、強い。第六感がそう言った。
どうも、natakuです。爆露の相手は次回で。次回は、来週の日曜か月曜に出します。本業が学生のためテストです。ご不明な点、誤字脱字等ありましたらお教えください。また、面白かったらブクマお願いします。




