1話 天野源、戦国に行く
なに、歴史部門で21位だと!?始めたばかりですが、皆さんこれからも応援よろしくお願いいたします。
俺が目を開けると、そこには一面田んぼが広がっていた。
今朝卯の時に山の端を見たれば
霧やろ霞やろ山の端を見たれば
霧が深ふて弥山の腰を立ち舞ふ
朝の曇りは照らうが為のくもりか
雨が降らうとて弥山の腰の朝霧
蓑笠は置いてお立ちあれあれ曇り晴れて行く
田んぼからそんな歌が聞こえてきた。
歌が聞こえてきた方向を見ると、和服、それもかなり昔の鎌倉とか室町とかそんな時代の農民とかが来てそうな服を着た人たちが田植えをしているではないか。というか、まるっきりそのまんまじゃんか。
それに、眼前に田園風景が広がっていることもおかしい。俺が住んでるのは、時代の最先端を行く明治以降の日ノ本の首都・東京だぞ。それに俺の家は、高層マンションの真ん中らへんだぞ。ベランダから高層ビル群だったり人がまるでごみのように群がっているのが見えるような場所だぞ!?
しかも家に帰ってきてから、〈歌舞いてSENGOKU〉の天下統一モードで遊んでたんだ。外出すらしていない。ということはこれは夢だろか。寝落ちしちゃったんだろうか?
いや、違うな。頬をつねったら普通に痛い。ここはどこだよ~!
そんなことを思いながらいると急に後ろから声をかけられた。
「小僧、何者だ。みょうちきりんな服を着おって。」
馬上から40代程度のおっさんが話しかけてきた。
「あ、あんたこそ、だ、誰だよ。」
「小僧よ、年上に対して敬意を払うということを知らぬのか?」
なんか、ドラマで見る嫌な上司みたいなこと言いやがって。
「儂は、菅谷勝貞。藤沢城主にして、小田左京大夫政治様の家臣である菅谷勝貞である。」
藤沢城?菅谷?小田政治?
ま、まさか。不死鳥の如く戦った小田氏治、そう、常陸のフェニックスの家臣、菅谷政貞の父親の~!?
「し、失礼ですが、コスプレではないのですよね?」
「こ、こすぷれ?なんじゃそれは。こ、コホン。話を戻そう。というか、お主の余計な言葉に惑わされてしまったわ。だからもう一度問おう。小僧、何者だ?」
「は、はい。お、俺は、天野源です。たぶん、今から450年以上先の未来から来ました。」
この小説中に、なにかと未来にしかない言葉が出てきますが、そこのところは、大目に見てください。