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Old enemy a Own  作者: ゆう
3/6

イレギュラー

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


それで、今に至るという訳だ


依然として谷間良は謎の女性に今もこうして


機関砲の様なもので命を狙われ続けられている



(くそっ、どうして狙われなきゃなんねぇんだっ)



谷間良は考える…何故自分が狙われるのか


が、それを考えようにも余りに情報量が少なすぎる



谷間良はその思考を切り捨て、周囲に目を向けた



スーパーや一軒家などが軒並みに並んでいる



(ここじゃ、関係のない人まで巻き込んじまう…どこか、周りを巻き込まない場所を探さないと)


谷間良は危険を承知で右に曲がり細い小道に出たその瞬間…



『…っ⁉︎』谷間良に再び激しい頭痛が襲う


(またかよっ⁉︎さっきから、なんだっこの頭痛っ⁉︎)


谷間良は激しい頭痛を堪えながら走っていると



‘‘やった、繋がった’’


と、また聞き覚えのない声が脳裏に響く


先程とは違いクリアに


『…っ、俺の頭に響く声っ誰なんだお前は‼︎』



‘‘今そんな事を言っている場合じゃないでしょっ⁉︎’’



‘‘良い?私達が行くまでなんとか持ち堪えて’’



『あっ、おいっ⁉︎』



谷間良は声をあけるがその声に返答はない


(くそっ…持ち堪えろったってどうすりゃいい?)



相手は所構わず撃つ…それに加え谷間良以外の人間を傷つけるのも辞さない



(これ以上、被害を出したくない…なら)と



谷間良は覚悟を固め左手をぎゅっと握りしめた



『…対象、抹殺』と女性が銃を構える



『ふっ、良いぜ…こうなりゃ出たとこ勝負だっ‼︎』


そう言い谷間良は銃を構えた女性に突進する



◆◆◆◆◆ダッダッダッダッダッダッ…◆◆◆◆◆◆


容赦なく撃たれる機関砲に谷間良は臆することなく女性に駆けていく



『対象の行動、理解、不能』



女性は谷間良の行動に若干戸惑っているように見えた



死を目前にして特攻を仕掛けている…周りから見ればそう云う光景に見える


が、谷間良の目にはまだ灯火が宿っていた…まだ生きる望みを捨てていないとさえとれる強い火が



『あぁ、理解出来ないかもな…』


谷間良は笑う…その笑みはこの凄惨な状況に不釣り合いなくらい輝いていた



『けど、簡単に死ぬ訳にはいかねぇんだよっ⁉︎』


谷間良はそう言って跳躍し機関砲の上に飛び乗る



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ダンッ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


そして谷間良は女性の顔面を思い切り蹴り飛ばす



『…っと』


女性が蹴り飛ばされた事により機関砲も飛ばされ


谷間良は宙に1、2秒間滞在する


地に着くと同時に谷間良は尻餅をつきながら女性が蹴り飛ばされた方を眺める



(異性を蹴るとか、俺最低だな)


谷間良は心の中で呟き苦笑する



◆◆◆◆◆◆◆ウィーン…ガチャ◆◆◆◆◆◆


蹴り飛ばされた女性が起き上がろうと動いた瞬間…

機械音が鳴り響く


『…な、なんだよ…お前』



谷間良は今目の前にいる女性が信じられなかった



何故なら今目の前にいる女性の顔は



『…マスター、指示を』



機械で造られたロボットだったからだ



(だから、さっきから片言で喋っていたのか)


谷間良は疑問に感じてた事が一つ解決する



だがまた、新たな疑問が生じる



彼女…ここではアンドロイドと仮定しよう



この時代にあそこまで人間だと勘違いする程の技術は今の時代じゃ不可能だ


まだ、人工知能や喋る機能…ゆっくりだが動く事が可能になっただけの現代の技術では到底遠く及ばない



そしてもう一つの疑問…



今目の前にいる彼女はアンドロイドだ…


そのアンドロイドは仕切りにこう言っている


‘‘マスター’’と…つまり彼女、アンドロイドに谷間良を殺すように命令を下している人物がいるという事



(誰だ…誰が、俺を殺そうとしている)


何故、谷間良なのか…その動機、目的は?



そう考えていると



『…了解、コードF、解放』


アンドロイドがそう告げると


アンドロイドの体から光が満ちていく



谷間良は直感した…このままここに立ち止まっていては危険だと


直ぐさま立ち上がり、アンドロイドとは正反対の方向に走り出す…が、



『…ぐふっ!?』



アンドロイドは目にも留まらぬ速さで


谷間良の前に姿を現し鳩尾に拳が入った


谷間良は腹を抱えてゆっくりとその場に倒れこむ




『…対象の、戦意喪失を確認』


アンドロイドはそう言うと機関砲の銃口を谷間良に向ける



『…これより、対象を抹殺する』



谷間良は向けられる銃口を見て思った



(あぁ、俺…殺、される、のか?)


その時脳裏に生まれてから今日までの事が思い浮かんだ


これが走馬灯って奴か、と谷間良は心の中でそう感じながら目を瞑る


(結局、あの手紙の文面通りじゃねぇか)



心の中で呟き自嘲する…


(ごめんな、母さん…最後まで親不孝者で)



そう思った時過去の光景が谷間良の脳裏に蘇る



それは真冬の12月頃の真夜中、とある病室で死を迎えた男に何かを告げている谷間良の姿だった



『…っ』


谷間良は起き上がって機関砲の銃口を手で逸らす



『…対象の戦意、復活、理解不能』とアンドロイドが片言で現状を述べる



『…忘れかけてたぜ、忘れちゃ、、いけなかったのにな』



谷間良は自嘲気味に笑うと



『お前に感謝だ…忘れかけてた事を、思い出させてくれたんだから、なっ‼︎』


そう言ってアンドロイドの顔面目掛けて右ストレートを放つ谷間良



だが、それはアンドロイドの左手で受け止められてしまう


『対象の行動、理解、不能』


そう言いながら谷間良の右手を掴んでいる手に力が込められる



『…っ…アアァッ⁉︎』


それは谷間良に激痛となって伝わる



『アアァッ…っ‼︎』


◆◆◆◆◆◆◆◆ヒュッ、ダンッ◆◆◆◆◆◆◆◆◆



谷間良は激痛に耐え飛び蹴りをおみまいする



すると握られていた手は離れアンドロイドと谷間良の間に距離が出来る



『対象の認識、修正の必要、有り』とまた片言で呟くアンドロイド



(まずい、右手の感覚がもう無え)


谷間良の右手はどうやら先程のアンドロイドが握り締めた事により感覚が麻痺していた



また再びアンドロイドは谷間良に銃口を向ける



(…万事休す、か)


そう、谷間良が諦めかけたその時



◆◆◆◆◆◆◆◆プルーーーッ◆◆◆◆◆◆◆



上空に青い逆さまの竜巻のような物が姿を現わす



『な、なんだ…あれ』



その竜巻はただの災害を引き起こす風を帯びていないそこに只‘‘存在’’しているだけのように見えた



(あの竜巻…光ってる)


その竜巻は青白い光を発していた


竜巻の中で起きる雷などではなく全体が光輝いていた




『マスター、トラブル発生、イレギュラー、来ます』


アンドロイドが口にした片言の中で谷間良は一つのワードに反応する



『‘‘イレギュラー’’?』


聞きなれない言葉に谷間良は狼狽する


(なんだ…このアンドロイドは、この青白く光る竜巻を知っているのか?)



谷間良がそう考えた瞬間…



◆◆◆◆◆◆◆ピューーーダンッ…◆◆◆◆◆◆◆◆



中からアンドロイドが所持していたレーザービームのような銃弾がアンドロイドに放たれ命中する



『ッ…』


アンドロイドは撃たれた箇所…右肩を左手で抑える


『なんだっ⁉︎』


谷間良は撃たれたアンドロイドを一瞥し再び視線を竜巻に向ける



そして、竜巻から一人の少女と少年が姿を見せると同時に少年はアンドロイドに飛びかかる



『君の相手はこの僕だ』



少年はそう言うとポケットからこれまたSF映画で見るようなスイッチを入れるとビームが出てサーベルのようになる武器を取り出す



(この子達、一体何者だ?)



アンドロイドだけでもこの時代の技術では到底遠く及ばないのにビームサーベルやレーザービームまでなんてどう考えてもおかしいと谷間良は感じた



『良かった、無事ね』


笑顔で近づいてくる女の子



その子の髪は透き通るように綺麗な黒髪でいて顔も凄く整っていて可愛らしさを感じられた



(多分世の男共大抵が、守ってやりたいって思うんだろうな…って今はそれどころじゃない)


谷間良は心の中で素直な感想を述べてから冷静になる



『君達は一体…?それにあのアンドロイドに君達が現れた竜巻はなんだ?』


谷間良は思い付く疑問を次々に並べ立て質問する



『…ごめんなさい、今は説明してる暇がない_けど、これだけは言えるわ…私達は谷間良、、叔父さんの味方よ』


笑顔で答える少女に谷間良は困惑する



『…お、叔父さんって…君は、一体?』



その時、アンドロイドと対峙していた少年が叫ぶ



『おい、由香奈(ゆかな)っ一人じゃ無理だ…お前も加勢しろっ‼︎』



『分かった、今加勢するっ‼︎』


少女は銃を手に持ちアンドロイドの元に駆け出す



谷間良は、由香奈と名乗る少女の走る姿を眺める



(あの子、俺の名前を知っていた…それに)



‘‘叔父さん’’



(俺の事をそう呼んでいた…何者なんだ…彼女達は?)



◆◆◆◆◆◆キンキンキン…ピューーッ◆◆◆◆◆◆


少年が暫くアンドロイドと斬り合って鍔迫りの状態に持ち込み勢い良く後方に飛んで離れたその絶妙なタイミングで少女のレーザービームが放たれる…見事なコンビネーションだった



『っ…期待損傷度92パーセント、戦闘の続行、無理と判断』



その刹那…



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ドカーン◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そのアンドロイドは爆発した


だが、流れが不自然だった…


(あのアンドロイド、逃げるつもりのように見えた)



状況を確認して戦闘続行は無理と判断しておいて態々自爆する



そんな風にプログラムでもされていたと言うのだろうか?



『やれやれ、機体番号X-57君は使えないな』と


竜巻から一人の男の声が響く



またしても谷間良は驚く…何故なら竜巻から姿を現したのは



『俺が思ったより、早かったな』と不敵に笑ったソイツは俺と同じ姿声をしていたのだから

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