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世界でただ一人銃を扱える者(仮)  作者: おひるねずみ
第1章 旅の始まり
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第十三弾 夢の素材

「あ~~、腕が痺れる。このまま続けたら、明日には筋肉痛になるかもしれないな」

「そうだな、その細腕じゃ、ここの仕事は務まらないぜ?」


 俺の独り言に反応した声の方に振り向くと、そこには腕を組みながら、白い歯を煌めかしたゴザさんがいた。

 どうやら、俺の採掘作業を陰ながら覗いていたらしい。

 得体のしれない人物に対して当然の処置だろう。


「なあキッド。さっきから観察していたが、何故、お前の周りには鉱石らしき物が、ひとつも落ちていないんだ? どう見積もっても、岩盤の掘った量の物量と足元に転がっている屑石の量が合わない……」


 疑惑の視線が俺に突き刺さり、気まずい雰囲気が漂う。

 その時、頭上から微量の石が「パラパラ」と、肩に落ちて来た。

 何だと思い頭上を見上げると、二十センチ程のコウモリが岩盤をおやつ感覚で食べているではないか! 信じられない光景を目の当たりにし、しゃがみながらゴザさんの傍に寄る。


「ゴザさん! 何なんですか! あれは!」


 小声で話す俺に、呆けているゴザさん。

 詳しい情報を聞くと、あのコウモリは人を襲わず、岩石を主食にしているらしい。


 ターゲットして調べてみると【名前:ロディーナバット。別名、なまけ蝙蝠こうもり。岩、鉱石類が大好物。生息地、鉱石が分布している場所】と、表示され、ゴザさんの説明通りの情報だった。


「コイツは、人懐っこくてな。時々、俺らの肩に止まって休む時もある、可愛い奴さ。危害さえ加えなけらば襲ってこないから、そんなにビクビクしなくても大丈夫だぞ?」


 ロディーナバットはゴザさんの肩に降りたち、二本足を固定させ、目を瞑っている。

 初見で見た時は驚いたが、改めて目をやるとナマケモノそっくりの顔をしており、愛着が沸きそうになった。


(ん? こいつって……)

「ゴザさん。こいつ、もしかして……寝てます?」

「ああ、食事の後は俺達の誰かの肩に止まって、寝る癖が出来ちまってな。今じゃ、ご覧のありさまだ! この状態に陥ったら仕事ができん! まあ、癒されるから構わんがな」


 豪快に笑い飛ばし、子供を見守るような眼差しをロディーナバット向ける。

 俺の中で、このコウモリは鉱夫達のペットと認識した。


 ゴザさんと会話している間に体力が戻って来たので、採掘作業を再開。

 真横で俺の作業を眺めていている、ゴザさん。次第に俺の力の一端に気付き、目を白黒させている。

 「ありねぇ……ハハッ……夢だ、これは夢なんだ」と、現実を受け入れられずにいた。

 

 そんなゴザさんをわき目に、俺はつるはしを肩の上にあげ、目標地点に渾身の力を入れて振り下ろす! この地味な作業、想像以上に体力を使う。

 一分間に十二回ドロップする事から、一秒に一回振り下ろしている事になる。

 一時間で三千六百回、振り下ろす計算だ……疲れてペースダウンをしなければの話だが。

 俺は一心不乱に採掘作業をし、体力が切れて来た所で本日二回目の休憩に入る。


 息を切らしながらドロップした鉱石を見てみると、自身の眼を疑うような、凄まじい数になっていた。


「ハアッ!?」

「な、なんだ! どうしたキッド!? 顔色が優れないが大丈夫か!?」


 俺よりも、ゴザさんの方が表情が優れない気がする。

 オドオドしていて、テンパリ具合が半端ない。 


「大丈夫です。休憩すれば元に戻りますから」

「そうか? 何かあったら、俺達に言うんだぞ?」


 ロディーナバットを肩に乗せたゴザさんが、俺に気を遣って声を掛けて来るが、全く頭に入らない。

 これは、どう考えてもおかしい。

 ドロップした鉱石は「銅鉱石が約四百個」「錫石すずいしが五十個」「鉄鉱石が約千個」「コークスが約三百個」「石灰石せっかいせき約二百個」「ステイニウム九十個」その他、鉱石、宝石関係がetcエクセトラ

 約一時間ほどで、この物量。

 何か隠された能力かパラメーターがあるのか、勘ぐってしまう。

 スキルの説明文を読んでも回答が出そうにないので、聞いた事のない、黒色の未知の金属を調べる事にした。


 【名前:ステイニウム。貴方が作製する銃の万能素材の元。クロモリより耐久、加熱性に優れており、これが無いと始まらない】

 と、言う事は、銃の材料であるクロームモリブデン鋼を使用しなくても銃が作成できるのだろうか? このクロームモリブデン鋼(通称クロモリ)は、銃に無くてはならない材料で、これ無しでは銃は作れない。

 ステイニウムを応用して銃を製作できるなら、画期的な事になる。


 取りあえず俺は、三種類のリボルバーの中からひとつを選び、試しに作成して見ることにした。


 選んだのは、この中で一番知名度が高い、リボルバーのロールス・ロイスと謳われる『鍛冶適正レベル二十三。コルトパイソン』だ。

 装弾数は六発なのだが、その分、威力が高い。

 だが数多く作成すれば、リロードの問題が解決されるはずだ。

 それに、夢の二丁拳銃で戦闘する事も可能になる! さっそく材料を見てみると「ステイニウム合金」四本と表示されていた。

 更に調べを進めると、『錬金、鍛冶適正レベル二十五。ステイニウム合金』と書いてあり、適正レベルより十以上離れている現実を知る。

 俺の見立てでは、適正レベルで九割が青色。そこから適正より、ひとつ下がる度に一割ずつ赤色に浸食される。

 つまり、現状での製作は無謀と言えた。


(それなら鉱石をインゴットに変化させて、少しレベルを上げてから考えよう)


 そう決心し、生産祭りの幕が開ける。

 まず、銅鉱石百五十個と錫石すずいし五十個を使用し『鍛冶適正レベル六。ブロンズインゴット』を五十本作成し、残りの銅鉱石を使い、銅のインゴットを百本作る。

 次に、鉄鉱石三百個を使用して『鍛冶適正レベル十五。アイアンインゴット』を百本作成。

 最後に、鉄鉱石三個、コークス一個、石灰石一個の割合で『鍛冶適正レベル二十。スチールインゴット』を二百本作り終えた。

 この作業により、鍛冶スキルが十三から一気に二十七にレベルアップし、銃製作の準備が整う。


 俺は想察した以上の結果に満足しながら、ステイニウムを十二個使用して「ステイニウム合金」を四本作り、初の銃製作を開始。

 そして念願の新武器、コルトパイソンを手に入れた。

 これにより、クロモリを運用しなくても、銃が作れる事が実証された訳だ。

 早速、試射したくなり、ゴザさんにお礼を言って、ブルス採掘場を離れた。

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