Sランク試験について
あれからどれだけの時間が経ったのだろう。
ということで、申し訳ない、久しぶりの更新です!
話を忘れている方、キャラクターを忘れている方がほとんどだと思います。
キャラクター紹介の部分を参考にして貰えたらと思います。
「頼んだぞ、ライム、カリン」
『……はい』
『任せてください、ご主人様』
試合開始と共に、俺はライムとカリンを召喚する。
相手のカインドは世界に四人しかいないSランクの1人らしいし、手加減なんてしていられない。
「へえ、珍しい魔物を召喚するんだね。
2匹とも見たことがないな」
「そりゃあな」
スライムキングもフェンリルも伝説上の生き物らしいからな。
「出す魔物は2匹でいいのかい?」
「それはこいつらと戦ってから言うセリフだろ。
あんまり舐めてたら痛い目にあうぞ?」
「あはは、それもそうだね。
それじゃ、早速」
その瞬間、カインドの体が白く光り輝く。
『ライム、攻撃されたらまずは分裂だ。
あれは多分身体強化の類のはずだから、かなりスピードも力も上がってるはず。
カリンは気配察知で急襲に供えてくれ』
『……はい』
『了解しました』
俺がそう念を出した直後。
「ぼうっとしてていいのかな?」
カインドが俺の目の前まで迫ってきていた。
魔物と戦うより魔物使いを倒した方が手っ取り早いという判断だろう。
確かにその考えは正しい。
相手が俺でなければな。
「よっと」
俺はその奇襲を身を翻して回避、その回転を利用して蹴りを入れる。
だが、カインドはそれを見て直ぐに後ろに飛び退いた。
凄い反射神経である。
「驚いたな。
ヨエナ君、魔物使いじゃなかったのかい?」
「魔物使いであってるよ。
それより、ぼうっとしてていいのか?」
俺はさっきカインドに言われた言葉をそっくりそのまま返す。
右方向からはカリン、左方向からはライム。
それぞれが、各自の判断でカインドの元に向かっていた。
「おっと、いつの間に命令を出したのか」
カインドは驚きながらも、カリンの攻撃を片手で受け止め、ライムの攻撃をひらりと躱す。
そして次いで反撃をするが、ライムはその瞬間に分裂。
体がどんどん増加していく。
その数10体。
スライムキングになってから進化した力だ。
「いやいや知らない知らないなにこれ!」
圧倒的初見殺しに、流石のカインドも戸惑いを隠しきれない。
それでも分裂した攻撃をそれぞれ対応しているのは素晴らしいの一言につきるだろう。
『ライム、逃げ道を無くせ』
『……はい』
俺はライムに、増加を活かしてカインドの移動スペースを無くすように命令する。
カインドの強みはその俊敏性と反射速度だ。
まずはそのひとつを奪わせてもらう。
『カリンは奇襲だ。
折角フェンリルになったんだ、それを存分に活かしてくれ』
『了解しました』
そう言うと、カリンは空中からカインドの方へ突撃する。
これがフェンリルになって得た力、空中跳躍である。
勿論これも初見殺し。
カインドは突然現れたカリンの姿に対応しきれない。
「ちょっ、どうなってんの!?
邪魔だって!」
後退しながら一旦体制を立て直そうとするも、ライムが足元を覆い尽くしているせいで思うように身動きが取れない。
咄嗟にその場でカリンの攻撃を受け止めるも、威力を抑えきれずにカインドは吹き飛ばされてしまう。
「いいな。これがフェンリルとスライムキングの能力か」
明らかに戦闘における柔軟性と対応力が違う。
ステータスの変化はもちろんだが、できるようになった事が多すぎる。
その事実に俺は無意識のうちに口角を上げていたことに気づいた。
一方で、吹き飛ばされたカインドは「いたたたた」と言いながら、ムクリと起きあがる。
その言葉とは裏腹に、ほとんどダメージを負っていないように見える。
現状、カインドは魔法を身体強化でしか使用していない。
魔法を他に使えないのか、使っていないのかは定かではないが、とりあえず言えることはひとつ。
カインドは身体能力の化け物だ。
俺の蹴りを軽く受け止め、フェンリルであるカリンとスライムキングであるライムの攻撃でさえほとんどダメージを与えられていない。
防御力が異常なのである。
「いやー、ヨエナ君、強いね」
「カインドもな。
Sランクっていうのはみんなそんなもんなのか?」
「うーん、みんな得意分野が違うから何とも言えないけど、総じてこれくらいじゃないかな?」
つまり、カインドクラスの奴がほかに少なくとも三人はいるということだ。
俺は異世界人だし、俺の支給品である本と、舞の指輪のおかげでこの力を得ているが、自分の力でここまでの領域に達しているカインドに素直に尊敬を覚える。
だが、負けられない。
確かにこの力は借り物かもしれないが、元の世界に帰るために必要な力だ。
そして何より舞を守るために。
「悪いが、勝たせてもらうぞ」
来い、アマルーナ。
出し惜しみはなしで行こう。
『妾の出番かの?』
「あぁ、相手はかなり防御力が高い相手だ。
だが、いけるな?」
『ふっ、誰に言っておるのじゃ。
妾は黒竜アマルーナ。
攻撃力は誰にも負けぬわ!』
そう豪語する幼女。
アマルーナのまま呼ぶと幼女のまま召喚されるのだ。
そのためか、カインドはアマルーナの状態が分からないままだ。
「ヨ、ヨエナ君?
その女の子は誰だい?」
「ああ、こいつは俺の眷属だ」
「女の子が眷属!?」
あ、なんかよからぬ誤解を招いてるかもしれない。
「アマルーナ、いつもの姿にならないのか?」
『うむ、この姿のままでも存分に戦えることが最近わかったからの。
試しに腕試しをさせてもらうのじゃ』
そう意気込むアマルーナだが、やはり誤解が加速している気がする。
「ちょっ、待ってよ!
女の子を殴るなんて出来ないから!」
「……と言っているが?」
「うーむ、仕方ないのう」
カインドがどうしても嫌がるので、アマルーナは渋々幼女のまま戦うことを諦める。
確かに俺も戦う相手が幼女は嫌だ。
一度アマルーナを応召する。
そして。
『『召喚』"黒竜アマルーナ"』
俺は黒竜の状態でアマルーナを召喚した。
膨れ上がる殺気。
おぞましい音を立てながらゲートが現れ、中から黒竜が登場する。
「おいおい、嘘でしょ?ヨエナ君」
「悪いが、マジだ」
カインドの目の前に現れたのは、竜種の中でも最上位。
黒竜の名を持つ者。
その強大な力は、潜在的に周囲に恐怖を与える。
中でも、さっきまであれだけ騒ぎ立てていた実況も、唖然としたように黙ってしまっている。
「さあ、第二回戦を始めようか」
そう、ニヤリと笑う俺を見てカインドも覚悟を決めたのか。
キリッとした表情でこう宣言するのであった。
「参りました!!!!!!!」




