変な奴らに絡まれた件について。
ギルド長の口から吐き出された衝撃の事実。
この筋肉ムキムキのいかついおっさんが、ジェストに料理を教えた張本人だと!?
「おい、お前、本当にタウリなのか?」
「ん?ああ、それがどうかしたか?」
「いや、んん?」
日本食のメニューを教えたって事は、このおっさんが一代前の転移者ってことだよな?
まさか、0からあれだけの日本食を思いつけるとは思わないし…。
だとしたら、こんなムキムキなのはおかしいだろ、やっぱり。
「お前、本当に本当に本当にタウリなのか?」
「なんだこのデジャヴ…。
だから、そうだって言ってんだろうが」
だよな…。
まさか、本当にメニューを0から考えたってのか?
それともここに来てから修行してこんなに鍛えたってことか?
…………いや、とりあえずその事は後で本人に聞けばいいだけだ。
考えていても答えは出ないし、先に今のタウリの発言について聞いておこう。
「俺達が受けないといけない試験ってのはなんなんだ?
試合とかなら、別に今からでもいいんだが」
その俺の問いに、タウリは少し考えた後、指を2本立てて言った。
「こっちにも色々と準備ってもんがあんだよ。
だから、2日後に、またここに来い」
「……わかった」
色々と聞きたいことはあったものの、質問は後回しにして俺達はギルドを後にした。
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「優斗君、タウリさんに日本人かどうか聞かなくても良かったの?」
何も質問せずにギルドを出てしまった俺に疑問を持ったのか、舞が俺にそう聞いてくる。
聞かれるだろうと予想していたので、俺は特に戸惑うことなく返事を返した。
「あの場面で聞いたところで、重要なことは聞けそうになかったからな。
タウリからまだSランクと認められていない以上、二日後まで待つのが得策だ」
何故二日後という中途半端な日付にしたのかはわからないが、Sランク試験の準備という以上、それ相応の時間がかかるものなのだろう。
『ふーん、何だかよくわからないけど、それで、これからどうするのよ』
舞の右肩に座ってくつろいでいるリースが、俺の言葉をどうでもよさげに聞き流しつつ、そう聞いてくる。
まあ確かに、この世界の人(精霊?)にとっては、タウリがどちらの世界の住人だろうと関係ないだろう。
よく見ればティフィアやハルノも暇そうな表情をしているし、この話は一旦やめるとするか。
「今日はとりあえず宿を取って、必需品を揃えよう。
その後は各自自由行動ってことで」
「はーい。
じゃあ、私はこの国の食料品を買い漁ろっと」
「わ、私は、眷属さんの食べ物を探します」
「私は優斗君についていくね!」
『舞についていくわ!』
上からハルノ、ティフィア、舞、リースの順である。
それぞれ、初めての地への好奇心が押し寄せているようだ。
かくいう俺も楽しみにしているのだが。
「了解、じゃあまずは宿を取りに行くか」
俺はそう言って、宿を探しに歩き始めた。
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さて、無事に宿を取り終わり、舞と街をぶらぶらしていた途中である。
ん?そんなことより部屋割りはどうしたんだ、だって?
まあ、そこはティフィアとハルノ、俺と舞で二人部屋を二つ………ってその話はどうでもいいんだ。
問題なのは今のこの状況だ。
「おうおう、可愛い姉ちゃん連れてんじゃねえか、お?」
「げへへへ、置いてけよ、げへへ」
なんか、変なのに絡まれたんだけど。
お?お?言いまくるごついガタイのおっさんと、げへへへと気持ちの悪い笑みを浮かべるやせ細った眼鏡をかけた男。
その二人が、舞と一緒に歩く俺の道を遮って邪魔してきた。
……なんか、イノマの時のことを思い出すな。
「無視してんじゃねえぞ?お?」
「げへへへへへ」
「優斗君……なんか、怖いんだけど」
『こんなやつら、さっさとやっちゃいなさいよ!』
「いや、俺もそうしたいのは山々なんだが」
割と多くの人にこの状況が見られてるからな。
無駄にこの二人の声が大きいせいで注目されてしまったようだ。
ここで争いとか起こしたら、問題にならないか不安だ。
できれば穏便に解決したいとこ
「だから止まれってウゴホォッ」
「げへヘブェ」
殴った。
気絶させるくらいの威力で、腹に一発ずつだ。
「いや、仕方ないじゃないか。
だってあいつら舞の手を掴もうとしやがったんだぞ?
ったく、誰の許可を得てそんなことを」
「えっと、優斗君?
誰に話しかけてるの?」
おっと、意識が変な方向にいってしまっていた。
まあ、やってしまったものは仕方が無い。
これは不可抗力だ、そうに決まっている。
「よし、じゃあ行くか」
「え!?
う、うん、それはいいけど、この人達放っておいていいの?」
『いいのよ、こんなヤツら!
それより、早く行きましょ!』
「リースの言う通りだぞ、舞」
そう言って、舞の手を握って歩き出す。
最初は戸惑っていた舞だったが、顔を少し赤らめて俺の横に並ぶ。
そして、俺達は周りからのそこそこの視線を浴びながら、街の方へと歩き出していった。




