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職業リア充で異世界無双。  作者: すみを。
第1章:カラマ王国編
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旅立ちまでについて。③

はぁはぁ、と、大きな荷物を抱えながら息を切らして俺の方を見つめるのは、二週間前に俺の弟子になったティフィアだった。


その様子からは相当急いでいたことが感じられ、汗も滝のように流している。


「どうしたんだ?ティフィア」


俺は、意外と動揺していない声でティフィアに聞く。


どうやら、心の中では次に来るのがティフィアだと分かっていたみたいだ。


それは舞も同じのようで、黙って俺に任せてくれている。


「その、あの、お、お願いがあるんです!」


俺の言葉に、ティフィアがようやくといった感じでたどたどしく返事をする。


俺はそのお願いが何かをわかっていたが、ティフィアが自分から言うのを待つことにした。


「…………………そ、その」


長い沈黙のあと、ティフィアが口を開く。


「わ、私も、旅についていっても、いいですか?」


その願いは、俺の予想通りだった為、俺は間髪入れずにティフィアに聞く。


「どうしてついてきたいんだ?」


「……その、弟を、ペリトを探したいんです。

私はそのために今日まで頑張ってきましたが、それでも、まだ誰かを守れるくらいには強くなれていません。

だから、お師匠様の旅についていって、強くなって、ペリトを探したいんです!」


そのティフィアの表情には、強い決心が表れていた。


確かに、ティフィアの修行の熱心さには、俺も目を見張るものがあった。


俺に敵わないのは特殊ジョブ上仕方が無いとはいえ、魔物使いの中では相当な上位に来ているはずだ。


それでも、ティフィアの言う通り、まだ足りないのだ。


「危険が伴うぞ?それでもいいのか?」


「はい!ペリトも、命を懸けて私を守ってくれたんです!だから、私もそれくらいはしないと、ペリトに顔向けできません!」


即答だった。


ティフィアの表情には、その覚悟が表れていた。


ハルノと同じように、ここまで考えることが出来ているのなら、旅に連れて行っても問題はないだろう。


「…………ティフィアの師匠は、まだ続行か」


俺がそう苦笑気味に漏らすと、ティフィアは顔をみるみる輝かせていく。


「そ、それじゃあ!」


「ああ。ティフィアもついてきたらいい」


「あ、ありがとうございます!」


俺は結局、ティフィアも旅の仲間に加えることにした。


別に、俺が甘いというわけじゃない。


自分で何かを成し遂げようとしている人を支えるのは当たり前のことだからだ。


だから、どうかその生暖かい目で俺を見るのはやめてください舞さん。


「よ、よし、それじゃあ、もう出発するぞ」


俺はその視線から逃れるように話を変えて、みんなに向かって言う。


「うん!ようやく二つ目の街だね!ユウト君!」


舞が俺に、色々な感情の篭った言葉で言う。


「道案内は、私に任せて!ユウト!」


ハルノが自信満々な口調で、笑みを浮かべてそう叫ぶ。


「よ、よろしくお願いします!」


ティフィアが、たどたどしい口調の中に確かに決意を感じさせる声でそう言う。


『私のことも忘れないでよね!』


リースが、少し怒りながらも、俺達の旅を祝福するかのようにそう言う。


「親方!カラマ王国のことは任せてくだせい!」

「おでたち、守る!」


ロプスとゴルドラが、俺と離れることを寂しがりながらも、はっきりとした口調でそう叫んでくれる。


他にも、今は出てきていないライムやカリン、アマルーナも、俺達の旅を喜んでくれているように感じた。


だから、俺はその想いに黙って応える。



俺達は、国民達の歓声が鳴り響く中、カラマ王国を後にした。





「悲しくなるな」


「そうだな、でも、英雄様は、俺達のことを忘れやしない」


「ああ、そのとおりだ!」


優斗達のいなくなった王国内で、優斗達を見送った国民達が、口々に言い合う。


その全てが、優斗との別れを惜しむもの、優斗の偉功を称えるものだった。


そして全員が共通している気持ちが一つ。



『みんなで何か恩返しをしよう』



本当は何かをサプライズとして贈るつもりだったのだが、並大抵のものでは優斗は喜んでくれないだろう。


いや、気持ちだけで嬉しいと言ってくれるとは思うが、それでは弱いのだ。


だから、国民達は自分らが英雄と呼ぶ男をどうすれば驚かし、喜ばすことが出来るかを考えた。


「よし!それじゃあ、始めるぞ!」


「ああ!男共、集まれ!」


「おいらにも手伝わせてくれい!」


「おでも!おでも!」


「はい!英雄様のご眷属様には、力仕事をお願いしてもいいですか!?」


「わかったぜい!」


「わがっだ!」


国中の男達が、優斗が見えなくなった途端に動き出す。


自分達の感動が、興奮が、感謝が薄れてしまう前に。


それを形として仕上げる為に。


「女共も直ぐに用意しろ!」


「分かってるさ!それくらい!」


「そうよ!感謝してるのは、貴方達だけじゃないの!」


そして、女達もまた、それぞれの感謝の気持ちを表すために、作業に移りだした。


それは即ち


『よっしゃあ!英雄様の像を建てるぞぉ!』


『よし!英雄様達のセイフクを作るわよ!』


男は優斗の像を作るために。


女は優斗達が着ていた服を記念品とするために。


その表情を笑顔で埋めながら。


国全体が動き出す。



ここはカラマ王国。


後に、『英雄の国』と呼ばれるようになる王国の名である。



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