感謝について。
リア充爆発しろ
その後、無事勲章授与式は終了した。
『カラマ王国の英雄』という称号が書かれたカードの様なものを貰って勲章だと言われた時は、「こんなんどこで見せれるんだよ!」と心の中で悶え苦しんだものだ。
とにかく、前代未聞の国政一新の件は、今頃は他の国々にも知れ渡っていることだろう。
つまり、俺達の事も知る人もかなり増えるということだ。
そしてその分、周りとのコネが出来やすくなり、今後の旅もやりやすくなることだろう。
「これからどうする?」
みんなと解散して街をブラブラと歩いている最中、右で一緒に手を繋いで歩く舞が聞いてくる。
「んー、そうだな。なんか精神的に疲れたし、ちょっと宿で休むか」
俺がそう提案すると、舞は「うん」と頷き、俺の方を見て微笑んだ。
「ん?なんだ?顔になにか付いてるか?」
突然微笑んだ理由が分からなかった俺は、顔をペタペタと触りながらそう聞く。
すると、舞はふふっと笑いながら横に首を降った。
「じゃあどうしたんだ?」
「ううん。
ただ、優斗君、何か前より楽しそうだなって」
「そうかな………いや、そうかもな」
舞に言われて不思議と納得する。
まだ高校にいた頃は、友達と言えるのは一樹だけだったし、舞ともそこまで距離は近くなかった。
それに、その頃と違って、仲間(眷属)も出来たし、色んな人とも友達になれた。
まあ、少し中二病が再発してる感はあるが、それをふまえても、俺は今とても充実してると言えるだろう。
「それも、舞のお陰かもしれないな」
「えっ、と、突然どうしたの!?」
「いや、もし俺が追い出された時に舞が付いてきてくれなきゃ、俺は多分ここまで楽しめてないと思ってな」
トーナメントには出てないだろうし、アマルーナにも出会っていない。
勿論ティフィアやイノマ達にも会うことは無かっただろう。
そういえば、ちゃんと舞に感謝していなかったな。
「いつもありがとな、舞」
「そ、そんな急に言われたら恥ずかしいよ……」
俺が改めてお礼を言うと、舞は顔を真っ赤に染めて俯く。
「で、でも、私も優斗君のお陰で、今、幸せだよ?」
そして上目遣いでそう言ってきた。
俺はつい襲いたくなる衝動に襲われたが、それをなんとか我慢して告げる。
「ああ、俺も幸せだよ」
その夜、いつもより深く愛し合ったことは仕方の無いことだと言えるだろう。
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「マジか………」
翌朝、目が覚めて着替えた俺は、何となくステータスを確認して呆然としていた。
「どうしたの?」
「あ、ああ、舞も多分変化してるはずだから、一度ステータスを見てみてくれ」
「う、うん、わかった」
最初は怪訝な顔をしていた舞だったが、すぐにそれは驚きに染まり、徐々に顔を綻ばしていった。
「これって、やっぱり昨日のことかな?」
「ああ、多分そうだろうな。
あれで丁度好感度が一定以上に溜まった、ってことなのかもしれないな」
俺はそう言いながらもう一度ステータスを確認する。
『ステータス』
______________
|体力値: SS[↑4ランク]
|攻撃値: SS+[↑4ランク]
|防御値: SS [↑4ランク]
|敏捷値: SS+[↑4ランク]
|魔力値: A [↑4ランク]
|平均値: SS[↑4ランク]
|〜〜〜〜〜〜 〜〜〜~~~~~
|眷属にした魔物
|・スライムキング 〈 Sランク 〉“ライム”
|・フェンリル〈Sランク〉 “カリン”
|・黒竜アマルーナ〈Sランク〉“アマルーナ”
|・サイクロプス〈Aランク〉“ロプス”
|・金虎〈Bランク〉“ゴルドラ”
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……そう、ステータスが上がっているのだ。
おそらく、俺が昨日改めて自分の気持ちを再確認したのが原因だとは思うが……これで更にチートになってしまった。
まあ、アマルーナを進化させるのにSSランクは必要だから良いのはいいんだけど、突然過ぎて少し驚いてしまった。
「ちなみに、舞のステータスはどんな感じだ?」
「私は全部4ランク上がってたよ」
「……やっぱり俺と同じか」
自分で言うのもなんだが、バカップルぶりに少し呆れてしまう。
同タイミングで同じ分ステータスが上がるとか、何か変な繋がり的なものを考えてしまった。
「まあ、とりあえずそれは置いておこう。
これからまた上がっていくだろうし、深く考えるだけ時間の無駄だろうしな」
「……これから、また上がる……」
俺のセリフに舞が顔を赤くして俯く。
……って、俺も今自分の言った言葉の意味に気づいた。
ステータスが上がるってことは親密度が上がるっていうことだから…………。
………俺の顔も、なんだか急に熱くなってきた。
とりあえず、この件は一旦考えないようにしよう!
こうして俺達は少し微妙な空気になったまま、食堂へと向かうのだった。
△
▽
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「うふふ、もう少しよ、もう少しで『絶望』も『遺伝子』も集まる……。
その時になったら………」
ジュルリ、と。
神、マホリカは誰もが引き寄せられるであろう妖艶な表情を更に恍惚に染めながら、舌舐りをする。
そこはミカラム大陸ではない遠い大陸。
いや、地上には存在しない、所謂、神界。
その塔の一柱の中で、彼女はあるものを眺めながらそう遠くない未来を想像する。
「そうなったら……ふふ、あの男も私に従うはずよ…」
そして、いかにも不気味で歪なそれを見ながら、マホリカは自分と同じ神である、ある男の事を想像して妄想を膨らましていた。
その妄想が現実となるまで後数ヶ月はかかるだろう。
でも、数千年も待ち続けた彼女にとって、その時間は些細なものだった。
だから、彼女はとても機嫌が良かった。
それこそ、自分の幹部が独断で行動し失敗しても許せるほどには。
そして彼女は気づいていなかった。
その幹部が失敗して尾を踏んだのは、とんでもない猛獣のものだったということに。




