ステータスについて。
本日2話目です!
俺は驚き、というよりかは悲しみでしばらく呆けていた。
想定はしていたが、実際にそうだと、思ったよりショックを受けるものだな。
なぜ俺がここまで落ち込んでいるかと言うと……………
『魔物使い』が想像以上に弱かったのだ。
まさか、レアジョブどころの話じゃなかったとは……。
「えっと、芝崎君…大丈夫?」
俺の様子を見た川口が、心配そうに俺の顔を覗きこんでくる。
俺はショックを表に出さないように努めながら、話を逸らそうとする。
「だ、大丈夫大丈夫!
よし、じゃあ次は『特殊ジョブ』に行くか!」
「え?まだ『魔物使い』の詳細を聞いてないけど…」
……察して欲しかった。
感情を表に出さなかったのが裏目に出たらしい。
俺はあまり言いたくなかったが、渋々口を開いた。
「……10人に1人は持っていると言われている、一般的なジョブ。自分と同ランクの魔物までなら、戦って勝つことによって眷属にすることができるが、所有者本人が戦わないといけないため、眷属にできる魔物はかなり限られてくる。
よって、ジョブの中では『最弱』に位置づけられる」
この説明の意味が分かるだろうか。
ランクがどんな風に上がるかは分からないが、ろくな攻撃手段もない状態で魔物を倒せるはずがない。
つまり、強くなるにはステータスのランクを上げることが必要であり、ランクを上げるには魔物を倒せなければいけなく、その魔物を倒すためには強くならないといけないという完全な矛盾が発生しているのである。
しかも、なんとか倒したところで、その魔物は自分よりも弱いのだ。
それなら魔物使い本人が戦った方が断然強いだろう。
………これ、どうすればいいんだよ……。
補足に『現在、最強の魔物使いと呼ばれているイノマは、Cランクの魔物を眷属にすることに成功した』
とか書かれてるが、どうやってCランクまで上げたのか非常に気になるところである。
「とりあえず、これに関しては4番の『ステータスについて』を読まないとなんとも言えんが、……まあハズレであることには違いないだろうな」
「で、でも、まだ分からないよ!?
もしかしたら異世界人とかでそのランクっていうのが普通より高いかもしれないし!」
川口……その優しさが痛いんだ…。
しかも今盛大なフラグ立てちゃったし。
「……ああ、そうかもしれないな。
んじゃ、『特殊ジョブ』に行くぞ?」
「う、うん…」
今度は察してくれたようで、川口も黙って頷く。
「『特殊ジョブ』は、様々な条件を満たした時に、突発的に発現するジョブである。まだ発見されてないものもあり、いつ発現するかは未知数である。だってさ。」
「その『特殊ジョブ』にはどんなのがあるの?」
「んっと、『勇者』とか『英雄』とかだな。
ほとんどが『???』で表記されてるからまだ発見されてないのがほとんどなんだろう」
『勇者』って、周りが勝手に言ってるだけじゃなくて、本当にそういうジョブなんだな。
何が発現の条件なんだろうか。
まあ、それは今の段階では分からないか。
「職業についてはそれだけだな。
次は4番の『ステータスについて』だ。
んじゃ、読むぞ?」
川口が頷いたのを見て読み始める。
「『ステータス』とは、全ての生物に与えられている恩恵のことである。
体力値、攻撃値、防御値、敏捷値、魔力値が存在し、
それぞれG-ランクからS+ランクで定められている。
人族と異世界人のステータスは基本的にオールFであり、固有ジョブによって初期ステータスは変わってくる。
また、1つランクが上がるだけで、強さが格段に変わると言われている。
なお、ステータスは、『ステータス』と念じるだけで確認が可能である。」
やっぱり、人族と異世界人はステータスが変わらないみたいだ。
しかもFランクって……。
なんか、段々悲しくなってきたんだが。
「……とりあえず、『ステータス』を確認してみるか」
「うん」
も、もしかしたら俺だけステータス高いかもしれないし…。
『ステータス』
_______
|体力値: E |
|攻撃値: E |
|防御値: E |
|敏捷値: D- |
|魔力値: E |
|平均値: E |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おし!なんか知らないけど普通より高い!
と思ったけど、これよく考えたらこの本で1ランク上がってるんだよな。
じゃあ敏捷値以外全て平均と。
ははは、何故敏捷値だけ高いのかはわからないけど、
そんな上手く物事は進まないよな。
「川口はどうだった?」
「えっと、私は魔力値がE-で後は全部Fかな。
芝崎君は?」
「俺はこの本の効果を入れて、敏捷値がD-で後はEだ」
川口は魔力値が他の人より少し高いみたいだ。
でも精霊の力がなかったら魔法使えないんだよな。
「とりあえず、現時点で俺らが出来ることと言えば、
自分のできる範囲で鍛えることくらいだな。
まあ、それでステータスが上がるかはわからないけど」
「うん、分かった!」
まあ、そんないきなりチート!ってわけにもいかないよな。
それにしても、悲しすぎる気はするが。
「それじゃ、流石に疲れたし、一旦終わるか。
なんかあいつらも魔法を使いすぎたのかグターってなってるし」
「そうだね、これからどうするのか決めないといけないしね……」
言いながらまた不安になってきたのか、段々と言葉が尻つぼみになっていく川口。
まあ、それも無理はないと思う。
俺も、異世界に転移した時の行動を常日頃から妄想してなかったら、今頃みんなと同じ状態になってたと思うからだ。
そう考えると、川口は本当に強いと思う。
だから、今は男として気の利く言葉でも掛けよう。
「大丈夫だ。帰れる方法もあるみたいだし、みんなで協力したらきっと帰れるはずだ」
「……うん、そうだよね。ありがとう!
芝崎君、やっぱり優しいね」
その言葉と笑顔に、思わず顔が赤くなる。
幸か不幸かそのことに気づいていない川口は、さっきとはうってかわった自信に満ちた表情を浮かべた。
……まあ、俺なんかの言葉で元気になってもらえるのなら、俺としても嬉しいが。
「よし、じゃあまずはこの森を抜けないといけないね!芝崎君、三山君達のところへ行こ!」
「あ、ああ」
そう言うと川口は先にあいつらの方へと走っていった。
………あれ?
俺よく考えたらさっきまで川口と2人で喋ってた?
……まじか。
テンション上がってて気にしてなかったけど、よく考えたらものすごく恥ずかしいセリフを言ってた気がする…。
俺はついつい中二スイッチが入ってしまったことに頭を抱えながら、川口の後を追いかけていくのだった。




