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職業リア充で異世界無双。  作者: すみを。
第1章:カラマ王国編
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戦いの終結について。

しばらくはほんわか話になります

自分の調教した魔物が黒竜によって次々と殺されていく。


どれも一段階の進化を施した、強化済みの魔物だというのにだ。


その地獄のような光景を見て、魔物を調教した張本人である男、アルナは未だに自分の目が信じられないでいた。




アルナが今いるのはカラマ王国国内、中央広場だ。


そこには、国内のほぼ全ての国民が集まっていた。


何故そんなにも多くの国民が、一同に広場へと集まっているのか。


それは、アルナがある魔法を発動しているからだ。


その魔法とは、映像投射、地球で言うところの生中継のようなものだ。


簡単に言えば、発動者本人が設置した一地点における映像を、そのまま別の場所に映し出す魔法である。


その魔法によって広間に突然映し出された戦場の光景を見るために、国中の国民が一斉に広場へと集まったというわけだ。



元々、アルナがこの魔法を使った理由は、国民を恐怖へと陥れるためだった。


そして実際に、初めはその目的を達成出来ていた。


逃げ惑い、殺されていく兵士を見て、子供は泣き喚き、大人は震え、国からも現実からも逃げ出そうとする人まで出てきた。


当然、そんな人達はアルナが軽い結界を張って逃げられないようにした。


そのせいで、逃げることも出来ないと、より国民の不安を高める結果になった。


ここまではアルナの計画通りだった。


だが、その計画はそこから狂い始めた。


またしても、あの二人の異世界人の手によって。


国民の恐怖の対象である魔物達は、あの異世界人の男と黒竜によって即座に殲滅されることとなった。


更に、今回の襲撃の要であるAランクのサイクロプスとBランクの金虎ゴルタイガーは、あの男によって眷属にされてしまった。


そして今、最後の魔物が黒竜によって灰にされた。



アルナは広場の国民を見渡す。


誰の顔からもとっくに恐怖の感情は消えており、今は黒竜と、その黒竜を従えているあの男への、尊敬と憧憬の入り交じった眼差しを向けていた。


計算外。


アルナの頭をその三文字の言葉が過ぎる。


アルナにとって、その言葉は死にも等しい言葉だった。


そんな感情を二日連続で味わってしまったアルナにはもう何かをする気力は残っておらず、アルナは自分の仕える神の元へと帰っていった。





俺がサイクロプスと金の虎を眷属にして舞達の元へと戻ると、既に全員が目を覚ましていた。


アマルーナが敢えて逃がした魔物も、イノマやカール、ティフィア達の手によって倒されたみたいだった。


ちなみに、団長以外の兵士はさっき目を覚ましたばかりらしく、未だに状況をよく把握出来ていないようだ。


『主殿、全て倒し終えたぞ』


そんなタイミンクでアマルーナが飛んで戻ってくる。


そして、当然のように兵士達がガクガクと震え始めた。


さっきの威圧を出していないとはいえ、目の前に竜がいるという現実は、やはり相当くるものがあるらしい。


俺はとりあえずアマルーナに人化するように言い、舞に向かって言った。


「舞、ただいま」


「うん、おかえり!」


舞が走って抱きついてくる。


俺はその頭を撫でながら、団長に向かってちょっとドヤ顔気味に言う。


「作戦成功したけど、何か言うことはあるか?」


ちょっといじらしい質問だとは思うが、この時俺は、団長が何か言い返してくるものだと思っていた。


だが、次の言葉に、俺どころか兵士までもが驚いた。


「………何も文句などありません。感謝の気持ちでいっぱいです」


まさかの敬語である。


戸惑う俺に、舞が説明を入れてくれた。


「団長さんはね、優斗君がアマルーナちゃんを出して戦い始めてから、ずっと優斗君のことを見てたんだ。だから、優斗君が国を守ってくれたことを知ってるんだよ」


「いや、別に俺は国を守るために戦ったわけじゃないんだけどな……」


俺がそう言うと、何故かティフィアが若干顔を赤らめたような気がしたが、まあ気のせいだろう。


「たとえそうだとしても、この国が貴方によって救われたことは変わりません。だから、今はこうさせてください」


そう言って頭を下げる団長。


年上の人に頭を下げられるなんていう経験を俺は持っていないので、どうすればいいのか戸惑ってしまう。


すると、兵士の一人が俺より戸惑った様子で団長に言った。


「だ、団長!どういうことですか!?魔物使いなんていう弱者に頭を下げるなど!」


その言葉は、今までの法律を考えれば当然の言葉と言えるだろう。


だが、今回の戦いを見て、考えを改めた団長にとっては、その言葉は看過できないものだったらしい。


すぐに顔を上げてその兵士にすごい勢いで怒鳴りだした。


「何を言っている!お前らは先程の戦いを見ていなかったのか!この方は、私達の危機に駆け付けて、私達を救ってくれた大恩人だぞ!」


「なっ…」


その言葉に戸惑う兵士達。


どうやら、俺達が戦っていた時も気絶して見ていなかったらしい。


「思えばイノマ殿の時もそうだ!一度我らを助けてくれた時、私達は魔物使いだという理由だけで彼を拒絶した!」


その言葉を聞いて俺は思わずイノマに振り返る。


すると、イノマは照れくさそうに頬をかいた。


「そんなことがあったのか?」


「………あ、ああ、前に魔物の襲撃があった時にな。殺されそうになった兵士を助けたことがあるんだよ」


「へえ」


イノマにもそういう部分があるんだな。


いや、元々根はいいやつか。


更に話を聞くと、この一件で他のジョブの人からも一目置かれる存在になったらしい。


それなのに、兵士はそれを認めようとはしなかったそうだ。


「だが、今回の件で私は心を改めた!ユウト殿や魔物使いの方々によって助けられたことを、私は王様に伝えようと思う!」


団長がそう言った瞬間、兵士達の間にどよめきが走る。


それ程までに、王様というのは恐れられている存在らしかった。


俺はとりあえず兵士のことは団長に任せて、カール達の方に目を向ける。


「みんな、手伝ってくれてありがとう」


「い、いや、俺らは何もしてねえよ」


「そ、そうですよ、ユウトさんが全部倒してくれましたし」


「それでも、こうして戦ったことに意味があるんだよ。

見てくれ、兵士達を」


そう言って兵士達の方に目を向ける。


そこには、団長によって事情を説明され、俺達の方を感謝の目で見る兵士達の姿があった。


まあ、中には納得のいかなそうな表情を浮かべているものもいるが。


「実際に、みんなは残った魔物を倒してくれた。そのおかげで、兵士達もみんなのことを恩人と感じているんだ。これが、この国を変えるきっかけになると俺は思っている」


確かに、国全体のイメージを変えることは難しいかもしれない。


だが、団長や兵士といった、力を持った人達が一斉に説得すれば、それがきっかけになるかもしれないのだ。


「なるほど、そういうことなら、私達にお任せ下さい。必ず王様や国民を説得してみせます」


「うん、僕達に任せてよ、ユウト」


団長とケイゴが力強い言葉に俺を言ってくれる。


俺はそれに頷いて、もう一度イノマ達に視線を戻した。


「だから、みんながしてくれたことは決して意味がないことなんかじゃないんだ」


「そ、そう言われると……」


「照れますね…」


みんなが一斉に恥ずかしそうに顔を赤くする。


俺はそれを見て、やっぱり平和が一番だな、と思いながら、全員で王国へと戻っていった。



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