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職業リア充で異世界無双。  作者: すみを。
第1章:カラマ王国編
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準決勝について。

フィールドを出てすぐに、俺はカールを含む本戦出場者達に詰め寄られることになった。


理由は言わずもがな、俺がワーウルフを持っていたことに対してである。


「おいユウト!お前、フィールドで言ってたことは本当か!?」


「ワーウルフを持ってるってどういうことだ!?」


「実は大きめのウルフでしたてへへ、ってわけじゃないよな!?」


フィールドを出た瞬間にこれである。


俺はめんどくさかったので適当に流すことにした。


「あー、まあ、信じたいやつは信じればいいし、信じたくなければ嘘をついたと思ってくれていい。

……それより、準決勝出場者以外はここから出ないといけないんじゃないのか?」


俺は半ば無理矢理に話を変える。


全員不満そうな顔をしていたが、とりあえずはそれぞれの結論を出したようで、順番に闘技場を出ていった。


最後まで残ったカールが俺に話しかけてくる。


「まあ、俺はユウトの事情は知らないから何とも言えないが、とりあえず、今回の試合を見るのが楽しみになったのは事実だ。

俺は観客席に行くから、イノマの鼻っぱしを折るのを見せてくれよ?」


「ああ、最初からそのつもりだと、試合の前にも言っただろう?」


「ははっ、ああ、そうだったな。あの時は冗談で言っているのかとも思ったが、本当にやっちまうかもしれねーな。

んじゃ、決勝戦を楽しみにしとくぜ」


そう言ってカールは闘技場を出ていった。


残ったのは俺とイノマとティフィアとだけだ。


受付嬢(仮)はいつの間にかいなくなっている。


イノマは相変わらず無言を貫き通しているし、ティフィアともさっきの会話から1度も話していない。


時々イノマを睨みつけていることから、やはりティフィアはイノマにある種の憎しみを抱いているのだろう。


そのまま無言の空間が数分ほど経ったところで、ようやく控え室に受付嬢(仮)が戻ってきた。


そこで説明が開始される。


「それでは今から準決勝の説明を始める。

今回は、ユウト選手が不戦勝という結果につき、イノマ選手とティフィア選手の戦闘のみを行うことになった」


3人しかいないせいか、先っきよりも声が小さい受付嬢(仮)。


どうやら三つ巴の戦いにはせずに、普通に行うようだ。


「準決勝のルールは1回戦と同じく、一体の魔物を使用して行う。ただし、制限時間は設けないものとする。

それでは、イノマ選手とティフィア選手は今より5分後に戦闘開始だ。準備をしておけ」


そこまで言うと、受付嬢(仮)は再び控え室から出ていってしまった。


2度は言わないし質問も受け付けないということだろう。


受付嬢(仮)が出ていってしまってから、再び室内を静寂が襲う。


だが、さっきまでと違うのは、イノマとティフィアに程よい緊張感が生まれたことだ。


イノマも1回戦の様子を見て、ティフィアを強敵だと認識したのだろう。


そして3分ほど経ち、イノマとティフィアがフィールドに入っていく。


俺はその隙に本でティフィアの魔物を調べておくことにした。


あの猪の名前は知らないが、なんとこの本、名前意外にも検索機能はあるのだ。


俺は《見た目検索》の項目から、猪を選択する。


その欄からティフィアの魔物に一番近い魔物の名前を調べて、名前検索で調べるという方法だ。


めんどくささはあるが、それで魔物を確認できるのなら安いものだろう。


そこで調べた結果、以下のことが分かった。


〈C-ランク〉

赤猪レッドエーバー・・・能力:危機を感じると体に熱を帯びる。

進化・・・〈Sランク〉真紅猪シャルールエーバー


あの猪はどうやらC-の魔物だったらしく、ティフィアはやはりかなりの実力者だったようだ。


それに、この能力。

熊鰻ブラックベアーにはかなり相性のいい魔物だと思える。


もしかしたらイノマに勝つこともあり得るかもしれない。



そんなことを考えている間に試合が始まる。


画像からはよくわからないが、イノマとティフィアが何やら会話しているみたいだった。


少し経って、ティフィアが怒った表情を浮かべて赤猪レッドエーバーを召喚する。


対するイノマは、不思議そうな、それでも表情に獰猛な笑みを浮かべながら熊鰻ブラックベアーを召喚した。


そして戦いは始まった。


始めは熊鰻ブラックベアーが一方的に攻撃し、赤猪レッドエーバーは防戦一方だったが、赤猪レッドエーバーの体が赤く発光し始めてからは戦況は変わる。


おそらくあれが熱を帯びるということだろう。


立場が逆転し、熊鰻ブラックベアーは必死に回避を繰り返し、赤猪レッドエーバーは怒涛の勢いで突進を繰り返す。


一見、ティフィアが優勢のように見えたが、イノマの表情を見て俺は一気に背筋が凍るのを感じた。


そこに浮かんでいたのは焦りでも恐れでもない。


ただただ自分の勝利を確信している、そんな表情だった。


そして戦況は変わらないまま時間だけが過ぎていく。


それと比例するように徐々に焦ってきたのはティフィアだ。


それも当然、突進をする度に体力を消費していく赤猪レッドエーバーとは異なり、熊鰻ブラックベアーは最小限の動きで回避しているためまだまだ余裕がある。


そして、イノマが熊鰻ブラックベアーに短く指示を出した瞬間、すぐに勝負はつくことになった。


ティフィアが驚愕の表情を浮かべる。


それもそのはず、熊鰻ブラックベアーが自分の腕を犠牲にして赤猪レッドエーバーを吹き飛ばしたからだ。


熱と痛みで苦悶の表情を浮かべる熊鰻ブラックベアーだが、対称にイノマはニヤリと笑みを浮かべた。


赤猪レッドエーバー熊鰻ブラックベアーの薙ぎ払いで、消えはしないものの、立つことの出来ないほどの傷をおってしまった。


そして、ティフィアは唇を噛み締めながら、降参を口にした。


『勝者!イノマ選手!やはりイノマ選手は強かった!そして、ティフィア選手の善戦にも拍手!』


観客は案外ノリがいいらしく、一斉に拍手が舞い起こる。


俺もいい戦いだったと感じたので、控え室で拍手をする。


その時だった。


イノマが確かにティフィアに何かを伝えたのは。


ティフィアはそのイノマの言葉を聞いた瞬間、顔色を失い、体を震わせ、目に涙を浮かびさせながらフィールドを出ていってしまう。


そして控え室にやってきたところで、俺はそのティフィアの肩を掴んで止めた。


「ティフィア、何があったんだ?」


俺が真剣な表情でティフィアに言う。


「っ!……な、なんでも……ありません」


「嘘をつくな」


俺が鋭く言うとティフィアは肩をぴくりと震わせる。


「頼む、俺に何があったかを教えてくれ」


確かに、最初はただ獣人族への興味で接していただけだったかもしれない。


でも、ティフィアの目に浮かんだ表情に、いつしか俺は転移する前の自分を重ねていた。


だから、こんなに辛そうな表情をしているティフィアを放っておくわけにはいかないのだ。


「お前とイノマの間に、何があったんだ?」


俺が再度問いかけると、ティフィアは小さい、それでも俺には聞こえる声でこう言った。


「……ユウト、さん……助けて、ください」


「……当たり前だろ!」


俺は1回戦の前とは違うティフィアの反応に、少し嬉しく思いながらも、ティフィアの沈痛な表情を見て気を引き締める。


そしてティフィアは、俺に三年前の出来事を話し始めた。



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