初めての夜について。
本日2話目です!
食事を終え、部屋に戻った俺は、この世界のことを更に聞くために眷属を召喚した。
リースには、ライム達にも姿が見えるようにしてもらった。
「まだ時間はあるし、質問でもし合おう。互いに知らないこともあるだろうしな」
この意見には全員賛成のようだった。
「まず、俺と舞に聞きたいことはないか?」
俺がその質問をすると、真っ先にアマルーナが手を挙げた。
『主殿、質問してもいいかの?』
「ああ、なんだ?」
『薄々じゃが、主殿達から不思議な雰囲気を感じる。主殿達は一体何者なのじゃ?』
まあ、この質問はされると思っていた。
別に、眷属達には隠し事をする必要はないと思うので、俺は全て答えるつもりだ。
「……みんなは、この国に勇者が召喚されたことは知っているか?」
『うむ、魔物の間でもなにやら騒がれていたようじゃったしな』
『私も風の精霊が教えてくれたから知ってるわね』
『私も知っています』
『こくり』
全員知っているのなら話は早い。
「俺と舞はその勇者と一緒に現れた人間なんだよ。特に、俺は勇者本人と仲がいい」
『む、そうじゃったのか』
『確かにそれならあの強さも納得できるかもね〜』
全員、俺の言葉を聞いても特に驚いたりはしないようだった。
俺は、どうせ将来的に矛盾が生じるんだったら、今言った方がいいと判断して、俺達がこの世界に現れた経緯を説明することにした。
学校というところで突然全員ここに飛ばされたこと、その後城に連れていかれたが俺と舞だけ追い出されて森で修行をしていたこと、アルナに嵌められてアマルーナに殺されそうになったことなどを話すと、流石のアマルーナとリースも驚いたようだった。
『なんと、主殿達は別の世界から来たのか』
「こんな突拍子もない話、信じてくれるのか?」
『信じるも何も、普通の人間が私と契約したり、竜を倒したりできるわけないでしょ?』
俺の疑問をリースが呆れたように返す。
「まあ、確かにそれもそうだな。
とりあえず、俺達についてはこれくらいだ。
ちょっとライムとカリンに聞きたいことがあるんだがいいか?」
と言っても、これは確認程度なので、特に返事は聞かずに質問する。
「お前らが進化した条件について、なにか分かるか?」
これが俺の聞きたかったことだ。
本を確認しても、進化する条件は『経験を積むこと』としか出てこないので、本人に聞いた方が早いと思ったのだ。
『熊鰻と戦った時も少し感じていたのですが、アマルーナと戦った時に体に力が湧いてくるような感覚がありました。おそらく、それかと』
「なるほど、ライムもそんな感じか?」
『こくり』
ふむ、となると、『経験を積む』っていうのは『自分より強い相手と戦う』っていう意味で良さそうか。
もしかしたら、進化を知らないから『魔物使い』が『最弱』って呼ばれてるのかもしれない。
「お前達はもう進化できないのか?」
『それは分かりませんね。ワーウルフになれるウルフなんて聞いたことも無かったですから』
俺はそれを聞いて驚いた。
つまり、魔物自身、自分が進化できることを知らないということだ。
これはもしかするともしかするかもしれない。
俺はその確信を持ちつつ、全員に少し待てと伝え、リュックから急いで本を取り出して、眷属を調べてみることにした。
〈Cランク〉
スライムマン・・・能力:分裂
進化後:〈Sランク〉スライムキング(最終進化)
〈C+ランク〉
ワーウルフ・・・能力:嗅覚による索敵
進化後:〈Sランク〉フェンリル(最終進化)
〈Sランク〉
黒竜・・・能力:空中飛行、ブレス、人化、咆哮、魔法攻撃無効、物理耐性up
進化後:〈SSランク〉暗黒竜
「は?」
俺は思わず声を上げてしまった。
『どうしたのじゃ?主殿』
「待て待て待て、まじかよこれ……」
全員が興味ありげにこっちを見てくる。
「いやさ、カリンとライムは進化するかなって思ってたけど、Sランクになるとは思ってなかったし、アマルーナにも進化があるみたいだ」
その言葉に眷属は全員驚いたようだ。
『妾が進化じゃと?ど、どうなるのじゃ?』
『わ、私も気になります』
『こくり』
全員が俺の説明を心待ちにしている。
俺が説明してやると、全員がさっきよりも更に驚きに包まれたようだった。
『暗黒竜じゃと?聞いたこともないの』
『フェンリルって、あの伝説の……。本当に私がなれるんですか?』
『こくり』
ライムは相変わらずカリンに同意ということだろう。
それよりも、今言った言葉が気になる。
「伝説ってどういうことだ?」
『いえ、過去に一度だけ現れたとされる、ウルフ種の王で、今では本当に存在したのかもわからないとされているので、伝説と呼ばれているのです』
『こくり』
スライムキングも同じような感じらしい。
「そうなのか。まあ、その為には自分より強い相手と戦わなければならないが……アマルーナがいるし、案外すぐなれるんじゃないか?」
俺は進化できることをしって頬を緩めているアマルーナに目を向ける。
随分と嬉しそうな顔をしてるなぁ。
まあ、根っからの戦闘狂だから仕方ないかもしれないけど。
『な、なら、妾はどうすればいいのじゃ?』
アマルーナが俺の言葉を聞いて、不安と期待が混ざったような表情でこちらを見てくる。
「うーん、アマルーナは俺と戦えばいいんじゃないか?」
今のところアマルーナに勝てるの俺しかいないし、俺も時間が経つにつれて強くなるだろう。
『な、なるほど、でも、主殿に攻撃するのは少し……』
「大丈夫だろ、俺も強くなるためっていうなら文句は言わないしな」
『そ、そうか、ありがとうじゃ!』
満面の笑みを浮かべたアマルーナを見て、俺も無意識に頬を緩めてしまう。
そんな俺を見て舞が頬を緩めていることには、俺を含め誰も気づいていないのだった。
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質問会が終わり、既に夜は10時を超えていた。
アマルーナやカリン達の話を聞いて、色々と新しい発見はあったが、それは後々確認していくことにしよう。
それよりも、俺はそろそろ自分の気持ちを我慢できそうにない。
なので、俺は舞に目で気持ちを伝えた。
そのことに気づいたようで、舞は少し頬を赤く染めながらこくりと頷く。
「ライムとカリンは今後もそうだが、アマルーナも今日は『モンスターボックス』に戻っていてくれないか?」
「リースもお願い」
俺達の申し出に戸惑いながらも眷属達は頷く。
「『応召』“ライム、カリン、アマルーナ”」
俺が念じたと同時に、リースも精霊の間に帰っていった。
「えーっと、だな」
「う、うん」
俺は、二人きりという状況にかなり緊張しながら、口を開く。
「正直、舞とこんな関係になれるなんて俺は思ってなかったんだ。
だから、心のどこかで、本当は俺のことが好きじゃないんじゃないかって、不安に思ってた」
思い出すのは、アルナとの会話だ。
舞が『魅了』にかかったと聞いて、絶望したと同時に、どこか納得してしまった。
「うん」
「でも、俺はあの時、舞の言葉を聞いて、救われたんだ。
その時に、舞のことが物凄く愛おしく感じてさ……」
俺は舞の目を見て率直に告げる。
「もう、我慢できそうにないんだ」
「~~~〜!」
舞は顔を真っ赤にして俯く。
多分、俺も同じような顔をしていることだろう。
それから少し経って、舞が口を開く。
「……いよ」
「え?」
「優斗君だったら、いいよ」
「っ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺は頭のどこかにある理性がブチッと音を立てて切れた感覚を味わった。
そして、我慢出来ずにベッドに押し倒す。
「舞……!」
「ん、優斗君……!」
俺は舞の唇に自分のそれを合わせる。
森の中でのをファーストキスとするのなら、これがセカンドキスと言えるだろう。
「舞…、大好きだ」
「ん、私も……」
そして俺達は、その言葉を引き金にどちらからともなく求め合い。
無事に初夜を迎えた。




