料理について。
修学旅行行ってて1週間投稿できませんでした(><)
「それで、この宿に朝夜ご飯付きで一泊泊まるとしたらいくらかかるんだ?」
俺はさっき聞いた質問をもう一度する。
すると、ハルノはクスッと笑って答えた。
「私の話を聞いて、逃げ出すどころか助けてくれるとまで言ってくれた人からお金は取れません」
「いや、でも一一一ー」
俺が言いよどむと、ハルノは「じゃあ」と言って言葉を繋げる。
「もしも、ユウトさんが明日試合に負けてしまったら、その時は本来の値段である鉄貨を1枚支払ってもらうということでどうですか?」
そう言ってニコニコと笑うハルノ。
「………分かった、それでいいよ」
俺はハルノの善意をありがたく思いながら頷き、ふと思ったことを聞いてみることにした。
「そういえば、ハルノ以外に従業員がいないみたいだけど、他の人はどうしてるんだ?」
しかし、俺はその直後にこの質問をしたのは間違いだったと後悔した。
なぜなら、俺がその質問をした瞬間に、ハルノがさっきまで浮かべていた笑顔を消し、悲しい表情を浮かべてしまったからだ。
俺が慌てて謝ろうとするが、ハルノに「大丈夫です」と遮られてしまう。
「5年前にこの宿に人が来なくなってから、従業員の方にお金を払うことが出来なくなって、みんなやめてしまいました。だから今は、私と父とで切り盛りしています」
俺は、やっぱりこの質問をしたのは間違いだったなと後悔しながら、ついでにもう一つ聞いてみることにした。
「そのお父さんは今どこに?」
「父は、今冒険者ギルドに行っていると思います」
「冒険者ギルド?」
思いがけなく出てきたその名前につい反応してしまう。
「はい、やっぱり、この宿の収入だけではしんどくて。
私も採集程度の依頼なら出来るので、父と交代で冒険者としてお金を稼いでいるんです」
俺はそれを聞いて内心驚いていた。
何に驚いたかと言うと、こんな無害そうな少女にまで冒険者をさせることになったこの国に、だ。
「そうだったのか、なんか、悪いことを聞いたな」
「いえ、気にしないでください。それに、案外冒険者というのも悪くはないんですよ?」
そう言って微笑むハルノの目には、そうは言ってもやはり若干の寂しさが宿っており、俺は一層明日の試合を頑張ろうと決めた。
「それでは、今から部屋の方をご案内致しますが、お部屋はどのように致しますか?」
話が一段落したのでハルノが聞いてくる。
俺としては恥ずかしいので二人分とってもらいたいのだが……
「一部屋でお願いします!」
「わ、分かりました!」
舞が一部屋にしてしまったので、ヘタレるのはやめることにしよう。
それに、一緒の部屋にしたかったっていうのが本音だし。
「では、オススメの部屋にお連れしますね。
お三方が同じ部屋に寝るということでいいでしょうか?」
お三方とは俺、舞、アマルーナのことだろう。
まあ、三人分にしとかないと怪しまれるし、ここは頷いておこう。
「ああ、それで頼む」
「かしこまりました。それでは、こちらへどうぞ」
そう言って歩き出したハルノの後ろを俺達はついて行った。
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ーーーーーハルノーーーーー
「不思議な人達だったなぁ」
私は自分の部屋で、一人でそう呟いた。
今頃、ユウトさん達はお風呂に入っているだろう。
「もしかしたら、本当に私達を助けてくれるのかも……」
私はユウトさんの「俺に任せろ」という言葉を聞いて、思わず微笑んでしまう。
あんな台詞を言われたのは初めてだったから思わず戸惑ってしまった。
そう言えばあの女の子の名前を聞いてなかったなぁ、と思いながら、私は立ち上がる。
「とりあえず、ユウトさん達のご飯を用意しなきゃ。久しぶりのお客さんだし頑張ろう!」
私は一人で自分を鼓舞して料理を作り始めた。
今日作るのはお父さんに教えてもらった料理だ。
この料理は何度も練習したお陰で美味しくできるので、私の中での自信作だ。
私はテキパキと材料を用意していく。
「まずは割り下を準備して、と」
醤油、みりん、お酒、砂糖、水と出汁を合わせて、煮立たせて、火を止める。
どれもこの国では比較的簡単に手に入れられる調味料だ。
それを一旦横に置いてから、私は昔からずっと使ってきた鍋に牛脂を入れて加熱し始めた。
そこで白葱を焼いてから、牛の肉の一部を入れる。
何故全て入れないのだろうと疑問に思ったが、1度味を比べてみたら全然違ったので、今はお父さんの言うとおりにしている。
十分に焼けたところで、割り下に残りの具材を入れていく。
白菜や人参、豆腐といった少し珍しい食材も混ぜながら、最後に残りの牛の肉を加える。
………よし、完成だ!
「ユウトさん達、喜んでくれるといいなぁ」
私は完成した料理を手に、食堂へ向かったのだった。
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ーーーーー優斗ーーーーー
「はぁ、いい湯だったなぁ」
「だね!」
『うむ』
『私、ああいうの初めてだったから楽しかったわ!』
俺は男湯、舞とリースとアマルーナは女湯から出て、俺達は部屋で合流していた。
正直、風呂上りの美少女を三人も見るのはいろいろな意味でまずい気がするのだが、そこは夫と主権限ということにしておこう。
「じゃあ、次はハルノが作ってくれるご飯だな」
「うん、楽しみだね!」
俺達はハルノの作るご飯を楽しみにしていた。
色々あったせいで既にお腹はペコペコだし、ハルノの作る料理は何故か美味しい気がするからだ。
「そういえば、リースやアマルーナはご飯食べるのか?」
と、そう考えていてふと思いついたことを聞いてみる。
『うーん、私は基本的に食事はしないわね。精霊は魔力さえあれば生きていけるから』
「ふーん、そうなのか。アマルーナは?」
『妾はその時々によるという感じじゃな。別に食べなくても死にはせんが、娯楽の為に食べるとでも言えば良いか…。まあ、今は人間の姿じゃし、食べんと怪しまれるじゃろうから、食べるつもりではあるぞ』
「おっけー、分かった』
俺達がそんな会話をしながらご飯を待っていると、扉をコンコンとノックされる。
「はーい」
「ご飯の用意ができましたよー」
「分かった、すぐに行く」
俺達はここからでも漂ってくる匂いに食欲をそそらせながら、下の階に降りていった。
そして、俺と舞はそのご飯を見て衝撃を受けることになった。
「こ、これは……」
「マジか………」
その食事とは、日本食の代表である『すき焼き』だったのである。
「どうしてこの料理を……」
「ああ、これですか?これは父に教えてもらったんです」
「お父さんが?」
「はい、父は作れないみたいでしたけど、レシピは知っていたみたいで。初めて聞いたレシピでしたけど、とても美味しくて驚きました」
俺はその言葉を聞いて内心で考えを募らせる。
『すき焼き』を知っているというハルノのお父さん。
もしかしたら俺達と同じく、過去にこの世界に転移させれた人間かもしれない。
まあ、ただ思いついたから作らせたという可能性も無くはないが……聞いてみる価値はありそうだ。
「ハルノ、お父さんはいつ帰ってくるんだ?」
「父ですか?そうですね……明日の朝にはいると思いますよ」
「分かった、少し話がしたいから、時間を取っておいて貰えないか?」
「え、は、はい、分かりました」
俺の言葉を聞いて、首を傾げながら頷くハルノ。
俺はそれを確認してから、すき焼きを頂くことにした。
結論:やっぱり日本食は美味しい。
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