対黒竜1:圧倒的戦力差について。
本日2話目です
残念ながら、間に合わなかったようだ。
目の前に相対してみると、その比べるべくもない実力差に鳥肌が立つ。
まさしく、絶望と言えるだろう。
『もう逃がさぬぞ』
確かにその通りだろう。
さっきは竜も油断していたから逃げれたが、今の竜からは逃げれる気がしない。
向こうはSランク。
対してこっちのステータスは…
『ステータス』
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|体力値: C
|攻撃値: C+
|防御値: C
|敏捷値: C+
|魔力値: E
|平均値: C
|〜〜〜〜〜〜 〜〜〜~~~~~
|眷属にした魔物
|・スライム 〈 Eランク 〉“ライム”
|・ウルフ〈E+ランク〉 “カリン”
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熊鰻という強敵を倒してステータスが上がったものの、竜とは3ランクも開いている。
真正面から戦ったら、一瞬で殺されてしまうだろう。
なら、
「なあ、竜。お前の目当ては俺だよな?」
『うむ、妾の森を荒らした罰は受けてもらうぞ』
「それは勘違いって言ってるんだけどな。
まあいい、なら、この女の子は逃がしてやってくれないか?」
そう言って川口の頭に手をやる。
「何言ってるの!?芝崎君!私は---」
『ふむ、確かにその女子は関係がない。
逃がしてやらんこともないな』
「そうか、それは良かった」
「待ってよ芝崎君!私、芝崎君を残して逃げるなんて出来ないよ!」
「頼む、川口。多分、このまま戦えば2人とも死んでしまうかもしれない。川口だけでも逃げてくれ」
「嫌だよ!死ぬんだったら私も----」
「舞!大丈夫、俺は必ず生きて帰るからさ。
…………お願いだ。」
「……………っ!
絶対、生きててね、優斗君」
俺の必死の形相を見て、舞は頷き、涙を堪えて走っていった。
ごめんな、名前で呼ぶのがこんなタイミングになってしまって。
「じゃあ、始めようか黒竜。
俺はまだ生きるのを諦めた訳じゃないぞ」
死亡フラグっていうのは折るためにあるんだよ。
『ふむ、中々の生き様じゃ。
もしこの森を荒らしたのがお主でなければ、友になりたいと思うところであったぞ』
「だからさっきから俺じゃないって言ってるんだけどな。誰かが俺に罪をなすりつけたっていう可能性は考えないのかよ」
『あの時見た人影はお主の姿をしておった。妾が見間違えることなど有り得ん』
まあ、そうだよな。
偽装とか明らかに特別な能力だろうし、普通は俺を疑うだろう。
まあ、竜なんだったら少しは考えて欲しいと思うが。
『もう無駄話は終わりでいいか?
ならばさっさと罰を与えてやろう』
「いいとは言ってないんだけどなっ!」
その言葉を踏ん切りに、竜がブレスを吐いてくる。
俺はそれを全力で左に跳ぶことで回避した。
『ほう、これを避けるか』
「舐めてんじゃねえよ!」
そんなことを言いながら実はかなりギリギリだ。
一度でもまともに当たれば死にかねない。
『罪を犯した者として、大人しく罰を受けよ!』
「嫌だね!やってないことを罪に問われて死ぬなんてごめんだ!」
そんなことを言いながら、俺は必死に竜のブレスを避ける。
俺も折角できた彼女を置いて死にたくはない。
考えるんだ、何かこいつの弱点を!
『そろそろ苦しくなってきたのではないかの?』
「はっ、余計な、お世話だ!」
いくら体力値がCランクになったとはいえ、さっきの熊鰻との戦いでかなり疲れている。
このままだといつか俺の体力が切れてブレスに当たってしまうだろう。
その前にこの状況を脱出できる策を考えなければならない。
『喰らうのじゃ!』
「くっ」
と、そう思った次の瞬間、ブレスが左腕に掠ってしまった。
掠っただけだが、俺の左腕は痛みで動かすことが出来くなってしまう。
『諦めよ、お主に勝てる道理など無い』
竜が降伏勧告をしてくるが、
「はっ!そんなこと、知るかよ。
だが、今のでお前の弱点は分かったぞ」
俺はそれには応じない。
『ほお、妾に弱点とな。面白いではないか。
なら、その弱点とやら、ついてみるがよい!』
そう言って竜がまたブレスを吐こうとする。
その瞬間
「行け!ライム、竜の顎に真下から体当たりだ!
カリンは体当たりをしたライムを横に逃がしてやってくれ!」
俺は眷属に命令を出す。
竜に気付かれないように横に回っていたライムが、ブレスを吐く直前の竜の顎を真下から体当たりで打ち抜き、カリンがそのライムを体当たりで右に飛ばして、自身も左に回避した。
すると
「ボウン!」と竜の口内で暴発が起こり、竜が苦しそうに雄叫びを上げる。
「どうだよ、自分のブレスを自分で喰らった気分は」
これが竜の弱点。
竜はブレスを吐くために、数秒溜めの時間を要する様だった。
なので、そのタイミングにうまく合わせれば竜の口内でブレスを暴発させ、ダメージを与えることが出来ると考えたのだ。
もちろん、これで倒せたとは思わないが、何度か同じことを繰り返せばかなりのダメージを与えられるはずだ。
『……最悪じゃな。じゃが』
竜がもう一度ブレスを吐こうとしてくる。
なので、俺はまた眷属に命令を出したのだが
「ブンッ!」
真下に行った直後に、竜の尻尾によるなぎ払いで吹き飛ばされてしまった。
「クソッ!『応召』“ライム”!」
俺は咄嗟にライムを『モンスターボックス』へと戻す。
『何度も同じ手が通用するとは思わない方がいいぞ』
流石はSランクといったところか。
熊鰻のように、怒りで我を忘れることを前提に策を考えてしまった。
しかし、これでライムは戦闘不能。
おまけにこちらの策は尽きたと来たか。
まじで絶望的だな。
『それで、まさかこれで終わりだとは言わないのじゃろう?』
「………ああ、当たり前だ」
もちろんこれはハッタリだ。
だが、少しは時間稼ぎになるだろう。
『ならその前に行かせてもらうぞ』
どうやら時間稼ぎにもならなかったようだ。
竜がブレスと尻尾によるなぎ払いを同時に打ってくる。
俺はC+の敏捷値を活かし、木の上に飛び乗って回避した。
しかし
『逃げ場の無いところへ逃げて、それも作戦かの?』
竜は俺の乗っている木を炎で燃やし尽くしてしまった。
俺は咄嗟に別の木に跳び移ろうとしたが、着地する前にその木がなぎ払われてしまい、俺はそのまま落下してしまう。
Cランクの防御値のおかげであまりダメージは無かったので、俺は体勢を立て直そうとする。
が、それを許す竜では無い。
『ようやく捉えたぞ』
俺が体勢を立て直す前に腹に尻尾を直撃させられ、俺は後ろへと吹っ飛び、背後の木に背中を強打してしまった。
息も出来ないような痛みが体中を回る。
あばら骨が確実に何本か折れているだろう。
俺があまりの痛さに呻いていると、正面から竜の声が聞こえる。
『それで、お主の作戦とやらはいつ行われるのかの?妾は少し楽しみにしておるのだが』
どうやらこの竜はかなりの戦闘狂らしい。
いつでも殺せるのにまだ殺そうとしないところがその証拠だ。
ダメージを与えられのが初めての経験だったのかもしれない。
「………っく、少し、待て」
『ふむ、少し待てばいいのかの?』
竜はそう言って攻撃を止め、大人しく待機しだす。
もちろん、待ったところで何かが起こるわけがない。
俺は遂に死を覚悟し、目を瞑ったところで
『ほう、あれがお主の作戦とやらか』
竜が意味のわからないことを呟いたのを聞いた。
「……何?」
俺が目を開けてみるとそこには
「はあ、はあ、良かった、優斗君、まだ無事だった」
服をボロボロにして、涙目で息を乱している舞がいた。




