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職業リア充で異世界無双。  作者: すみを。
第1章:カラマ王国編
13/76

突然の謎解きについて。

本日1話目です

何かがおかしい。


俺は漠然とした不安に襲われていた。


どれだけ奥に進んでも一向に魔物が出てこないのだ。


最初はあれだけ出ていたスライムも、今や一匹も姿を見ることが出来ていない。


「ライム、カリン、しっかり川口を守るんだぞ?」


俺は眷属にそう命令する。


そうしないではいられないほど、俺の不安は大きくなっていた。


このまま帰った方がいいのかもしれない、と、不思議とそんなふうに思ってしまう。


でも、ここで引いてしまったら明日のトーナメントで勝ち残ることは出来ないだろう。


俺は重たい足を引きずりながら森を歩き進めていった。



魔物が出ない道を数十分歩き続け、俺達は木の隙間から光が漏れ出ている場所を見つける。


おそらく、この先が不安の原因なのだろう。


カリンもその方向を向いて怯えている。


川口が不安そうな表情でこっちを見てくる。


俺は、大丈夫だと川口にも自分にも言い聞かせ、その光の方向へと進んでいった。



「ここは………」


「綺麗……」


光の先には湖があった。


そこだけ神秘的な光に包まれている。


自然と心が惹かれていくようだった。


しかし、カリンが高らかに吠えた瞬間、俺は無意識のうちに川口を押して右へと跳んでいた。


爆音。


俺達がさっきまでいた場所に閃光が走る。


俺が呆然としていると、湖の前に黒い竜が降り立った。


『ようやく見つけたぞ。お主だな、我が森を荒らしし者は』


突然その竜が話しかけてくる。


その竜の声音には、何故か怒りが滲んでいるように思えた。


「な、何のことだ!?」


『惚けるでない。我が森から魔物が消えていっておる。お主が犯人であろう』


「そ、それは………」


俺は言葉に詰まる。


実際、俺は今日1日で何十体もの魔物を倒している。


しかし、何故か俺はこの言葉を素直に否定出来なかった。


「いや、それは多分俺じゃない」


『何を言っておる。妾はしっかりとこの目でみたのじゃ』


そう言って竜が俺とライムを見る。


『妾が見た者とお主は寸分違わぬ容姿をしておる。それに、スライムを連れておった。お主が荒らしたことは明白じゃ』


やはり、何かがすれ違っている。


その時、俺の頭にピンと、今までの矛盾がとけたように、考えが生まれた。


「だから、それは俺じゃ-----」


『黙れ!問答無用じゃ!』


竜は言い訳は聞かんとばかりに口にブレスを溜める。


俺はそれを見て、急いで川口の手を引いて逃げる。


おそらく、あれをまともに喰らったらひとたまりも無いだろう。


俺達が走り出した直後、背後からまたしても爆音が聞こえた。


森を荒らすなとか言って自分が荒らしてるじゃねえかとか少し思ったが、今はとにかく逃げる。


ただまっすぐ逃げるだけでは直ぐに見つかってしまうと思い、俺達は森の中をジグザグに走っていく。


竜のブレスが別の場所で響いているのを確認してから、俺達はゆっくりと木の下に腰を下ろした。


「はぁ、し、芝崎君、どうなってるの!?」


「はぁ、はぁ。…ちょっと待ってろ、今整理中だ」


俺はしばらく頭で意見をまとめてから川口に言った。


「あの竜は俺達が、いや、俺がこの森を荒らしたと言っていた。まあ、確かに俺はスライムやらウルフやらを何十体も倒したけど、あの言葉は少しおかしいと思うんだ」


そう。


これが、俺が竜の言葉を素直に否定出来なかった理由だ。


「おかしいって、何が?」


「だってさ、俺達が倒した魔物はこの森の中のごく一部にすぎないはずだろ?それなのに、あの竜は森の魔物が消えていっていると言っていた」


「ほんとだ、確かにおかしいね。もっと魔物を倒している人もいるはずだもん」


「そういうことだ。それに、その竜の言葉もおかしい。森の魔物が『消えていっている』って、現在進行形で言っていたけど、俺は数十分ほど魔物のいない道を通っていて、しばらく魔物を倒してはいなかった」


「あ!………ってことは」


「ああ、おそらく、俺らを嵌めようとした人間がいる」


俺はあの竜と話してから考えていた意見を言うことにした。


「疑問点は多くある。

魔物の多く出る森でスライムしか出なかったこととか、さっきの竜が言ってた『寸分違わぬ姿形』っていうのも気になる。

だから、とりあえず仮説をたてて説明していくぞ?」


川口が頷く。


「まず、俺達が付き合うことになったあの場面。何故かスライムしかいなかった。それに、少し奥まで行ってもスライムしかいなかったよな?あれを誰かがスライムしか残らないように倒したと仮定する」


「そんなこと出来るの?」


「それくらいならできるだろう。

この辺の敵は、俺でも十分倒せる強さみたいだし、少し強いやつならそれくらいは簡単なはずだ。

話を戻すぞ?

スライムしか出てこないんだったら普通は奥に進むしかない。実際、俺達も奥へと歩き進めた。でも、俺達はまだスライムしか出ない辺りで一旦妥協してしまった」


「確か、これ以上進んだら迷うからって理由だったよね?」


「ああ。それをもしその人間が見ていたとしたら、そいつは俺達をどうにかして森の奥へと行かせようとするはずだ。その為に手っ取り早いのが、トーナメントに参加させることだ」


「トーナメントに?」


「ああ。

俺の持っている魔物がスライムだけと知っているのなら、トーナメントに参加させることで、俺が新たに強い魔物を仲間にせざるを得ない状況を作ればいい」


そこで一息ついてから、俺は続きを言っていく。


「俺達をトーナメントに参加させたのは、イノマだ。つまり、犯人はイノマか、その上に立つ人物ということになる。これに関しては、上にいるやつがいようといなかろうと、あまり関係ないと俺は思う。」


「どうして?」


「だってさ、上に誰かがいたところで、俺達にはそれを把握する術はないだろ?結局は、あのイノマをどうにかする以外方法はないってことだ」


川口が頷きながら俺の話を聞く。


「それで、うまく俺達をトーナメントに参加させることが出来たイノマは、一足先にこの森へと辿りついた。多分イノマはこの湖に竜が住んでいることを知っていたんだろうな。俺達が朝スライムを狩っていた道から湖にたどり着くように、その道の魔物を駆逐していったんだ」


「でも、カリンは出てきたよね?」


「多分それも罠だろう。カリン以外のウルフを全て狩り尽くして、敢えてカリンだけを残しておいたんだ。狼は群れを作る動物。それが単体でいるなんて少しおかしいと思ったんだ。それに、カリンの俺を見た時の怯えよう。あれも異常だった」


俺はあの時確かに少し異変を感じた。


でも、こんなものなんだろうと思い込んでいたのだ。


「イノマの計算通り、俺達はウルフを仲間にして、湖へと向かった。もちろん、その前にイノマは湖までの魔物を全て狩り尽くしていた。

その狩りが終わる直前、イノマは敢えてスライムを召喚し、一瞬だけ竜に見せて逃げ、そして上手く撒いた。

そして、その竜が湖に戻ってきたら、そこには偶然スライムを連れた俺がいた。そうなると、どうなるかはわかるよな?」


「さっきまで荒らしていた人間と勘違いして、私達を

襲う?」


「その通りだ」


もう一度、あくまで仮定の話だが、と念押して続ける。


「でも、こんな面倒な事を誰にでもするとは思えない。ということは、イノマは俺達に何か恨み、または『目当ての物』があるんだろう。これも、冒険者ギルドのイノマの目線が川口を見ていたのではなく、その手を見ていたとしたら辻褄が合う」


「ってことは………」


「そう、おそらくイノマは俺達が----」


「『別世界の人間だと知っている』か?

ははは、何だよ、思ってたより賢いじゃねえか」


突然木の上から声が聞こえる。


その方向に目を向けると、そこには………


「やっぱりな…」


イノマがいた。



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