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第八十九話 託された卵



 ゼロ達は秒速100メートル程度のスピードで聖獣を探していく。

 今はもう未踏地に入っており、魔物もさらに強くなっているが、魔王に進化してから配下達も強化されているので、戦いは問題なかった。




『……さすが、二人ともさらに強くなったね……』

(ああ。フォネスの尾は八本に増えたし、マリアもここの魔物では一撃必殺で倒しているしな)

『……フォネスの尾が九本になったら何かあるかな……?』

(うーん、確かに何かありそうだが、予測出来ないな)


 ゼロとレイは『魔力察知』を広げたまま、会話をしている。

 配下達の成長にここまで強くなったなと感傷に浸っているゼロ。

 二人のステータスはこうなっている。






ステータス

 名称 フォネス

 種族 九尾族変異種

 称号 ”魔王の配下”

 スキル

    希少スキル『現幻者マドワスモノ

         (現実化・高位幻覚・無詠唱)


    特殊固有スキル『黒焔狐クロホムラギツネ

         (獄炎・変化・思考加速・温度操作・火炎体化)


    通常スキル『幻覚無効』、『毒・麻痺耐性』、『火炎無効』、『魔力察知』、『魔力操作』、『威圧』、『妖気操作』、『自己再生』




ステータス

 名称 マリア

 種族 人間

 称号 ”魔王の配下”

 スキル

    希少スキル『影密者カクレルモノ

         (影操作・影転移・暗転・影作成・影分身・並列意識)


    希少スキル『暗殺者コロスモノ

         (偽装・毒作成・武器作成・思考加速・一撃必殺)


    通常スキル『毒・麻痺無効』、『闇無効』、『幻覚耐性』、『投擲』、『魔力察知』、『魔力操作』、『隠密』、『妖気操作』、『回復促進』、『精密』






 というようになっていた。フォネスは『黒焔狐クロホムラギツネ』に進化しており、さらに炎が強化され、身体を炎に変えることが出来るようになったようだ。

 ただ、魔素量をさらに消費させてしまうため、使い所を考えなければならないだろう。


 マリアは影をさらに磨きをかけたようだ。周りに影がなくても『影作成』で自分の魔力で影を作成することが出来るようになった。

 そして、分身を作って自分の意識を込められるようになったが、完璧に操作するには、一体までのようだ。簡単な命令で動く影分身なら、四体までは可能と言うこと。

 一体しか完璧に動かせないのはどうだろう? と思うかもしれないが、結構大変なことなのだ。本体と分身が同時に戦いになったら自分も戦いながら向こうの影分身を操らなければならないから一体だけでも完璧に思うように動かせるのは凄いことなのだ。


 レイなら十体でも余裕で出来るが、レイと比べたら比べられた者が可哀相なものなのさ。




 とにかく、二人とも強化されていて魔素量もさらに増えたから長時間、魔物を撃破しながら進むことなんて余裕のようだ。




 半日、探し続けて…………、変な反応を見つけたのだった。




「なんだ? これは戦っているより、追い掛けられている?」

「ゼロ様?」

「ああ、ニキロぐらいの先に反応を見付けたのだが、逃げている奴は弱っているが、反応が魔物とは違うんだよな……」

「そうなんですか、魔物と違う反応って、聖獣…………いえ、聖獣はここら辺の魔物には負けない程の力を備えているはず……」

「とにかく、行けばわかることだ」


 ゼロはさらにスピードを上げて行く。二人も後ろからゼロに着いていく。




 残り一キロ……五百メートル……百メートルと、あっという間に差を詰めていったら、その姿が見えたのだった。




『……麒麟?』

(……ああ、麒麟だ。鱗もあるしな)


 見えた姿は、馬の姿に一本角があり、角には雷が纏まっていた。

 さらに鱗もあったからユニコーンというより、麒麟だと思えた。

 試しにステータスを確認したら、聖獣の麒麟と出ていた。

 ようやく聖獣に出会えたゼロ達だったが…………




『……弱っているね?』

(そうだな、あの怪我では逃げるしか出来ないみたいだな)


 麒麟の姿は傷だらけで、首の辺りがえぐられており、走るだけでも苦しそうだ。

 麒麟を追っているのは、翼を持ったライオン。名前はマンティコアと出ていて翼は蝙蝠で、尻尾は蛇で三体ほどが麒麟を追っていた。




「…………? あいつらが麒麟に傷を付けたのか?」

「わかりませんが、マンティコアはそんなに強いわけがありません。あの傷がなかったら簡単に倒せる魔物です」

「そうだよな……、とにかくあの魔物を消しておくか」


 二人にマンティコア討伐を任せてゼロは麒麟の方に向かう。

 麒麟はもう限界のようで、走りから歩きになっており、いつでも倒れそうだ。




「おい、話は出来る…………わけないよな」

『お、お主は……?』

「出来んのかよ。まぁ、俺はゼロと言う。あのザコは配下に任せたからもう大丈夫だ」


 ゼロは麒麟が話をできるとわかったので話をしようと思ったのだが…………




『……そうか、……お主はあの……敵の者……じゃないな』

「む、どういうことだ?」

『……卵を頼……む…………』


 麒麟がバタンとゼロの前で倒れた。ゼロは「は?」と見るしか出来なかった。

 麒麟が光の粒になって、残ったのは一つの卵だけだった。




『……死んだみたい。で、卵が出来た?』

(確かに産んだより、出来たのが正しいな……。もしかして俺は卵を頼まれたのか?)

『……うん、麒麟もそう言っていたからね』

(……はぁ、聖獣を倒しに来たのに、どうしてこんなことになるんだよ……)


 なんか無理矢理、世話を頼まれたような気分だった。

 この卵、別に放ってもいいが、もし生まれたら戦力になるかもしれないんじゃ? と考えたので、持ち帰ることにした。


 二人はマンティコア程度では苦戦しなかったようで、傷一つもなく無傷でゼロの元に戻ってきた。




「あれ、聖獣は?」

「これだ」


 卵に指を向けて、何があったのか説明してやる。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「へぇー、ゼロ様に頼んだのですね」

「なんで俺なんだろうな? 魔王と聖獣なんて水と油みたいな物じゃねぇのか?」

「うーん、話を聞くには襲ってきた敵じゃない者なら誰でも良いと聞こえますが……」

「……まぁ、そうとも取れるな。仕方がない、聖獣探しは止めだ。この卵があっては邪魔にしかならないだろう」

「もしかして、育てるのですか?」

「まぁな。魔王が聖獣を育てるなんて聞いたことがないだろ? もし襲ってきても倒せばいいだけだしな」


 聖獣の力はどういうものかわからないが、育ててから考えると決めたのだった。




 一週間は聖獣探しに注ぎ込むつもりだったが、予想外のことがあったため、ゼロ達は拠点に戻るのだった…………







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